月経痛は将来の病気の引き金にも。「痛いのは普通」ではない
毎月のことにもかかわらず、月経痛もPMSのつらさも仕方がないこととあきらめ、ひたすら我慢している人が少なくないといいます。でも月経のたびに鎮痛薬が必要になるほどの月経痛(月経困難症)は、痛み自体がつらく苦しいだけでなく、実は将来、いろいろな病気を引き起こすリスクにもなっているのです。
「月経困難症の約3分の1が子宮内膜症になることがわかっています。そして子宮内膜症があると、不妊症になったり、また妊娠したとしても妊娠トラブルが起こりやすくなったりします。卵巣がんになるリスクも上がります。さらに狭心症や心筋梗塞など、婦人科系ではない病気にもなりやすいことが、最近の研究で明らかになりました。これらの病気を防ぐためにも、月経困難症の段階で早く治療を受けることが重要です」と百枝さんは警鐘を鳴らします。
月経痛がひどい人は、まずは婦人科で受診を。治療には、ホルモン剤や漢方薬、鎮痛薬などが使われます。お腹や腰を温める、サプリメントや食品などで痛みを和らげる効果のあるものを活用するなど、併せてセルフケアも行うと体調を整えやすくなります(関連記事:2万人調査でわかった「食事や生活スタイルを変えるだけで“月経不調“は軽減できる」)。
月経困難症(月経痛)を放っておくと様々な病気に

(図は百枝さんの取材を基に作成)
PMSには生活習慣を見直してストレスをためない生活を。気になる症状があったら婦人科受診も
PMSに対しては、症状と月経との関係に気づくことが先決だといいます。まずは「PMS日記」をつけてみましょう。月経の開始日、体調や気分、重症度などを記録していくと、月経が始まってから何日くらいしたら、どんな症状が現れるか、どのくらいつらいかなど、パターンがわかるようになります。それに合わせて仕事や家事などの負担を調整したり、人と会う予定を決めたりすることもできます。知ることで自分の体調とうまく付き合うことができるようになるのです。
また、生活習慣の改善も欠かせません。「PMSの症状が出やすい人は、生活習慣や生活リズムに問題があることが多いようです。規則的な睡眠や運動、食事など生活を見直し、ストレスをためないように気を付けてください。サプリメントやハーブ、漢方薬などを活用したり、アロマなどでリラックスしたりするのもいいでしょう。もちろん、気になる症状があったら婦人科で治療を。ホルモン治療で排卵を止めると、症状も和らぎます」と百枝さんはアドバイスします。