当社保有の乳酸菌「Lactobacillus plantarum OLL2712」(MI-2乳酸菌)を含むヨーグルトに、糖尿病予備群成人に対してHbA1cを下げる効果を確認~第25回腸内細菌学会学術集会で発表~

株式会社 明治(代表取締役社長:松田 克也)および東京大学(総長:藤井 輝夫)は、当社が保有する独自素材の乳酸菌「Lactobacillus plantarum OLL2712」(以下、MI-2乳酸菌)を含むヨーグルトを糖尿病予備群の成人が摂取することによりHbA1cが低下することを確認し、同乳酸菌が糖尿病の発症リスクを低減する可能性があることを見いだしました。

この研究成果を、2021年6月1~2日に開催されました、「第25回腸内細菌学会学術集会」にて発表しました。また当研究成果は、2020年1月31日に国際学術誌の「Nutrients」に掲載されております。

演題

Lactobacillus plantarum OLL2712」(MI-2乳酸菌)を配合したヨーグルトの12週間摂取による糖尿病予備群における糖代謝改善および慢性炎症抑制効果

概要

本試験では糖尿病予備群(HbA1cが5.6%以上6.4%かつ空腹時血糖値が100mg/dL以上125mg/dL)の健常成人を被験者としました。130名を2群(各群65名)に分け、1つの群にはMI-2乳酸菌入りヨーグルト(MI-2乳酸菌の加熱菌体を5×109個以上配合した112gのヨーグルト)を12週間毎日1個摂取していただき、他方のグループにはMI-2乳酸菌が入っていないヨーグルトを同様に摂取していただきました。

その結果、以下の変化が認められました。

  1. 摂取前と比べて12週間摂取後に両群共にHbA1cが有意に低下しましたが、MI-2乳酸菌入りヨーグルト摂取群ではMI-2乳酸菌が入っていないヨーグルト摂取群と比べても有意にHbA1cが低下しました(図1)。
  2. 摂取前と比べて12週間摂取後にMI-2乳酸菌が入っていないヨーグルト摂取群ではインスリン抵抗性指標(HOMA-IR)の有意な亢進が認められましたが、MI-2乳酸菌入りヨーグルト摂取群ではHOMA-IRが亢進せず正常に維持されました(図2)。
図1.HbA1Cの変化量 図2.インスリン抵抗性指標の変化量 実施期間:2018年7月~12月 対象者:20~64歳の健康な成人で、空腹時血糖値100~125mg/dL、HbA1c5.6~6.4%の126名 ※「MI-2乳酸菌」の抗炎症効果は、生菌よりも加熱菌体の方が高いため、加熱菌体で臨床試験を実施しています。出典:Nutrients 2020.12(2).374

「MI-2乳酸菌」がHbA1cを下げるメカニズムについて

MI-2乳酸菌がHbA1cを低下させた作用機序は、腸管免疫系のIL-10産生を誘導することで内臓脂肪組織の慢性炎症を抑制し、その結果としてインスリン抵抗性(インスリンの作用が低下しているために、インスリン分泌は不足していない、もしくは分泌過剰にもかかわらず、高血糖となる病態)を改善することで糖代謝の悪化を防ぎ、日々の血糖コントロールを良好にした結果であると考えられます(図3)。また、臨床試験で確認されていることをまとめれば、「MI-2乳酸菌の摂取は、HbA1cが高めの健常成人のインスリン抵抗性を改善し、HbA1cを下げる」ということになります。

図3.MI-2乳酸菌によるHbA1c低減の推定作用機序 ①「MI-2乳酸菌」が腸管内で抗炎症性物質(IL-10)の産生を誘導し②内臓脂肪組織の慢性炎症を抑制③インスリン抵抗性を改善し④HbA1cを下げる 

「MI-2乳酸菌」は、「Insulin(インスリン)」と「Inflammation(炎症)」の2つの「I」を「Manage(管理)」するという意味を込めて命名しました。