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自分の月経周期を知るだけで、つらい症状を減らせる

 佐藤さんが最初にすすめるのは、自分の月経周期をチェックし、女性ホルモンの変動の影響を受けやすい時期を知っておくことです。

 「特に、女性ホルモンの一つであるプロゲステロン(黄体ホルモン)がたくさん分泌される月経前は、心と体に様々な症状が出やすい時期です。自分の月経周期を把握していて、その時期にどんな症状が出るのかを知っていれば、備えることができます。例えば、月経前にいつも足のむくみがつらい人は、その時期に着圧ストッキングを履くなどの準備ができるし、精神的に不安定になったりイライラが強いなら、アロマオイルを使ったりホットミルクを飲んだりしてリラックスできる環境を整えてもよいでしょう」と佐藤さん。

 「今はプロゲステロンがたくさん出てイライラしやすい時期」とわかっていたら、職場や家庭で誰かに当たってしまいそうになったときに、ひと呼吸置いて冷静になるということもできそうです。家族に事前に伝えておくことで不要な摩擦を減らせるかもしれません。冷やすと頭痛や下腹部痛を強く感じやすいので、月経痛がつらい人は、月経時期に体を温める工夫をするだけでも、痛みを軽くできる可能性があります。

快調なのは1カ月に10日ほどの人も

月経周期に伴う症状によって、快調から絶不調まで、女性の心身の調子は大きく変化する。症状の出る時期や程度は人によって、また月によっても違う。気分が安定する時期が、1カ月のうち、たった10日ほどしかないという人も。(出典:バイエル薬品「My Body & Cycle」監修:種部恭子氏を参考に作成)

月経周期と症状を記録してみると自分のパターンが明確に

 「具体的には、月経周期、月経の前と最中にどんな症状が出たのか、2~3カ月続けてノートやスケジュール表などに書いてみて、パターンを把握してみるといい。そうすれば、PMSの出やすい時期には打合せや細かい作業を避ける、という選択ができるのではないでしょうか」と佐藤さん。

 ある一流アスリートは、若いときから基礎体温と月経周期、体調、スポーツをした際のコンディションを記録し、パフォーマンスの改善に役立てているそう。紙に書くのが面倒なら基礎体温と月経周期を把握するアプリやPMSのセルフモニタリングアプリなどを使ってもいいでしょう。

 前出の調査でも、「月経周期を把握している」「月経のしくみについての知識がある」など、月経や体についての知識を持っている人は、そうでない人に比べて仕事のパフォーマンス低下を防ぐことができていました。自分なりの症状との付き合い方を見つけておくと、心の安定にもつながります。

気になる症状と月経との関係を記録しよう

まずは自分の月経周期とそれに伴う症状を知ることから。上記のような項目について記録をしてみてください。月経周期欄には、月経が始まった日を1(日目)として2、3と記入し、月経血量および各症状欄には、程度を表すマーク(△や〇、◎など)を決めて、最低2カ月記録してみましょう。

 記録を付けてみると、寝不足のときは月経中の頭痛や下腹部痛がより強いなど、生活習慣と症状の強さの関係が見えてくるかもしれません。

 「月経痛やPMSの症状の出やすさは体質の影響も大きいのですが、生活習慣を見直すと症状が改善する場合もあります。日本女性の多くは仕事、子育て、家事に追われており、睡眠不足、運動不足、栄養不足の傾向にあります。朝食を抜く人や、やせている人は症状が強いという報告もあり、食事は身近な見直しポイントの一つ。不調を減らすためにも、栄養をはじめとするこの3つの不足の改善に取り組んでみてください」(佐藤さん)

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 ただし、月経のたびにつらい症状がある場合、セルフケアだけで対処しようとするのは心配です。症状の背後に子宮内膜症などの病気が潜んでいる可能性もあるため、産婦人科で病気の有無をチェックしてもらってください。「特に、『月経のたびにひどい痛みを感じて、生活に支障が出るような人』『昼間に夜用ナプキンを使わなければいけないほど月経の出血量が多い人』は早く受診してほしいです」と佐藤さん。

 痛みの背後に子宮内膜症がある場合、放っておくと不妊のリスクが高くなります。出血量の多い人は貧血の可能性が高く、そのために、冷え症、頭痛、朝起きられない、気分が落ち込むなどの不調が生じている場合も少なくありません。日頃から不調を相談できる産婦人科医を見つけておくと安心です。

 月経の不調には、セルフケアと婦人科受診の2つを上手に組み合わせて対処したいものです。

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