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わたしと生理

2万人調査でわかった「食事や生活スタイルを変えるだけで“月経不調”は軽減できる」

取材・文/福島安紀  撮影/齋藤暁経  図版/三弓素青  編集/降旗正子(Paradise Lost)  企画・構成/日経BP 総合研究所

月経(生理)前のイライラや月経痛が毎月つらい……。でも、「仕方ない」「薬は使いたくない」などと考えて、つらさを我慢している人は少なくありません。
実は、食事や生活習慣を見直すだけでも、つらい症状を和らげることが期待できます。
全国約2万人の女性の調査などからも、そのことがわかってきています。調査を行った一般社団法人「ラブテリ」代表理事で予防医療・栄養コンサルタントの細川モモさんに、月経に伴う困りごとを減らす食事やライフスタイルの改善ポイントを聞きました。

揚げ物は減らし気味に、缶詰なども利用して魚を意識してとって

 例えば月経痛で困っていても、痛み止めは飲まずに我慢し、ただ「何をしたらいいかわからない」という理由で、何も手を打たずに毎月、つらさに耐えていませんか?

 「月経症状がつらいときは、婦人科を受診した上で、食事や生活習慣を見直してみて」と話すのは、女性の不調を栄養面から改善・予防するために実態調査や啓発活動を行っているラブテリの細川モモさん。20〜40代の女性約2万人の月経痛とPMSについて調べ、そのうち1,800人の食事を分析したラブテリの調査の結果から、「和食中心の食生活の人は月経の悩みが少ない」ことがわかったというのです。ここでいう月経の悩みとは、月経痛とPMS(月経前症候群)、月経不順・無月経の3つを指しています。

 「月経痛やPMSのときに、頭痛や胸の張りなど痛みの原因となるのが、プロスタグランジンという物質です。プロスタグランジンの材料の一つであるn-6系脂肪酸は主に、揚げ物や炒め物に使う植物油に多く含まれています。逆に、血液をサラサラにして月経痛を抑える効果が期待されるのが青魚などの魚に多く含まれるn-3系脂肪酸(DHAやEPA)です。私たちの経験では、週3回以上魚を食べるように食事を見直しただけで、月経痛が軽減した人も複数いました。また、抗酸化物質を多く含む緑黄色野菜や果物などは、痛みを招く炎症を和らげる作用が期待できます」と細川さんは説明します。

 月経痛が強いかどうかは、痛みの背後に病気がない場合、一般的には排出される月経血の通り道が狭いという子宮の構造上の特徴や、痛みの感じ方などの体質によると考えられています。そうであっても、食生活を少し変えてみるだけで月経期間中が快適になるなら、試してみる価値はありそうです。

 「揚げ物や炒め物の割合が多い人は、その量を見直し、ニンジンやブロッコリーなどの緑黄色野菜は増やして、できれば、なるべく魚を食べる機会を増やしてほしい。青魚に多いn-3系脂肪酸が月経痛の症状を和らげることは研究でも明らかになっています(※1)」と細川さん。忙しい人は、サバ、サンマ、イワシなどの缶詰や鮭フレーク、しらすなどの食品や、外食時は回転ずしなども活用して、意識して魚を食べる工夫をしてみてください。
※1:Am J Obstet Gynecol. 1996 Apr;174(4):1335-1338.

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月経不順・無月経や月経痛、PMSの引き金に

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