2023/5/10
株式会社 明治のカカオ産地活動実績
メイジ・カカオ・サポート(Meiji Cocoa Support : MCS)
メイジ・カカオ・サポートは、2006年に始めた明治独自の「カカオ農家支援活動」です。カカオ豆生産の持続可能性を高めるために、産地に直接足を運んだり、さまざまなパートナーと協働したりしながら、カカオ豆の品質向上への技術支援や農家の生活向上、地域の環境保全・回復等の社会課題解決に取り組んでいます。さらに、この活動の維持・推進のために、カカオ豆調達時にプレミアム価格で購入しています。
明治サステナブルカカオ豆
メイジ・カカオ・サポートを通じ、農家支援を実施した地域で生産されたカカオ豆。
明治サステナブルカカオ豆の調達率(KPI)
明治は、2026年度までに「明治サステナブルカカオ豆」の調達比率100%を目指しています。
2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度目標 | 2026年度目標 |
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40% | 42% | 62% | 65%以上 | 100% |

メイジ・カカオ・サポートの具体的な取り組み
メイジ・カカオ・サポートは、アフリカ・中南米・アジアのカカオ産地にまで広がり、現在以下の9か国で展開しています。
アフリカ | 中南米 | アジア |
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1.農園までのトレーサビリティの推進
持続可能なカカオ豆生産の実現にはトレーサビリティが最重要と捉え、すべての調達先において農園までのトレーサビリティの確立を進めています。
調達先 | 状況 |
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ブラジル連邦共和国 | 農園までのトレーサビリティ100% |
ドミニカ共和国 | |
エクアドル共和国 | |
メキシコ合衆国 | |
ベトナム社会主義共和国 | |
ガーナ共和国 | プロファイリング農家数:4,743 |
マッピング農園数:4,585 |
2.児童労働撲滅に向けた取り組み<ガーナ共和国>
児童労働の発生リスクが高いと言われているガーナにおいては、児童労働監視改善システム(CLMRS*)などを順次導入し、撲滅に向けた取り組みを推進しています。
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*CLMRSとは、カカオ生産地での児童労働・強制労働撲滅を目指すNPO「International Cocoa Initiative」が開発した児童労働監視改善システム(Child Labor Monitoring and Remediation Systems)で、児童労働の事例を特定、監視、是正、および防止する取り組みを行っています。
モニタリング農家数 | 3,629 |
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児童労働と特定された数 | 20 |
―そのうち是正過程にある数 | 15 |
―そのうち是正済の数 | 5 |
(対象期間:2021年10月~22年9月)
3.森林減少への取り組み<ガーナ共和国>
カカオ農園に関わる森林減少を停止し、森林の保護・回復を目的とした取り組みを推進しています。
(1)森林教育
調達先の農家に対して、Cocoa and Forests Initiativeの考え方に基づき、森林保護や回復に関する情報提供や農業生産工程管理に関する教育を実施しています。
クライメートスマート・カカオ・トレーニング*実施農家数
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3,221 |
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GAP(Good Agricultural Practice)トレーニング*実施農家数
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3,883 |
(対象期間:2021年10月~22年9月)
(2)森林減少の確認
現地パートナーと協働し、調達先の農園が森林減少へ関与していないか、マッピングと訪問調査によりモニタリングを実施しています。森林保護区の侵害が発見された場合には、サプライチェーンから除外しています。
農地マッピング及び現地への訪問調査の実施農家数 | 4,585 |
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森林保護区に存在する農園数 | 43 |
森林保護区に存在する農家数 | 36 |
―そのうち制裁措置を受けた農家数 | 28 |
(対象期間:2021年10月~22年9月)
(3)森林保全活動
カカオ農園とその周辺地域における森林環境と生態系の維持・回復に繋げることを目的に、さまざまな種類の苗や肥料を配布し、カカオの木の保護、農地の土壌改善に貢献しています。
累計配布数 | 2021年10月~22年9月 | |
---|---|---|
多目的樹木 | 124,680 | 2,000 |
