ウクライナ / アゼルバイジャン / アルメニア / グルジア / 中央アジア / ヤクート
原産の発酵乳でウクライナヨーグルトともいわれている「リアツェンカ」は、95℃で2~3時間加熱した牛乳を、ブルガリア菌とサーモフィルス菌を含むスターターで発酵して作ります。褐色で、滑らかな舌触りとカラメルフレーバーを持つのが特徴です。同じ製法の「バレネッツ」には、発酵後にカードをくずしたものもあります。
国民的発酵乳「シュッツマ」は、牛乳をヨーグルト菌で発酵後、凝固物を切断してホエーの一部を除き、さらにこの凝固物を布袋に入れてプレスし、水分を70%以下にしたものです。「カチーク」は、加熱によって水分を一部蒸発させた濃縮乳に前回の残りのカチークを加え発酵させたものです。
アルメニア原産の発酵乳としては、スターターにヨーグルト菌(ブルガリア菌とサーモフィルス菌)を用いた「マツーン」があります。この地、布袋で発酵後ホエーを除いた濃縮ヨーグルト「タン」があります。
バタースターター使用の発酵乳、ケフィール、アシドフィルスミルクなどが作られています。濃縮発酵乳は、「オキシガラ」といいます。
世界最古の遊牧民である中央アジアのアーリア人は、馬乳から作ったアルコール含有の発酵乳「クーミス」を紀元前2千年ころから飲用していたといいます。コーカサス地方原産のケフィールよりもアルコール含量が高く、3%にも達する馬乳酒です。クーミスという名は、中央アジアのクマン川沿いに住んでいたクマン人の種族名に由来するといわれています。13世紀に書かれたマルコ・ポーロの東方見聞録にも、『蒙古人の大好きな飲料はクーミスである』と書かれています。クーミスの産地としては、カザフスタン、バシキール、キリギス、タタール、モンゴルがあります。ロシアでも根強い人気があり、アスコルビン酸を強化した牛乳からクーミスが作られ、「クルンガ」と呼んでいます。
カザフスタンでは、アイラン(バターミルク)から濃縮発酵乳「カチーク」、さらにカチークを小片にして風燥し、「クルト」を作ります。ラクダ乳からは、クーミス様発酵乳「シュバト」を作ります。「チャル」は、カザフスタン、トルクメニスタンなどで、ラクダ乳から作られる発泡性発酵乳です。
ウズベキスタンでは、加熱濃縮乳に前回の残りのカチーク(スターター)を加えて発酵させ、「カチーク」を作ります。このカチークに塩を加えて布袋に入れ、吊してホエーを除くと濃縮発酵乳「スジマ」ができます。このスジマに、塩、粉末トウガラシを加え、クルミ大の球にして風乾したのが保存食品の「クルト」です。
タジキスタンの「クルート」は、加熱濃縮乳を発酵し塩を加えて布袋に入れ、吊り下げてホエーを除いたカード(凝固物)をクルミ大の小球とし風乾したものです。
トルクメニスタンの「ブーサ」は、乳と米の混合物を乳酸菌および酵母で発酵したもので、アルコール含量が7%もあります。
牛乳を2~3時間加熱し、前回の残りの発酵乳(ソラト)を加えて発酵し、「ソラト」を作ります。このソラトを水で希釈して飲料の「ウマン」を作ります。冬季には、ソラトにバター粒と水を混合した「ウダン」を作り、飲用します。