生理の悩みに
意識して摂りたい栄養
なぜ生理に栄養?
栄養不足が続くと、日々の体調だけでなく、生理にも影響があらわれることがあります。
食事の偏りや欠食で栄養が不足することもあれば、ストレスや運動でも栄養が消費されています。さらに、女性は生理で栄養が失われることも。
だからこそ、バランスのとれた食事や必要な栄養を補う毎日の積み重ねが大切。
生理と栄養が、どのように関係するか見ていきましょう。



α-LA(α-ラクトアルブミン)
α-LAを毎日900mg摂ることで、月経中の身体的不快感を和らげることが分かっています。なかでも、月経中に感じる「倦怠感(疲労感)」「筋肉の凝り(首や肩など)」を有意に和らげることが確認されています。
研究結果

対象:25~40歳の月経に関する不快感を感じている健康な女性55人
試験:二重盲検プラセボ対照クロスオーバー試験を行いました。α-LA900mg/日、あるいはα-LAを含まない食品(プラセボ)を月経周期として1周期分摂取し、月経随伴症状に関する質問紙(MDQ)による調査を実施しました。
出典:R.Murakami. Jpn Pharmacol Ther.48.1409-1427.2020改変
さらにくわしい研究結果はこちら
牛乳中にわずか0.1%しか
含まれない乳たんぱく質

α-LA900mgは牛乳で摂ると、
コップ約4杯分にも相当

幸せホルモンとも呼ばれる「セロトニン」の材料=トリプトファンが豊富。トリプトファンは体内で作ることができないため、食事からの摂取が必要。
出典1:Donald K.Layman.Nutrition Reviews.76.444-460.2018
出典2:瀬戸泰幸.牛乳のタンパク質.オレオサイエンス.23.5-11.2023


ヨーグルト
のホエイ
ビタミンB1
炭水化物をエネルギーに変える役割をもつ栄養素。
不足すると、疲れやすさやだるさ、イライラにつながります。
研究結果


月経の際の痛みの程度が中等度あるいは重症の女子大学生76人に対して、黄体期(排卵後から月経まで)の期間、3周期にわたってビタミンB1を補給したところ、3ヶ月後には、痛みの程度が重症、中等度の割合が減少し、痛みの程度が緩和したという報告があります。※1
※1 Mandana Zafari. Afr. J. Pharm. Pharmacol.5.874-878, 2011


ビタミンB12+ 動物性たんぱく質
血液の材料をつくり、神経をコントロールする役割をもつ栄養素。
不足すると、貧血や睡眠などに影響します。
研究結果


20~39歳の健康な女性321人を、月経痛の程度 軽い(220人)と重い(101人)に分けて、栄養素摂取状態を摂取エネルギー1000kcalあたりで比較したところ、軽いグループではビタミンB12や動物性たんぱく質などの栄養素を多く摂取していました。※2※3
※2 Y.Naraoka. Healthcare 11.1289.2023※3 月経痛の程度を4分類に分け、①痛みがほとんどない、②痛みはあるが日常生活に支障がないと答えた人を「軽い」グループに、③薬なしでは1日を過ごせない、④動けないほどの痛みと答えた人を 「重い」グループにしました。



マグネシウム
+ ビタミンB6
骨や歯の材料、筋肉を動かす、神経・体温の調節など様々な役割をもつ栄養素。不足すると、筋肉トラブル、だるさに影響します。
たんぱく質が筋肉や血液などのカラダをつくるときに必要なサポート栄養素です。幸せホルモンのセロトニンをつくるときにも使われます。不足すると、肌トラブルやイライラにもつながります。
研究結果


月経前に中等度以上の心身の不快感を感じている15~45歳女性78人に対して、1周期間マグネシウムとビタミンB6を補給したグループとプラセボグループを比較したところ、マグネシウムとビタミンB6を補給したグループで、月経前の不快感が緩和したという報告があります。※4
※4 Fathizadeh N., J. Nurs. Midwifery Res. 15:401-405.2010


カルシウム
+ ビタミンD
骨や歯の材料、筋肉を動かす、神経を安定させるなど様々な役割をもつ栄養素。不足すると骨・歯の弱さだけでなくイライラにもつながります。
カルシウムの吸収を助ける役割をもつ栄養素。
不足すると、骨や歯のトラブルにつながります。
研究結果


月経前に中等度以上の心身の不快感を感じている20~23歳の女性10人に、カルシウムと、ビタミンDを1ヶ月補給したところ、月経時と月経前の不快感が補給前に比べ少なくなったという報告があります。※5
※5 末田香里. 名古屋女子大学紀要 51.45~51.2005


亜鉛
肌や粘膜の健康を助け、新しい細胞をつくるために必要な栄養素。
不足すると、成長への支障や肌トラブル、抜け毛、味覚鈍化にもつながります。
研究結果


PMS徴候のある女性が亜鉛を補給したところ、月経前の身体的・精神的不快感が緩和したことが報告されています。
出典:Fatemah J. Biol Elem Res.194.89-95.2020


鉄
血液の材料となる栄養素。不足すると、貧血のリスクが高まります。
不足の実態


鉄は日本人女性の多くが不足しがちです。15~49歳女性は1日当たり平均4.2mg不足しており、鉄4.2mgはほうれんそう200g(約8~10株)に相当する量です。食生活が偏っていないか、必要のないダイエットをしていないか見直してみましょう。
出典1:日本人の食事摂取基準2025年版出典2:国民健康栄養調査 中央値(令和5年)





変えるだけで“月経不調”は軽減できる」
一般社団法人ラブテリ代表理事、予防医療・栄養コンサルタント
細川モモ(ほそかわ・もも)さん
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