日本人に一般的な軽度から中等度の胃排出遅延(胃の動きの低下により食べ物を消化して腸に送り出すまでに時間がかかる状態)※1が見られる20~64歳の日本人28名に対し、乳酸菌OLL2716株群(14名、内1名脱落)とプラセボ群(14名)に無作為に割付けました。
乳酸菌OLL2716群は乳酸菌OLL2716株を含むヨーグルト、プラセボ群は同乳酸菌を含まずかつ外観や味で区別がつかないヨーグルトを1日1個(85g)を12週間摂取してもらいました。
食欲旺盛および全般的な消化管運動不全が疑われる対象者を除く集団(乳酸菌OLL2716株群:10名、プラセボ群:5名)で解析したところ、結果は以下のようになり、プラセボ群に比較して乳酸菌OLL2716株群では胃排出遅延が有意に改善(胃排出時間がはやくなる)※2しました。
(出典:Nutrients 2021;13:1852)
※1
流動食を用いた13C呼気法胃排出能検査により胃排出能を調べました。胃排出能(=胃が食べ物を排出する機能)の指標であるTmax(流動食を服用後、胃排出速度がピークに達するまでの時間)の日本人平均値は45分です(日本平滑筋学会の調査報告より)。併せて標準偏差は10分と報告されていることから、55分以上かつ75分未満の人を「軽度から中等度の胃排出遅延」とし、被験者として選定しました。本試験で設定した軽度から中等度の範囲は日本平滑筋学会のデータを参考に設定しており、日本人の約16%が該当すると推定され、日本人に一般的といえます。
※2
摂取期間内における胃排出能の変化がマイナスである場合は胃排出遅延が改善(胃排出時間がはやくなる)、プラスである場合は胃排出遅延が悪化(胃排出時間がおそくなる)と見なすことができます。
さらに同じ解析集団において、摂取 6 週後における胃の調子に関する全般的効果の印象スコアがプラセボ群に比較して乳酸菌OLL2716株群では有意に改善しました。
(出典:Nutrients 2021;13:1852)