オリゴ糖は危険?太る?デメリットを解説|上手な活用方法も紹介

オリゴ糖は危険?太る?デメリットを解説|上手な活用方法も紹介

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近年、砂糖の代わりにさまざまな甘味料が売られています。ダイエットや血糖値が気になる人の中には「オリゴ糖」に興味を持っている人もいるでしょう。しかし「危険」「デメリット」といったキーワードが目に入ってしまい、不安を感じている人もいるのではないでしょうか。

オリゴ糖は、正しい量を正しく使えば危険ではありません。毎日の食生活に少しずつ取り入れることで、摂取カロリーを抑えたり腸内環境を整えたりできる、おすすめの甘味料です。

この記事では、オリゴ糖の特徴とともに、デメリット・メリット・正しいとり方について解説します。

この記事の執筆者
薬剤師/腸育コンシェルジュ
松本 萌

薬剤師ライターとして、セルフケアに関する記事を執筆している。前職のドラッグストアで健康相談を受ける中で、正しい知識を知らない人が多くいることを痛感。セルフケアの正しい知識を誰にでも分かりやすい言葉で紹介することを心がけている。薬剤師以外にも化粧品成分検定1級、腸育コンシェルジュなどさまざまな健康・美容の資格を取得。

目次
  1. オリゴ糖は危険?デメリットを解説
  2. オリゴ糖をとるメリット
  3. オリゴ糖はダイエットに効果的?太らないための注意点
  4. まとめ

オリゴ糖は危険?デメリットを解説

オリゴ糖は炭水化物の一種で、ブドウ糖や果糖と呼ばれる単糖が3〜9個程結びついたものを指します*1。オリゴ糖には「難消化性オリゴ糖」と「消化性オリゴ糖」の2種類があります。難消化性オリゴ糖は胃や小腸で消化・吸収されることなく大腸に届き、「砂糖よりも低カロリー」で「腸内環境を整える」という特徴をもち、健康面を考慮し砂糖の代わりとして使われることも多いです*2。

しかし「オリゴ糖は危険である」「オリゴ糖にはデメリットがある」といったマイナスの印象を持っている人もいるのではないでしょうか。原因の1つとしては、オリゴ糖の「砂糖よりも甘さが控えめ」という特徴によるものだと考えられます。

以下の表では、よく使われるオリゴ糖の甘味について、砂糖と比較しています*2。

オリゴ糖の種類 甘味(砂糖の甘味を1とした場合)
イソマルトオリゴ糖 0.4〜0.5
フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖 0.25~0.35
キシロオリゴ糖 0.25~0.4
乳果オリゴ糖(ラクトスクロース) 0.5(乳果オリゴ糖の含有率が55%以上の場合)
ラフィノース 0.2

このように、オリゴ糖の多くは砂糖の半分以下の甘味しかありません。そのため、オリゴ糖の味に慣れていないうちは、たくさんの量をとってしまいがちです。

オリゴ糖を一度にたくさんとると、お腹の張りや痛み、下痢などを引き起こすことがあります*3*4。また、たとえ砂糖よりも低カロリーなオリゴ糖をとったとしても、たくさんとりすぎれば、カロリー過多になることもあります。

しかし、オリゴ糖自体は危険ではありません。特徴ととり方について正しく知っていれば、オリゴ糖のメリットをしっかりと感じられるでしょう。

*1 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」p.152
*2 独立行政法人 農畜産業振興機構「砂糖以外の甘味料について」
*3 奥 恒行ほか.ヒトにおける難消化性オリゴ糖・ガラクトシルスクロースの一括摂取と分割摂取の一過性下痢誘発に及ぼす影響ならびにその許容量. 日本栄養・食糧学会誌. 1999, 52巻,4号, p.203
*4 森川尚美ほか. 乳果オリゴ糖含有クッキーが若年女性の排便および腸内菌叢に及ぼす影響. 日本食物繊維誌, 1998, 第2巻,第1号, p.43-44

