乳酸菌研究最前線

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栄養の事実〜摂取状況と吸収メカニズム〜 野菜の栄養カロテノイドと乳酸菌 乳酸菌OLL1251株ならびに乳酸菌OLS3290株試験結果

野菜の栄養カロテノイドと乳酸菌

カロテノイドの健康機能とは

栄養を充足する上で欠かせないのが野菜で、ビタミンをはじめ様々な栄養が含まれています。特に緑黄色野菜は「カロテノイド」という栄養成分を含んでいます。
カロテノイドは赤や黄色などの色素成分のことで、さまざまな健康機能を持つことで知られています。例えば、にんじんに含まれるβ-カロテンには皮膚や粘膜の健康維持を助ける機能や、夜間の視力を維持する機能があります。トマトに含まれるリコピンには、血中高密度リポタンパク質(high-density lipo-protein, HDL)コレステロールを増やし、血圧を低下させる機能があることが報告されており、栄養補助食品や機能性表示食品の関与成分としても知られています。さらに、ほうれんそうに含まれるルテインには、目の疲労感をやわらげる機能があります。このようにカロテノイドは私たちの健康維持に、有益な栄養素です。(図1)

健康に有益な栄養素「カロテノイド」 図1

カロテノイドの吸収率と乳酸菌の関係

ヒトの健康に良い影響を与えるカロテノイドですが、摂り方によって吸収率が異なります。例えば、にんじんに含まれるβ-カロテンの場合、生のままで食べるとわずか10%程度しか体内に吸収できません。カロテノイドの健康機能を最大限に高めるには、食事の際に吸収率を高めるための工夫が必要です。そこで明治は、ヨーグルトの新たな可能性に着目しました。野菜とヨーグルトの同時摂取によるカロテノイドの吸収量についての研究を実施。その結果、ラットにおいてβ-カロテンと、乳酸菌によって発酵させたヨーグルトを同時に投与することにより、β-カロテンのみ投与した時に比べ、血清中のβ-カロテン濃度が高値になり、その関与成分が乳タンパク質や乳酸菌代謝物であるEPS(多糖体)であることが報告されました。(図2)

ヨーグルト中のEPS(多糖体)の量と、β-カロテンの吸収量が相関 図2

EPS(多糖体)を高産生する乳酸菌

明治は、ヨーグルトと野菜の同時摂取によるヒトにおける有用性をさらに検討するために、約6,500株を有する明治乳酸菌ライブラリーからEPS(多糖体)を多く産生する乳酸菌を選抜しました。それが、L. delbrueckii subsp. bulgaricus OLL1251株(乳酸菌OLL1251株)ならびにS. thermophilus OLS3290株(乳酸菌OLS3290株)です。(図3)

L. delbrueckii subsp. bulgaricus OLL1251株(乳酸菌OLL1251株)ならびにS. thermophilus OLS3290株(乳酸菌OLS3290株)図3