Femlink Lab.(フェムリンクラボ)

メンタル面の安定には、朝日とリズム運動でセロトニンの分泌を促進

 メンタル面の調子を整えるために重要なのが、前述のセロトニンという神経伝達物質です。セロトニンを作るには、材料となるトリプトファンとビタミンB6をとることが大切です。トリプトファンは牛乳から発見された必須アミノ酸で、高たんぱく食品に多く含まれ、ビタミンBは魚、バナナ、キウイ、納豆などに多く含まれます。こうした成分が不足しないようにすること以外に、太陽の光を浴びることも大事です。太陽の光を浴びることで、セロトニンの分泌が促進されるからです。

 「朝食をとり、できるだけ朝10時までに太陽の光を浴びてセロトニンをたくさん分泌しておくと、体内時計がリセットされ、夜にはメラトニンもしっかり作られるので、睡眠の質も高まると言われています。紫外線を浴びれば、免疫機能を上げるビタミンDも皮膚で合成されるので一石二鳥です。多くの女性がビタミンD不足なので、セロトニンとビタミンDを増やすためにも、適度な日光浴がお勧めです」と細川さんは話します。

 セロトニンは、自転車こぎ、ウォーキング、踏み台昇降、ガムを噛むなどのリズム運動でも分泌されます(※3、4)。

 「月経前には一般的にセロトニンの分泌量が低下しますが、太陽光を浴び、リズム運動をすることで、気持ちの落ち込みやイライラ、食欲が増すといったPMSの精神的な症状の緩和が期待できます。セロトニンの分泌を促すためにも、1日25分程度を目安にリズム運動を続けるといいようです。ぜひ太陽の下でのリズム運動を習慣にしてみてください」(細川さん)

※3:Behav Brain Res. 2014 Aug 15;270:112-177.
※4:Pain. 2005 Nov;118(1-2):35-42.

入浴と睡眠時間の確保がもたらす、月経への嬉しいこと

 実は、入浴も月経痛の程度に関係することがわかりました。「毎日入浴する(湯船につかる)人は、週4回以下の人たちと比べて日常生活に支障のある月経痛が少ない傾向が見られました」(下グラフ)と細川さんは話します。

入浴頻度が多い人ほど月経痛が軽い

湯船につかる頻度と月経痛について。毎日湯船につかる人では、「寝込んだり、痛み止めを飲んだりするほどの月経痛がある」人は約20%。対して「月経痛がほぼない」人が約40%と多かった。
(出典:一般社団法人ラブテリ「京都保健室調査」2018)

 「入浴で月経痛が軽くなる理由は、体温が上がることで副交感神経が刺激されリラックスし、血液循環がよくなるから。湯船につかるのが面倒な日は、足浴でもOKです。副交感神経が高まってリラックスすれば安眠にもつながります。また、日本人女性の睡眠時間の短かさは、世界でも最下位に位置しますが(2018年のOECD調査)、睡眠不足による月経痛やPMSへの悪影響を防ぐには、1日6時間以上眠ることが大切です。こうした習慣を続ければ一生涯健康を保つことにもつながるのです」と細川さん。

 今日から自分でできることはたくさんあります。月経不調を改善する細川さんおすすめのライフスタイルは以下の10カ条。まずは実践しやすいところから始めてみて!

月経の不調を和らげるライフスタイル10カ条
(細川モモさん監修)
  1. 起床後30分以内に朝日を浴びましょう
  2. 毎日、朝食をとりましょう
  3. 1食につき片手1杯(20g程度)のたんぱく質を、3食とりましょう
  4. 鉄分、マグネシウム、たんぱく質などを含む、栄養のあるおやつを食べましょう
  5. 揚げ物の過剰摂取は控えましょう
  6. 緑黄色野菜と魚類を意識して食べましょう
  7. カフェインのとり過ぎを避けましょう
  8. 1日25分程度のリズム運動を
  9. 湯船につかる習慣をつけましょう
  10. 1日6時間以上は眠りましょう

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