乳酸菌研究最前線

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乳酸菌OLL2716株の試験結果(自律神経)

乳酸菌OLL2716株の自律神経改善効果

①乳酸菌OLL2716株の摂取により、自律神経のバランスが改善

日本人に一般的な軽度から中等度の胃排出遅延(胃の動きの低下により食べ物を消化して腸に送り出すまでに時間がかかる状態)※1が見られる20~64歳の日本人28名に対し、乳酸菌OLL2716株群(14名、内1名脱落)とプラセボ群(14名)に無作為に割付けました。
乳酸菌OLL2716群は乳酸菌OLL2716株を含むヨーグルト、プラセボ群は同乳酸菌を含まずかつ外観や味で区別がつかないヨーグルトを1日1個(85g)を12週間摂取してもらいました。唾液に含まれるアミラーゼと呼ばれる酵素の濃度が、ストレスによる自律神経バランスの異常の指標になることから、唾液アミラーゼ濃度を測定しました。

試験スケジュール

図 試験スケジュール

試験食品摂取12週間後に、プラセボ群に比べて乳酸菌OLL2716株群に唾液アミラーゼ濃度の有意な低下が認められました。このことから、乳酸菌OLL2716株を含むヨーグルトを12週間摂取することで、自律神経のパランスが改善することが分かりました。
唾液アミラーゼ濃度の摂取前値と12週間後の変化の関連性を検証した結果、乳酸菌OLL2716株群では、ストレスによる自律神経機能の異常が大きい人ほどその改善効果が著しいことがわかりました。なお、この様な効果は、プラセボ群では確認できませんでした。

試験食品摂取12週間後の唾液アミラーゼ濃度の変化量

図 試験食品摂取12週間後の唾液アミラーゼ濃度の変化量

※1流動食を用いた13C呼気法胃排出能検査により胃排出能を調べました。胃排出能の指標であるTmax(流動食を服用後、胃排出速度がピークに達するまでの時間)の日本人平均値は45分です(日本平滑筋学会の調査報告より)。併せて標準偏差は10分と報告されていることから、55分以上かつ75分未満の人を「軽度から中等度の胃排出遅延」とし、被験者として選定しました。本試験で設定した軽度から中等度の範囲は日本平滑筋学会のデータを参考に設定しており、日本人の約16%が該当すると推定され、日本人に一般的といえます。

②乳酸菌OLL2716株の摂取により胃排出遅延の改善傾向がみられた

胃排出能の指標であるTmaxは日本人平均値が45分であることが報告されており、日本人平均値45分との差を胃排出遅延の程度と見なすことができます。そこで、試験食品の摂取前と12週間後を比較して、胃排出遅延の程度が30%以上減少した人(=日本人平均値45分に近づいた)を「胃排出遅延の改善あり」とした場合、結果は以下のようになりました。

プラセボ群に対する乳酸菌OLL2716株を含むヨーグルト摂取群の胃排出遅延改善のオッズ比は4.1(95%信頼区間:0.8-20.2)であり、乳酸菌OLL2716株群の方が胃排出遅延の改善が起こりやすいと言えます。

また、食欲や消化器症状のタイプに着目した層別解析の結果、胃の異常が強く疑われる被験者において、乳酸菌OLL2716株群の胃排出遅延のオッズ比は更に大きく、胃排出遅延の改善が起こりやすいことが示されました。

プラセボ群と比較した乳酸菌OLL2716株群の胃排出遅延改善オッズ比(摂取12週間後)1

※2統計学で、ある事象が「起こらない頻度」に対する「起こる頻度」の比率をオッズと呼ぶ。オッズ比は、ある事象の起こりやすさを比較して示す際に用いられる。オッズ比が1より大きい場合は、その事象が起こりやすいことを示します。

プラセボ群と比較した乳酸菌OLL2716株群の胃排出遅延改善オッズ比(摂取12週間後)2

図 プラセボ群と比較した乳酸菌OLL2716株群の胃排出遅延改善オッズ比(摂取12週間後)