ヨーグルトの研究者たち

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光岡知足:プロバイオティクスの可能性

プロバイオティクスの代表的食品であるヨーグルトなどをとると、腸の中に生息する善玉菌であるビフィズス菌が増殖し、ウェルシュ菌などの悪玉菌を抑え、腸内細菌のバランスを整え腸内環境を良いものにしていきます。これは、糞便中の腐敗産物の減少、便の臭いも少なくなることでわかります。腸内に棲んでいるビフィズス菌が作り出す乳酸や酢酸が腸を刺激して、ぜん動を活発にするので、便通もスムーズになります。このことは、大腸ガンや乳ガンの予防にも有効です。これが「お腹の調子を整える(整腸作用)食品」に認められている表示内容です。

しかし、まだ表示内容としては認められていませんが、プロバイオティクス関連の学会では、次のような効用がすでに認識されています。

  • ●カルシウムと乳酸が結合することで、カルシウムの吸収率が良くなります。
  • ●タンパク質からは、乳酸発酵により牛乳の約4倍の必須アミノ酸ができて肝臓の疲労をとり、強くします。
  • ●豊富に含まれているビタミンA、B2は胃の粘膜の抵抗力を高め、修復する働きをします。
  • ●ビタミンA、B1、B2、パントテン酸、ビオチン、コリンなどが含まれ、疲労回復や肌に潤いを与えます。
  • ●バランスの良い栄養分と優れた消化吸収で、乳幼児や病気の人、お年寄りなどの栄養補給に最適です。
  • ●血液中のコレステロール値を下げる働きをします。
  • ●ラクトトリプチドなどが含まれていたヨーグルトは、高血圧を積極的に予防します。
  • ●乳酸菌の菌体自体が免疫力を高めます。
  • ●食物繊維と同様の働きをする乳酸菌の菌体成分が、腸内フローラのバランスを改善し、血糖値の急上昇を抑え、糖尿病の予防、治療に効果があります。
  • ●生きた乳酸菌自体が乳糖分解酵素を持ち、乳糖を分解するため、牛乳では腹痛や下痢を起こす体質の人も、ヨーグルトなら安全です。

このようなプロバイオティクスの効用は、じつは乳酸菌が死んでいても生きた菌と同様の効果があることも、最近の研究で明らかになっています。