LABO

カラダづくりに関する研究

VOL. 02

プロテインの種類

プロテインの種類は数多く存在します。
ザバスを開発するスポーツ医学博士が、説明します。

スポーツ医学博士 上田 氏

スポーツ医学博士

上田 

明治の研究所でプロテイン・アミノ酸研究に長年携わり、現在はザバス商品開発業務に従事。

プロテインは1990年代にホエイプロテインが登場するまで、ソイプロテイン(大豆)やカゼインが主流でした。今では、数多くのホエイプロテインや、エッグプロテイン(卵)・ピープロテイン(エンドウ豆)・ライスプロテイン(玄米)などが世界的に流通しています。
今回は主に日本国内で流通しているプロテインについて、ご紹介します。

1.ホエイプロテイン

ホエイプロテインを理解するには、まず牛乳の成分を理解することが必要です。牛乳には、栄養価の高い乳たんぱく質(以下、ミルクプロテイン)が含まれています。ミルクプロテインは、約80%のカゼイン、約20%のホエイプロテインで構成されています。

ホエイプロテインは、カゼインよりもさらに多くの分岐鎖アミノ酸(Branched Chain Amino AcidBCAA)を含んでいることから、多くのトレーニーに選ばれています。

一般的なホエイプロテインはチーズ製造由来

市場に流通している一般的なホエイプロテインは、実はチーズを製造する際の副産物であるチーズホエイから作られています。チーズは生乳に乳酸菌やレンネットを添加することで作られますが、その時に生成される乳清がチーズホエイです。チーズホエイは限外濾過(UF膜)により濃縮され、さらに粉末化の工程を経ることで、たんぱく質含有率の高い「ホエイプロテインコンセントレート(Whey Protein ConcentrateWPC)」になります。
さらに、精密ろ過(MF膜)またはイオン交換法により乳脂質や乳糖などを極力取り除き、よりたんぱく質含有率を高めたものが「ホエイプロテインアイソレート(Whey Protein Isolate:WPI)」と呼ばれます。

アシッドホエイプロテインとは

アシッドホエイ(酸ホエイ)は、遠心分離された生乳を酸性化することで、カゼインから分離してできるホエイです。アシッドホエイは限外濾過(UF膜)により濃縮され、さらに粉末化の工程を経ることで、たんぱく質含有率の高い「アシッドホエイプロテインコンセントレート(Acid Whey Protein ConcentrateAcid WPC)」となります。アシッドホエイプロテインはチーズホエイプロテインよりもロイシンを含むBCAAの含有率が高いなどの特徴があります。

2.カゼイン

カゼインは、遠心分離された生乳を酸性化することで、ホエイから分離して作られます。
カゼインは、胃酸により凝集するため、ホエイに比べゆっくりと消化吸収されるのが特徴です。血中のアミノ酸濃度を長時間持続させるので、間食・就寝前など次の食事まで時間が空く場合などに活用するのがおすすめです。​

出典 Boirie J. Proc Natl Acad Sci USA.94.14930-14935.1997

3.ミルクプロテイン

これまで説明してきたホエイプロテインとカゼインが両方含まれるのがミルクプロテインです。遠心分離された生乳を限外濾過(UF膜)により濃縮し、粉末化の工程を経ることで、たんぱく質含有率の高い「ミルクプロテインコンセントレート(Milk Protein ConcentrateMPC)」となります。約80%がカゼインであることから、カゼインと同じように、間食・就寝前など次の食事まで時間が空く場合などに活用するのがおすすめです。

4.ソイプロテイン

大豆から作られる植物由来のプロテインがソイプロテインです。
油脂を絞った大豆をオカラと脱脂豆乳に分離します。さらに脱脂豆乳を酸性化し、沈殿物を粉末化することで、たんぱく質含有率の高い「ソイプロテインアイソレート(Soy Protein IsolateSPI)」となります。

出典 日本食品標準成分表2020年版(八訂)

ソイプロテインのメリット

大豆イソフラボンや食物繊維に加え、たんぱく質が豊富に含まれています。エネルギー量を抑えてたんぱく質をしっかり摂取できるので、健康的にカラダづくりをしたい方におすすめです。

ソイはカラダづくりに向いてない?

ソイプロテインにはカラダを構成する20種類のアミノ酸がバランスよく含まれています。ロイシンや必須アミノ酸の含有率はホエイプロテインには及ばないものの、植物由来でありながら動物由来たんぱく質並みの含有率であるのが特徴です。
また、たんぱく質の摂取量に応じて筋肉量が増える事がわかっています。ホエイプロテインに比べてコストが安価な傾向もありますので、フィットネス初心者はソイプロテインから始めてはいかがでしょうか。

プロテイン原料のアミノ酸組成の比較表たんぱく質100gあたり
素材
SPI (ソイプロテイン
アイソレート)
カゼイン
MPC (ミルクプロテイン
コンセントレート)
チーズホエイ由来 WPC (ホエイプロテイン
コンセントレート)
チーズホエイ由来 WPI※膜処理 (ホエイプロテイン
アイソレート)
Acid WPC (アシッドホエイ
プロテイン
コンセントレート)
BCAA イソ
ロイシン
4.0 5.3 5.3 5.9 6.4 5.7
ロイシン 6.9 9.4 9.6 10.2 10.8 13.1
バリン 4.2 6.7 6.4 5.5 5.6 5.2
フェニルアラニン 4.6 5.2 4.9 3.5 3.2 3.8
トリプトファン 1.2 1.3 1.4 1.1 2.2 2.2
メチオニン 1.1 3.0 2.8 2.3 2.1 2.3
スレオニン 3.4 4.3 4.5 7.3 6.4 5.6
リジン 5.5 8.0 8.4 9.3 9.8 12.5
ヒスチジン 2.3 2.8 2.7 1.9 1.8 2.1
アラニン 3.7 3.0 3.3 5.3 4.5 5.2
アルギニン 6.7 3.8 3.7 2.6 2.2 2.9
アスパラギン酸 10.2 7.1 7.8 9.0 11.1 12.8
システイン 1.1 0.7 1.2 1.9 2.5 2.7
グルタミン酸 17.0 22.3 21.6 15.2 17.5 19.2
グリシン 3.6 1.9 1.9 2.1 1.5 2.0
プロリン 4.6 11.0 9.8 7.3 5.5 5.1
セリン 4.4 5.8 5.6 5.9 4.1 5.2
チロシン 3.4 5.8 5.3 3.3 3.2 3.8
必須アミノ酸 合計 33.2 46.0 46.0 47.0 48.2 52.5
非必須アミノ酸 合計 54.7 61.4 60.2 52.6 51.8 58.9

※原料サプライヤー各社のスペックシート由来の参考値
※原料の産地・時期によって異なることがあります