LABO

カラダづくりに関する研究

VOL. 03

プロテインを
飲むタイミング

プロテインを飲むベストなタイミングはいつなのか?
ザバスの管理栄養士が、最新のエビデンスを踏まえて、説明します。

管理栄養士 大前 氏

管理栄養士

大前 

シカゴ・カブスで活躍する大リーガー鈴木誠也選手をはじめ、数多くのトップアスリートを栄養面からサポート。

筋肉量を増やすには、1日の合計のたんぱく質摂取量を増やすことが重要です。そのためにはまず食事でのたんぱく質摂取を増やすことが基本ですが、プロテインをうまく活用することが必要となってきます。
では、プロテインはどのタイミングで摂るのがよいのでしょうか。

実は、プロテインを飲むベストなタイミングは、一つではありません。

一日の中で欠かせないタイミングがあるとともに、カラダづくりの目的や運動強度、その日の食事などによって決まるベストタイミングがあるからです。
ここでは、プロテインを飲む重要なタイミングである 1.運動後 2.朝食 3.就寝前 についてご説明します。

1.運動後

運動後48時間は筋肉が作られている

プロテインは「運動後30分以内のゴールデンタイム」がベストタイミングであるとよく言われます。たしかに、運動をすると筋肉を作るスピードが増加します。筋肉に負荷がかかる「筋トレ」 のような運動の場合は増加が大きく、2時間後くらいにピークとなります。このタイミングは、プロテインを摂るベストタイミングの一つです。

出典 Tang JE. J Appl Physiol.107.987-992.2009 Phillips SM. Am J Physiol.273.E99-E107.1997
Churchward-Venne TA. Nutr Metab.9.40.2012 Moore D. Am J Clin Nutr.89.161-168.2009

しかし、この増加状態はその後も続いて、48時間後もまだ増えたままの状態です。この48時間の間にたんぱく質を摂れば、筋肉を作るスピードはさらに高まりますので、2日間程度、食事を含めて良質なたんぱく質をできるだけ多く摂るのが効果的ということになります。逆に、「30分以内」にこだわるあまりにその後のたんぱく質摂取がおろそかになってしまっては逆効果にもなりかねません。「2日間」 の良いスタートを切るために運動後速やかにプロテインを摂る、それはまさに「ベストタイミング」です。

プロテインは運動後か運動前か

運動前のプロテイン摂取によって運動後摂取の場合と同等の筋肉増加が起こる可能性も示されていますが、研究報告数は限られています。
一方で、安静時にプロテインを摂取しても筋肉は増加に傾きますし、運動習慣が無くたんぱく質を多く摂取し続けた場合にも筋肉は増えることが示されていますので、運動前のプロテイン摂取でも一定の筋肉増加が起こることが期待できます。
また、アメリカスポーツ医学会の報告では、持久力アスリートは筋肉の減少を防ぐために、運動後だけでなく、運動前および運動中にもたんぱく質を摂取することを推奨しています。

以上より、運動前のプロテイン摂取は、運動後の摂取と同様にカラダづくりに役立つと考えられます。
但し、運動前にプロテインを摂取すると、おなかが重たいなどの不快感が出ることがありますので、運動前にプロテイン摂取する場合には、運動を始める1時間くらい前までに摂取しておいた方が良いでしょう。

※参考文献:Kennethら 「Nutrition and Supplement Update for the Endurance Athlete: Review and Recommendations」 Nutrients 2019(IF=4.5)

2.朝食時

朝のたんぱく質は体内時計のリセット

最近、筋肉にある体内時計が、朝のたんぱく質摂取でリセットされることが解明されてきています。この体内時計は筋トレによる筋肉増加にも関わっているため、時計がずれると、せっかく筋トレをしても本来の筋肉増加が起こらないということが分かってきています。
たんぱく質が不足しやすい朝食時には、プロテインを利用してたんぱく質を補うのがおすすめです。

出典 Aoyama S. Cell Rep.36.109336.2021

3.就寝前

夕食を含む就寝前のたんぱく質摂取は、目標とする1日合計のたんぱく質摂取量(トレーニングとたんぱく質)を達成するために、とても重要です。そして、このときのたんぱく質摂取は、よりよい睡眠に役立っている可能性があります。夜になると、脳では眠気物質が増えますが、この物質は、摂取したたんぱく質の中に含まれているトリプトファンというアミノ酸を材料として作られます。

出典 Silber BY. Neurosci Biobehav Rev.34.387-407.2010

早めの就寝は、睡眠時間を増やして疲労回復させるのにとても重要ですが、翌日のカラダづくりのためにもとても大切です。眠りについて間もなく、翌朝に筋肉合成を活発にさせるタイマーとして働く成長ホルモンが短時間に集中して分泌されますが、眠りにつく時間が遅くなると、この成長ホルモンの分泌が不規則になってしまうからです。
1日のたんぱく質量の達成、より良い睡眠、カラダづくりのために、就寝前のプロテイン摂取もおすすめのタイミングの一つです。