乳酸菌OLL1251株ならびに乳酸菌OLS3290株試験結果
試験の方法
今回の研究では、健常人においてヨーグルトが食事由来のカロテノイドの吸収性にどのような影響を与えるかを明らかにするための試験を実施。ランダム化クロスオーバー試験を採用した3つの臨床試験では参加者のうち、最初に野菜(試験1:にんじん、試験2:トマト、試験3:ほうれんそう)のみを摂取し、その次に野菜とヨーグルトを摂取するA群と、最初に野菜とヨーグルトを摂取し、その次に野菜のみを摂取するB群に分けて、それぞれの血中カロテノイド濃度を比較しました。(図1)
試験食品の内容は、野菜およびヨーグルトから構成されています。(図2)野菜は、にんじん、トマト、ほうれんそうとなります。試験内で使用するヨーグルトは、EPSを多量に含む乳酸菌OLL1251株ならびに乳酸菌OLS3290株を添加したヨーグルトを用いました。また、各摂取試験日の間には、2週間のウォッシュアウト期間をおいています。
試験結果
試験1:にんじん
血漿TRL画分中のβ-カロテンは、にんじんのみ摂取した場合と比べ、にんじん+ヨーグルトの摂取により、有意に高値となりました。β-カロテンだけでなく、α-カロテンの上昇曲線下面積(iAUC)は、にんじんのみ摂取した場合と比べ、にんじん+ヨーグルトの摂取により、有意に高値となりました。(図3)
試験2:トマト
トマトとヨーグルトを同時摂取した場合、トマトのみ摂取した場合と比較して、血漿TRL画分中のリコピンのiAUCが有意に高値となりました。(図3)
試験3:ほうれんそう
ほうれんそうとヨーグルトの同時摂取は、ほうれんそうのみ摂取したときと比較して、血漿全画分中のルテインのiAUCが有意に高値となりました。(図3)
乳酸菌OLL1251株ならびに乳酸菌OLS3290株のはたらきで、
社会課題の解決へ
ヨーグルトによるカロテノイドの吸収促進効果は、カロテノイドが本来持つ健康機能を十分に発揮するために重要な役割を果たします。このはたらきによって、人々の栄養不足や吸収不足などによる健康課題の解決につながることが期待されています。例えば、治療のために脂質コントロール食を実践している方に向けたビタミン欠乏・不足対策、トレーニングをしながら脂質コントロールを行うアスリートの酸化ストレス対策などに役立つ可能性があります。
このように、さまざまな理由で食事を多く摂取できない方の栄養不足、そもそも吸収率が低い栄養素の吸収不足などの課題を、乳酸菌のはたらきによって吸収率を向上させ、しっかりと栄養を吸収させることで改善できるのです。明治は今後も、乳酸菌の研究を通して、人々の健康維持や促進に貢献し、社会課題解決に寄与します。