ピロリ菌ってなに?ピロリ菌とは
胃炎・胃潰瘍・胃がんの原因日本人の死亡率の第一位は「がん」です。その中でも胃がんは常に上位の疾患です。 胃炎や胃潰瘍、胃がんなどを引き起こす原因菌であるピロリ菌は、下水道の未整備による不衛生な状況や、母が子に食べ物を口移しで与えることなどで感染します。幼いときにこのような状況下で一度ピロリ菌に感染すると、一生の付き合いとなってしまうのです。一度入ったピロリ菌はそのまま胃に留まり、胃の粘膜を傷つけて炎症を起こします。疾患の全てがピロリ菌によって発症するわけでは無いですが、胃潰瘍の70?80%、十二指腸潰瘍の90?100%がこの炎症によって発症することが分っています。 【コラム(1)】ピロリ菌の歴史
ピロリ菌は1982年、オーストラリアの病理学者、ロビン・ウォレンと、消化器病医のバリー・マーシャルらによって発見されました。消化器の医師であるマーシャル博士がピロリ菌を飲んでみたところ胃炎が発症したことで、ピロリ菌が胃炎の原因であることが分りました。世界人口の約半数がこの菌に感染していますが、中でも下水道の普及が低い東南アジアなどで感染率が高いです。日本は60歳以上の世代は感染率が高い反面、衛生環境が整った時代に生まれた若い世代の感染率は低くなっています。
【コラム(2)】ピロリ菌の起源
ピロリ菌と人類の付き合いが、ヒトが誕生した頃からの長い付き合いである事が、2007年に分りました。調査を行った欧米のグループの報告によると、世界の51民族769人からピロリ菌を取り遺伝子分析した結果、ピロリ菌はアフリカなどの地域別6グループに分けられました。そして東アフリカ住民寄生のものが最も古かったのです。これは、東アフリカから各地へと渡っていった5万8000年前に共にピロリ菌も世界各国へと広がっていたことを表します。
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