今年、「色ざんげ」といふ小説を發表されました。これは、つい昨年迄一緒に暮してゐた画家の東郷青兒さんが以前に起した心中未遂亊件を、東郷さん御自身から聞書した小説です。元々この聞書を切掛に、御二人は一緒になられたさうです。素晴しい小説をお書きになつて、宇野さんは將に今を時めく女流作家。所が東郷さんは、結局千代さんと別れてその心中相手と御結婚されたといふ亊ですから、皮肉な亊です。
東郷さんの前には宇野さんは、尾崎士郎さんと結婚していらして、當時は馬込に住み、御二人の周りにどんどん色んな作家さん達が集まるので、馬込文士村と呼ばれる程ですが、皆さん銀座にはよく遊びにいらつしやいますよ。尾崎士郎さんは宇野さんと別れた後、カフエー・ライオンの女給をしてゐた方と一緒になられました。
宇野さんは眞先にモダンガール風の斷髪になさつたり、戀多き女性と言はれてゐますけれどね、私から見ますと本當に一途な、古風な所を持合せた女性でいらつしやいます。
宇野さんと別れた後、カフエー・ライオンの女給をしてゐた方と一緒になられました。
宇野さんは眞先にモダンガール風の斷髪になさつたり、戀多き女性と言はれてゐますけれどね、私から見ますと本當に一途な、古風な所を持合せた女性でいらつしやいます。