Femlink Lab.(フェムリンクラボ)

生理・PMSのきほん

女性の約7割が悩んでいる生理痛・PMSに対して、人に相談しづらい・症状をどう判断すれば良いかわからないという声が多く聞かれます。
そこで Femlink Lab. では、生理・PMSの基礎知識をまとめました。
正しい知識を、不安の解消や症状の軽減、からだのサインに気づくきっかけにしましょう。

生理のメカニズム

生理のメカニズム

女性のからだは毎月、女性ホルモンの分泌が増えたり減ったりする“波”に揺さぶられています。
女性ホルモンとは、卵巣から分泌されるエストロゲンとプロゲステロンのこと。これらが脳の指令を受けながら働くことで、約28日周期の「生理(月経)」が起こります。
生理周期は、「卵胞期」「排卵期」「黄体期」「月経期」に分かれています。

卵胞期にはエストロゲンが増殖して徐々に厚くなり、排卵後の黄体期にはプロゲステロンの分泌も始まり、子宮内膜は受精卵の着床に適した状態(厚み)に整います。
厚くなった子宮内膜は、妊娠しなかった場合には不要となって剥がれ落ち、体外に排出されることに。これが生理です。生理は3~7日ほどで終了し、その後はまた同様のサイクルで妊娠の準備が進められます。

月経周期

女性ホルモンの種類と働き

エストロゲン(卵胞ホルモン)
乳房や生殖器の発育、丸みを帯びた体つき、肌の潤いなど、女性らしさを作るホルモン。血管や骨など全身の健康を守る働きもあります。
プロゲステロン(黄体ホルモン)
妊娠を助けるホルモン。受精卵が着床しやすいように子宮内膜を整え、妊娠を持続させます。その一方、むくみや肌荒れなどの原因にもなります。
生理が引き起こす2大不調

生理が引き起こす
2大不調

生理痛

生理のときに子宮内膜から分泌される、痛み物質のプロスタグランジン。
この物質が子宮の筋肉をギュッと収縮させ、剥がれた子宮内膜を血液と共に体外に押し出そうとすることで起こるのが、下腹部や腰の痛みなどの生理痛です。吐き気や頭痛、食欲不振などを伴うこともあります。

⽣理中、こんな症状ありませんか?生理痛の主な症状

  • 下腹部や腰の痛み
  • 倦怠感、全身のだるさ
  • 吐き気、頭痛
  • 貧血
  • 下痢、便秘、食欲不振
  • イライラ、気分の落ち込み

生理痛が強くなる原因

プロスタグランジンの分泌量が多かったり、この物質に対する子宮の筋肉の感受性が高い場合、生理痛が強くなります。また、ストレスも痛みがひどくなる要因です。
初経から間もない10代では、子宮の出口が狭く、子宮がより強く収縮して経血を押し出そうとするため、痛みが強くなりがち。初経から3 年ほどで、痛みは軽くなるのが一般的です。

重い生理痛には
別の病気が潜んでいるかも

一方、20代以上で生理痛がひどい、10代でも重い生理痛が3年以上続く場合、子宮内膜症などの病気が潜んでいる場合があります。また、鎮痛薬が必要なほど痛みが強い人は月経困難症の可能性が高いです。
子宮内膜症や月経困難症を放っておくと、妊娠トラブルや不妊症、卵巣がん、さらには狭心症や心筋梗塞など婦人科系以外の病気リスクが上がるという報告が出てきているので気を付けましょう。
生理は「痛いのが当たり前」ではありません。生理痛が重い人は、将来の病気予防のためにも早めの治療が必要です。

PMS(ピーエムエス・月経前症候群)

PMSとは、生理3~10日位前に現れ、生理が始まるとスッと軽くなる、さまざまな精神的・身体的な不調のことです。
症状や重さは人によってさまざまですが、生理のある女性の約7割が経験し、約2割は日常生活に影響が出るほどつらいと感じているようです。

⽣理前、こんな症状ありませんか?PMSの主な症状

  • イライラ、情緒不安定
  • 眠気、不眠
  • 気分の落ち込み、不安
  • だるさ、疲れやすさ
  • 感情コントロールが難しい
  • 食欲不振、過食
  • 乳房やお腹の張り
  • 肌荒れ
  • 腹痛、頭痛、腰痛
  • 便秘
  • むくみ、体重増加

PMSの原因

PMSは女性ホルモンの波に揺さぶられやすい人に起こりやすく、排卵後に分泌されるプロゲステロンが一因と考えられています。妊娠に備えて食欲を増進させる・腸の動きを抑える・水分の排出を抑制するといった働きがあるプロゲステロンは、セロトニンなど感情を調整する脳の神経伝達物質にも作用するため、イライラや不安を誘発することも。性格やストレス、食生活、環境の変化などもPMSの要因になるといわれています。

精神症状が強い場合は
PMDDの可能性も

人が変わったように怒りっぽくなったり、感情が不安定になったりする場合は、PMSの重症型である「月経前不快気分障害(PMDD)」かもしれません。そのせいで人間関係や社会生活に支障をきたし、自分を責める人も少なくありません。

知っておきたいセルフケア

知っておきたい
セルフケア

生理に伴う不調は、食事や生活習慣を見直すことで軽減されることも。生理期間も自分らしく過ごすためのセルフケアをチェックしてみましょう。

食事を見直す

生理痛・PMSの軽減に効果的な食べものを意識してとることがおすすめです。

生理痛の軽減に

牛乳、青魚、牡蠣などの魚介類、牛肉、豚肉、ココア、ニンニク・ニラ・生姜・玉ねぎ、ナッツ類、アボカド・カボチャなど

PMSの軽減に

乳製品、小松菜、牡蠣などの魚介類、牛肉、豚肉、ココア、大豆イソフラボンを多く含む納豆・豆乳・豆腐などの大豆製品

生理中は摂りすぎ注意

  • 冷たいものからだを冷やすと痛みが悪化するため、生理痛が強い人は特に注意
  • カフェインを含む飲みもの過度なカフェインの摂取は血管収縮を引き起こし、冷えに繋がります
  • 塩分の多いものむくみを促進するためできるだけ避けましょう

生活習慣を見直す

生理に伴う不調を減らすには、入浴でからだを温め、6 時間以上の睡眠と3食しっかり栄養をとるという、基本的な生活スタイルが大切。さらに、生活の中に運動・日光浴を取り入れることで、より不調の軽減が期待できます。

運動の効果

ウォーキングなどの有酸素運動を1日25分、週3回以上行えば、生理痛とPMSの軽減が期待できます。
運動によってメンタルを調整するホルモンのセロトニンの分泌が増え、痛みや不安感が抑えられると考えられています。

PMSがある16〜20歳の女性30人を2群に分け、時速4.8kmで5分歩いた後、時速8.8kmのジョギング20分を週3回3ヶ月続けた有酸素運動群と普段通り過ごす対照群を比較。運動群では月経痛や月経中の腰痛、不安感、気分の落ち込み、むくみが弱くなった。データ:J Obstet Gynaecol. 2015 May;35(4):389-392.

日光浴の効果

朝、太陽の光を浴びることで、痛みを軽減するセロトニンが増加。
日光浴をすると皮膚でビタミンDが合成されるので、生理に伴う不調には一石二鳥です。

記事制作・協力/日経BP 総合研究所 メディカル・ヘルスラボ