此方はカフエーの「苦勞人」です。廣津先生にしてあの小説『女給』ありと言つて宜しいでせう。實に良く女給の生活が描かれてゐますよ。將に銀座の女給其物です。然し小説のモデルがカフエー・タイガーのとし子と菊池寛先生だといふので、「婦人公論」に連載が始まると一大センセイシヨンになりました。本々はカフエー・ライオンにゐたお秋をモデルにする積りだつたのが、急に變更になつたのだとか。一体何ういふ事情がおありだつたのでせうか。
先生はお酒を嗜まれないのです。ですから珈琲と紅茶ばかりをお飲みになるのです。さうして何軒ものカフエーを廻り、最後のカフエーが仕舞ふ迄いらつしやるのださうですよ。銀座も表通りのカフエーは十一時頃には店仕舞しますが、裏通りには一時頃迄やつているカフエーもございますから、それ迄いらつしやるのだとか。
さうさう、廣津先生のご夫人は確か、その昔ライオンにいらした方ださうです。
カフエーは十一時頃には店仕舞しますが、裏通りには一時頃迄やつているカフエーもございますから、それ迄いらつしやるのだとか。
さうさう、廣津先生のご夫人は確か、その昔ライオンにいらした方ださうです。