今日から始める"腸食"生活

腸のはたらきと腸食でとりたい3つの栄養

腸の元気は、体の元気!

理想の腸は「善玉菌が優勢」

腸には100兆個、約1.5kgもの腸内細菌がすんでいるといわれます。これらのうち、腸に有益なはたらきをするのが「善玉菌」、悪影響を及ぼすのが「悪玉菌」、どちらともつかないのが「日和見菌」。その比率はだいたい2:1:7ですが、もっとも多くを占めている日和見菌が悪玉菌の味方につくと、一気に腸内環境が悪化します。

そうならないために大切なのが、つねに善玉菌が優勢な状態にしておくこと。善玉菌が優勢であれば腸がスムーズに動くので、便秘の心配はありません。

腸内環境が乱れると、不調の原因に

腸内細菌のバランスが崩れると、悪玉菌は有害物質を作り出します。こうした物質が腸にダメージを与えると、大腸がんなど腸の病気の原因に。

有害物質が腸から吸収され、血流にのって全身を巡ると、肌が荒れる、疲れやすくなる、免疫力が下がって風邪を引きやすくなるなど、さまざまな不調が現れます。また、有害物質がまざって血液がドロドロになると、血液中の栄養が細胞に取り込まれにくくなるため、栄養が脂肪となって蓄積し、肥満につながります。

腸食でとりたい3つの栄養

発酵食品

ヨーグルトなどの発酵食品に含まれる乳酸菌には、腸内の善玉菌を増やし、腸内環境を整えるという重要なはたらきがあります。乳酸菌は腸内に定着できないので、毎日継続してとることが大切です。

発酵食品…ヨーグルト、チーズ、キムチ、みそ、甘酒など

食物繊維

食物繊維には、2つの種類があります。
1つは水分を吸ってふくらみ、便のかさを増やしてぜんどう運動を促進する「不溶性食物繊維」。もう1つは、水を含むとゲル状になり、便の水分を増やして排出しやすくする「水溶性食物繊維」です。水溶性食物繊維は、腸内の善玉菌のエサになって、腸を健康にするのにも役立ちます。

戦後に比べ、日本人の食物繊維の摂取量は減少しています。逆に、食物繊維の摂取が増える傾向にあるアメリカでは、がん患者が減少しているというデータもあります。

水溶性食物繊維を含む食品…キウイ、りんご、おくら、ほうれん草など
不溶性食物繊維を含む食品…さつまいも、きのこ、わかめ、もち麦など

オリゴ糖

糖の一種で、大腸まで届き、乳酸菌のエサとなったり、腸内の善玉菌を増やしたりする働きがあります。ただし、糖の一種なので、とり過ぎには注意が必要です。

オリゴ糖を含む食品…きなこ、いんげん、ごぼう、小豆、玉ねぎ、はちみつ、バナナ、にんにくなど

監修:順天堂大学医学部付属 順天堂医院 総合診療科・病院管理学  教授 小林弘幸

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