カカオ苗 | 231,684 | ― |
野菜苗 | 100,000 | ― |
シェードツリー | 25,500 | 15,000 |
4.アグロフォレストリー農法の推進<ブラジル連邦共和国>
カカオの生産は、森林伐採による自然環境破壊や生物多様性の損失という重大な社会課題を抱えています。明治では、10年以上に渡り、カカオ豆の品質研究を行うブラジル・トメアスーのカカオ農家とともに森をつくる農業「アグロフォレストリー農法」に取り組んでいます。単一栽培では困難な持続的な生産が可能になると共に、カカオ以外の農作物も収穫でき、収入の安定に繋がっています。
アグロフォレストリー農法の取り組みについてはこちら:
5.現地に寄り添った支援活動
カカオ産地の人が抱える課題を一緒に解決する事で、その地域や地域に住む人々含め、カカオに携わるすべての人々が持続可能に過ごしていけることを願っています。そのために、常に産地の人々に寄り添い、その産地の時々の実情に合わせ、生活向上や生産性向上及び収益性向上に繋がる支援をしています。
地域別の支援活動の詳細についてはこちら:
(1)カカオ苗配布
カカオ農園の近くに苗木センターを開設し、周辺の農家の方々に質の良い苗木を配布しています。
累計配布数 | 2021年度 | 2020年度 | 2019年度 | |
---|---|---|---|---|
ベネズエラ・ボリバル共和国 | 144,630 | 26,000 | 29,900 | 39,780 |
メキシコ合衆国 | 7,500 | ― | ― | ― |
(2)肥料配布
累計配布数 | 2021年度 | 2020年度 | 2019年度 | |
---|---|---|---|---|
ブラジル連邦共和国 | 17,958 | 860 | 5,127 | 3,060 |
(3)農機具無償貸出(ツールバンク)
輸出業者と共同で、2017年、2019年にペルーのカカオ豆買上所に「カカオ農機具バンク」を設立し、維持しています。これにより、カカオ農家は剪定、除草、農薬散布などに使用する農機具を無料で借りることができます。
(4)発酵法などの技術支援
カカオの特徴的な香味を引き出すには、品種・発酵・乾燥工程が重要です。その地域にあるカカオに適した独自の発酵法で、品質の良いカカオ豆を生産するために、発酵箱を寄贈しています。継続的な活動を通じて、技術・収益の両面で農家を支援しています。
累計 | 2021年度 | 2020年度 | 2019年度 | |
---|---|---|---|---|
ペルー共和国 | 35 | 6 | 5 | ― |
ベネズエラ・ボリバル共和国 | 20 | 5 | 5 | ― |
(5)農作業の支援
カカオ豆を購入している農園の作業効率化や農薬への曝露軽減のために、農業資材や防護服を提供しています。
累計 | 2021年度 | 2020年度 | 2019年度 | ||
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エクアドル共和国 | 剪定機 | 22 | ― | ― | 22 |
剪定器具セット (鋸・鋏・帽子・水筒など) |
86セット | 86セット | ― | ― | |
除草機 | 15 | ― | ― | 15 | |
防護服 | 630 | ― | 370 | ― |
(6)ゴミ分別箱の寄贈
農園の環境改善や現地のリサイクルシステム構築のために、資源ごみの分別箱を寄贈しています。
累計配布数 | 2021年度 | 2020年度 | |
---|---|---|---|
ドミニカ共和国 | 96 | 60 | 36 |
(7)チョコレートクラス/アートクラス<ガーナ共和国>
ガーナの村で「チョコレートクラス」を開講し、子供たちにカカオのことを学んだり、自分の村で収穫されたカカオを使ってチョコレートを手づくりして味わってもらったりする活動をしています。また、「アートクラス」を開講し、絵の具やクレヨンを使ってカカオをテーマに絵を描いたり工作をしてもらったり、カカオへの関心を高めてもらう試みも行ってきました。こうした活動を通じて、カカオの魅力や価値、あるいはカカオ農業の重要性について理解を深めてもらう機会を提供しています。
(8)村内貯蓄貸付組合(VSLA)による農家のエンパワーメント<ガーナ共和国>
VSLA(Village Savings and Loan Association)は、銀行やマイクロファイナンス機関のサービスへのアクセスが難しいコミュニティの農家が自ら立ち上げ、運営している村内貯蓄貸付組合です。農家の方々は自らグループをつくり、メンバーの貯蓄管理と貸付を行います。メンバーは借りた資金を、農業資材の購入や新しい商売の開始、子供の養育費などに充てることができます。また、定期的に会合が行われ、お金の管理などの話し合いを行うことで、メンバー同士の理解や結束強化にも役立っています。当社はこのように農家やコミュニティの自立を支援する活動も行っています。
VSLA新規設立数 | 2 |
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VSLA参加人数 | 60 |
―そのうち女性の数 | 41 |
貯蓄された金額 | EUR 2,340 |
貯蓄から融資として活用された金額 | EUR 2,044 |
(対象期間:2021年10月~22年9月)