職場や家庭、学校でも月経の不調を言いやすい雰囲気づくりを
佐藤さんがもう一つ提案するのは、つらい症状があるときに、「今日は体調が悪くてつらい」と打ち明けられる仲間を持っておくことです。学校や職場でも、そして家庭でも、わかってくれる人がいるというだけで気持ちが安定しますし、体調が悪いときにお互い助け合えます。
実際に、職場や家庭で、上司や同僚、家族が月経のことを理解しようという動きも少しずつ広がってきています。職場での男性側からの意識改革、家族の理解の大切さ、自身の月経周期を正しく知りセルフケアでつらさを乗り切る知恵など、3人の体験を紹介しましょう。
体験談1
女性特有の不調を言い出しやすい雰囲気づくりの仕方を模索中
(株) 明治 食品開発本部 開発企画部企画グループ長
秋田 康一郎さん(47歳、既婚)
※年齢等は取材時点のもの

業務として「女性の健康課題解決プロジェクト」に関わったのを機に、月経のしくみや女性のホルモン変化について、健康検定のテキスト本を買って勉強しました。男性の場合は深く学ぶというより、月経の波のメカニズムを理解することが大切だと感じます。職場では男女で月経をオープンに語れるようになるのが理想ですが、今の段階ではまだデリケートな話題の一つ。男性上司や同僚に踏み込んで欲しくないと感じる女性もいると思います。
ですから私の場合、女性の健康課題に向き合っているという姿勢を職場で示しつつ、普段からよく話を聞いて、体調が悪いときに本人から気軽に言い出せる環境を作るよう心掛けています。
月経の勉強をしてから、妻との関係も以前より良好になりました。妻がイライラしていても、理由やしくみがわかったので、そういう時期だと冷静に受け止められるようになり、言い返すなどの摩擦が減りました。
体験談2
「お母さんは毎月大変だけど、そのおかげで、お前たちが生まれてくれた」と子どもに話してくれる夫
45歳女性、S.H.さん 既婚、会社員、家族:夫と中3の娘、中1の息子
※年齢等は取材時点のもの

10代からひどい生理痛に悩まされ、社会人になってしばらくしてから、低用量ピルを処方してもらうようになりました。おかげで症状は軽くなりましたが、毎月出血があり、頭痛もあるので、今も生理中は私の担当の家事も夫が率先してやってくれます。
実は、結婚して私が苦しんでいる様子をそばで見て、初めて夫は生理痛のつらさを理解したようです。そのため、「お母さんが毎月大変な生理を乗り越えて、お前たちが生まれてきたんだぞ。生理はこんなかわいい子たちが生まれるために大切な体の機能」と、子どもたちが小さいときから話してくれていたので、わが家では生理の話題はタブーではありません。
今では15歳になった娘が生理でつらそうにしていると、中1の弟が姉の分のお手伝いを代わりに引き受けたりしています。息子にも娘にも、「つらいときは助けてもらっていいんだ」「助けてあげたほうがいいんだ」ということが自然と伝わっているようです。

体験談3
生理1週間前からの「マイルーティン」でセルフケア
32歳女性、独身、契約社員
※年齢等は取材時点のもの

生理前には、特に食事に気を遣うようにしています。また、生理2日前頃から頭がぼんやりしやすいので、なるべく予定は入れず睡眠を多くとって腰を温めるようにします。
食欲も増えてしまうのですが、たんぱく質と鉄分を多めにとることを意識しています。こうしたセルフケアで自分をいたわると、憂うつな生理前も気持ちが軽くなる気がします。ルーティンを作って対処している、ということが安心感につながるのでしょうか。
今まで、PMSや生理痛がひどくてつらいと感じたのは、頭がうまく回らず仕事でミスを重ねてしまったときです。本当に体調が悪いときには休めるような環境、雰囲気が職場にあればいいなと思います。