本試験は、神奈川歯科大学 口腔科学講座環境病理学 槻木恵一教授らのグループによって、2014年10月~12月の間、プラセボ対照二重盲検並行群間比較試験(※1)を用いて神奈川県内の特別養護老人ホーム2施設にて実施されました。被験者は高齢者施設に入所する高齢者 96名です。
被験者の半数の人が乳酸菌1073R-1株を使用したヨーグルトを、もう半数の人が対照ヨーグルトを1日1回100g、12週間にわたって毎日摂取し、両グループのインフルエンザA(H3N2)亜型に反応する唾液中IgA(※2)の推移を比較しました。なお、両グループとも開始から約5週間経過した11月初旬にインフルエンザワクチンを接種しています。
その結果、乳酸菌1073R-1株を使用したヨーグルトを摂取した群は、対照群と比較してインフルエンザA型H3N2ウイルスに反応するIgAが有意に多いことがわかりました。つまり、単にIgAが増えただけではなく、増えたIgAがインフルエンザウイルスに対抗する力をもつものであったことが確認できました。
※1 試験食品と対照食品を同じ条件で与える試験
被験者だけでなく、現場で試験を行う人も、与える食品が試験食品か対照食品かを知らされないため(二重盲検試験)、試験結果に先入観が影響しない。
※2 免疫の「抗体」の一種
IgA(免疫グロブリンA、英:Immunoglobulin A)は主に口腔、鼻や目、消化管などの粘膜に存在し、ウイルスや細菌などの異物の侵入を防ぐ。腔内には1日50~100mgのIgAが分泌されると言われ、口腔で働く免疫の中でIgAの占める割合はかなり高いと言える。