ヨーグルトの基礎知識

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中近東のヨーグルト

イスラエル / イラク / イラン / サウジアラビア / シリア / トルコ / ヨルダン / レバノン

中近東/MAP

イスラエル

紀元前2000年には、すでにメソポタミア由来の羊乳チーズが伝えられていたといわれ、乳利用の歴史が古いところです。現在でも、発酵乳の「レベン」や濃縮発酵乳の「レベニー」が多量に生産されています。レベネ、レベニア、ラブネーとも呼ばれる「レベニー」は新鮮なものを食べますがオリーブ油に浸漬したり、乾燥させて保存性を高めることもあります。乾燥したものを「デュバキー」といいます。

イラク

農村では、「レーベン」という発酵乳が作られ、そのまま、またはスパイスを加えて食べられます。この種の発酵乳は、「ローバ」「ラバン・ザバディ」「ラバン」「リーベン」などと呼ばれています。また、北部では、加熱して乾燥した粗びき小麦とヨーグルトを混ぜて1時間発酵させ、次いで天日乾燥後、粉末にしたものを「クシュク」といい、水に溶かして飲用します。

イラン

ヨーグルトを「マースト」と呼びます。イランやアフガニスタンでは、特に夏季に好んで飲まれる「ドーク」が、マーストを使った飲料として人気があります。一般的には、ヨーグルトを水で2倍くらいに薄めてから食塩1%、ミントなどのハーブを添加して作られます。一方、伝統的な「バタードーク」は、水で希釈したヨーグルトを皮袋に入れて振とうし、バターを除いたバターミルクに塩味と香りをつけたものです。バターミルクのカードを乾燥した保存食が「カシグ」です。

サウジアラビア

古くから羊や山羊の放牧が行われ、ラクダも飼われてきました。プレーンのドリンクヨーグルト「ラバン」、プレーンのセットヨーグルト「ザバディ」、濃縮ヨーグルト「ラブネー」などが作られています。乳を自然発酵させ、浮上したクリームを除いた「ラバン・ライブ」も作られます。砂漠地帯のベドウィン族は、発酵乳からホエーを除いたカードを小分けして風乾した保存性のある「マデール」を作り、水でもどしてヨーグルト様にしたり、お湯で溶かしてスープとして利用します。その他の保存食としては、バターミルクを加熱し、できたカードを風乾した「オクト」もあります。砂漠の農民は、「ローバー」というヨーグルトタイプの飲料を作ります。

シリア

牧畜は、主に山羊と羊です。シリアでは、ヨーグルトの「ラバン」、濃縮ヨーグルトの「ラブネー」、バターミルクの「アイラン」が作られています。ラブネーは、粉末トウガラシ、クミン、ミントなどを振りかけ、さらにオリーブ油などを垂らして食べます。「レベネン・ベゼット」は、羊乳や山羊乳を皮袋に入れて発酵し、攪拌してバターを除き、残ったバターミルクに食塩を加えてホエーを除去したカードを球状にしてオリーブ油に浸漬したものです。

トルコ

トルコの牧畜は、中央部に広がるアナトリア高原を中心に発達し、羊乳の生産量は世界一です。伝統的なヨーグルトには、脂肪含量の高い羊乳や水牛乳から作られる「シリブリヨーグルト」があります。このヨーグルトは、脂肪含量4?5.5%の乳を容器に入れてからフタをせず40?50℃で1時間くらいかけて表面に黄金色のクリーム層を作り、発酵させるもので、他に例のない方法で作られています。ヨーグルトに1%濃度の食塩水を同じ量で混ぜて作った「アイラン」は、国民的飲料で必ず食卓にのぼります。遊牧民は、ヨーグルトからバターをとった残りのバターミルクを「アイラン」といい、塩を加えて飲用します。この他、ヨーグルトを布袋(トルバといいます)に入れてホエーを除き、乳固形分を30%くらいにした濃縮ヨーグルト「トルバ」があります。夏季に作って冬季に食べるのでウインターヨーグルトとも言われる「キスヨーグルト」は、加熱してホエーを除いた濃縮ヨーグルトに塩を加えて壷にいれ、表面をオリーブ油で覆って保存します。ハーブ、スパイス、オリーブ油と混ぜてソフトチーズのように食べられます。

ヨルダン

砂漠とステップが多く、牧畜は羊と山羊が盛んです。「ラバン」「ラバネー」が作られています。ベドウィン族が古くから紅茶や料理に利用してきた「ジャミード」は、自然発酵させた羊乳を皮袋に入れて振とうし、次いで布袋に移してホエーを除き、得られたカードに岩塩を混ぜて団子状にし天日乾燥したものです。

レバノン

最も一般的な発酵乳「ラバン」は、牛乳、羊乳、山羊乳、ラクダ乳で作られ、家庭では前回の残りのラバンをスターターとして利用します。そのラバンから布袋でホエーを除いた濃縮発酵乳「ラバネ(ラブネー)」は、冬季に食べられます。また、ラバネを乾燥させた「ジャブ・ジャブ」は、水で溶かし、スパイスやハーブを加えて飲用します。「キシク」は、ラバンと小麦粉を混ぜて乾燥したものです。これを粉砕して水を加え、弱火にかけると粥状になり、パンと一緒に食べられます。「ラバネ・アンバリス」は、山羊乳で作ったラバンからホエーを除き、残ったカードに食塩を加えてオリーブ油に浸漬したものです。