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社会と生理

「女性ホルモンと月経について知る」ことが「生活を快適にする」第一歩

取材・文/福島安紀  撮影/稲垣純也  図版/三弓素青  イラスト/フジノマ  編集/降旗正子(Paradise Lost)  企画・構成/日経BP 総合研究所

毎月、イライラして怒りが抑えられなくなったり、仕事に集中できなくなる時期はありませんか。周期的に感じる不調やむくみ、精神面のアップダウンなどは、もしかしたら、月経(生理)や女性ホルモンの変動のせいかもしれません。
月経周期や女性ホルモンの変動に伴う女性の体調の変化については、男性だけでなく女性自身も知らない人が少なくありません。でも、そうしたことを理解できていれば、対策をとることができます。家族や職場の上司、同僚など周囲の人たちが月経を理解していることも、不調の影響を最小限に抑えることに役立ちそうです。
女性の健康支援をライフワークにする産科婦人科舘出張(たてでばり)佐藤病院院長の佐藤雄一さんに、女性ホルモンの変動とうまく付き合うためのヒントを聞きました。

 あなたは、月経とうまく付き合えていますか。最初に、以下のチェックをしてみましょう。

月経とうまくつきあえていますか? CHECK
  • 自分の月経周期を把握していますか
  • 月経周期と体調の関係の記録を付けたことがありますか
  • 自分の好・不調を月経周期と関連付けて考えたことがありますか

パフォーマンスの低下を自覚しながらも、
女性はものすごく頑張っていると思います

 女性の多くが毎月の月経に伴う不調で、生活の質を落としたり、つらい思いをしたりしています。そのことが仕事や家事にも影響し、困っていることもわかっています。例えば、18~49歳の働く女性2000人を対象にした調査では、約半数の女性が月経痛やPMS(月経前症候群)など月経に伴う症状によって、仕事のパフォーマンスが元気なときの半分以下に低下していると答えています。月経でパフォーマンスが落ちないと答えたのはたったの6%。ほとんどの人が月経のせいで生産性が落ちると感じていました(下円グラフ)。

 「月経のある人なら月経痛やPMSは誰にでも起こり得ること。決して、その人が悪いからとか、怠けているからではありません。それどころか、女性は、毎月調子が悪い時期があるのに、相当頑張って仕事をこなしているわけです。ホルモンの波のない男性と同じように頑張ろうとしているのです。女性の半数以上が“月経不調”を抱えて困っているという事実を、男性、そして月経に伴う症状があまりないという女性も知っておく必要があります」と産科婦人科舘出張(たてでばり)佐藤病院院長の佐藤雄一さんは指摘します。

月経痛やPMSで約半数の人が
仕事のパフォーマンスが半分以下に

全国の18~49歳のフルタイムの正規、契約、派遣社員・職員の女性2000人に実施した調査。「PMSや月経に伴う症状によって、仕事のパフォーマンスが普段と比べてどのくらい変わるか」を、元気な状態のときを10点として点数化してもらったところ、元気なときと比べて仕事のパフォーマンスが半分以下(0点~5点)になると回答した人は45%。月経の影響を受けたときの全回答者の平均値は5.89点だった。
(出典:「働く女性の健康増進に関する調査2018」日本医療政策機構)

 とはいえ、誰だって月経に伴う困りごとの影響は最小限に抑えたいもの。そのためにはどうしたらよいのでしょうか。

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自分の月経周期を知るだけで、
つらい症状を減らせる

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