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エネルギーと栄養の不足が、月経不順・無月経や月経痛、PMSの引き金に

 ラブテリの調査ではもう一つ、「朝食を毎日食べている人に比べて、週2回以上朝食を抜いている人は、鎮痛剤を飲まなければならないほど強い月経痛に悩む人が多かった」ということもわかりました(下グラフ)。

朝食をとっている人は月経痛が軽い傾向に

朝食をとる頻度と月経痛の関係を見た調査。朝食をほぼ毎日食べている人(131人)では「寝込んだり、痛み止めを使用したりするほどの月経痛がある」人は約25%だったのに対し、朝食は週に4~5日以下の(週2日以上朝食を抜く)人(81人)では「重い月経痛がある」人は約40%も。また、朝食をとっていて「月経痛が軽い」あるいは「ほぼない」人は約74%、朝食を食べていない人では約59%だった。
(出典:一般社団法人「ラブテリ」)

 朝食を毎日とっている人は月経にもいいことがありそうです。

 「私たちの調査では、朝食をとる人で月経痛が軽い傾向がありました。これは、朝食を食べることで体温が上がり、痛みを強く感じさせる冷えを和らげるからだと考えられます。体温を上げるためには、スムージーやサラダだけで朝食を済ませたりせず、たんぱく質を朝からとることをお勧めします。たんぱく質は、髪、肌、爪、筋肉、細胞などのもとになる大事な栄養素ですし、女性ホルモンや、メンタル面の安定に関わるセロトニンなどの神経伝達物質の材料でもあります。乳製品、肉、魚、卵、大豆製品といった5大たんぱく質を毎食片手1杯分以上(20g程度)しっかりとってほしいです」と細川さんはアドバイスします。

 忙しい朝のメニューにたんぱく質を加えるのは大変と思いがちですが、例えばヨーグルト、チーズ、牛乳、豆乳、ゆで卵、納豆、鮭フレーク、しらすなどなら、そのまま食べられて手軽です。

 また、ダイエットのし過ぎなどで月経が止まった経験はありませんか。摂取するエネルギー量が急激に減ると、月経が止まったり(無月経)、月経不順になったりしやすくなります。

 「一度無月経になると、体重を元に戻しても月経や排卵が再開しないこともあり、不妊の心配も出てきます。また、無月経の原因が脳や甲状腺の病気の場合もあるので、無月経は絶対に放置しないで婦人科を受診してほしいです」と細川さんは強調します。無月経や月経不順を防ぐためにも、食事を抜いたり制限したりせず、必要とされるエネルギーをとることが大切なのです。

おやつで、マグネシウム、亜鉛、カルシウム、鉄などを上手に補給

 では、あなたは今、1日にどのくらいのエネルギーをとっているでしょうか。

 日本ではグルメ番組や雑誌特集が人気で、おいしいスイーツが話題になるなど、食が豊かな国といわれていますが、ラブテリと三菱地所が東京で働く20~30代の女性352人を対象に実施した「まるのうち保健室2016年度調査」によると、1日の平均エネルギー摂取量は1488kcalでした。デスクワークなど身体活動量が普通の20~30代の女性に必要なエネルギー摂取量は1日2000~2050kcal(日本人の食事摂取基準2020年版)ですから、500kcal以上も不足しているのです。

 「エネルギー不足の女性たちは栄養失調状態でもあり、月経痛やPMSを和らげる効果が期待できるマグネシウム、亜鉛、カルシウムといったミネラルも不足しています。月経のある女性は1日10.5㎎の鉄をとらなければならず、出血量の多い人は1日16㎎必要です。ところが、現状では平均約6〜7㎎しかとれていないのですから、月経が正常にくるほとんどの女性が貧血になってしまっても不思議はありません。月経痛やPMS、貧血を減らすためには、食事に加えてFe(鉄)添加のおやつ、ナッツ類やドライフルーツなど、マグネシウム、亜鉛、カルシウム、鉄などのミネラル類を含むおやつを積極的にとることをお勧めします」(細川さん)

 ただし、コーヒー、紅茶、エナジードリンクなどのカフェイン飲料には、「せっかくとったミネラル類を体外へ排出してしまう作用があるので、食事やおやつとカフェイン飲料は一緒にとらないほうがいいでしょう。月経前の気持ちの落ち込みやイライラなど精神的な不調にも影響すると言われているので、カフェインの摂取は1日300㎎以下に抑えたほうがいい」と細川さんはアドバイスします。ちなみに、ドリップコーヒー100mlのカフェイン量は60mg(※2)です。
※2:全日本コーヒー協会調べ

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