オリゴ糖をとるメリット

オリゴ糖の中でも難消化性オリゴ糖は適量をとることで砂糖にはないメリットを得ることができます。ここでは、特にダイエット中に嬉しい働きを2つ紹介します。

血糖値が上昇しづらい

難消化性オリゴ糖は、血糖値が上昇しづらいことが分かっています*6。

血糖値は血液中にブドウ糖が増えることで上昇しますが、一般的な炭水化物や砂糖は消化管の消化酵素によってブドウ糖に分解され、血糖値を上昇させます*5。一方、難消化性のオリゴ糖は、胃や小腸で分解(消化)・吸収されにくく、とった後も血糖値が上昇しにくいことが特徴です*6。

オリゴ糖のうち、フラクトオリゴ糖・ビートオリゴ糖(ラフィノース)・キシロオリゴ糖・ガラクトオリゴ糖・乳果オリゴ糖(ラクトスクロース)・大豆オリゴ糖・ミルクオリゴ糖(ラクチュロース)が、難消化性のオリゴ糖に当てはまります*6。イソマルトオリゴ糖は消化性のオリゴ糖に分類され、ほかのオリゴ糖と比較すると消化されやすく、血糖値も上昇しやすいです*2。

腸内環境を整える

難消化性オリゴ糖は胃や小腸で消化・吸収されずに大腸まで届き、腸内環境を整える働きがあります*7。

大腸に運ばれた難消化性オリゴ糖は、ビフィズス菌をはじめとした腸内細菌によって代謝されると、エネルギーや短鎖脂肪酸を産生します *7。短鎖脂肪酸は大腸のpHを酸性にし、腸内の悪玉菌の増加を抑えて腸の動きを活発にさせることで、腸内環境を整えていくのです*7*8。

また、近年の研究において、2型糖尿病患者の腸内では短鎖脂肪酸や酪酸菌が減少しているという報告もあり、肥満や糖尿病の予防・改善に腸内環境や短鎖脂肪酸が重要視されています *9。

オリゴ糖とは?働きと効能を解説|ダイエットや糖質制限中でも食べてOK?

近年注目されているオリゴ糖。実は身近な食品にも含まれ、腸内環境の改善やむし歯になりにくいなどさまざまな健康効果が期待されています。この記事では、オリゴ糖の種類と働きを解説し、日々の食生活に取り入れるヒントを紹介します。

*5 厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト e-ヘルスネット「血糖値」
*6 独立行政法人 農畜産業振興機構「プレバイオティクスとフラクトオリゴ糖~シュガーリプレイスメントから免疫改善まで」
*7 菅原正義. オリゴ糖の特性と生理効果.ビフィズス,1993,7巻,1号
*8 厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト e-ヘルスネット「腸内細菌と健康」
*9 水島莉那ほか. 腸内細菌叢と生活習慣病 1.肥満・糖尿病の病態と腸内細菌叢3)短鎖脂肪酸を介した宿主のエネルギー・糖代謝調節. 日本糖尿病学会誌, 2020, 63巻,6号, p.373

オリゴ糖はダイエットに効果的?太らないための注意点

砂糖に比べて低カロリーで腸内環境も整えてくれる難消化性オリゴ糖は、上手に取り入れることでダイエットのサポートにも役立ちます。

ダイエット中に難消化性オリゴ糖を取り入れる場合には、次の3点に注意しましょう。

  • 1日の摂取目安量を守り、毎日継続してとる
  • 難消化性オリゴ糖以外の甘味料が入っているかを確認する
  • ビフィズス菌や乳酸菌と一緒にとる

まず、摂取量についてですが、市販されているオリゴ糖製品は1日当たり2〜10g(ティースプーンで1~3杯程度)の摂取が推奨されています。難消化性オリゴ糖は胃や小腸で消化・吸収されずに大腸まで届くため、一度にたくさんとると下痢やお腹の張りを起こしやすいです。1日の摂取目安量を守りながら、コーヒーやたまご焼きなどの砂糖代わりとして複数回に分けてとることをおすすめします *10。

また、オリゴ糖は砂糖に比べて甘さが控えめというデメリットをカバーするために、砂糖やほかの甘味料を添加している場合があります。カロリーを抑えたい場合や甘さは必要ないという場合は、製品の原材料表示を見てほかの甘味料が入っていないか確認しましょう。

オリゴ糖や食物繊維などは、ビフィズス菌や乳酸菌と一緒にとることで、腸内環境をより整えやすくなります。たとえば、乳酸菌入りのヨーグルトにオリゴ糖を混ぜたものは、ダイエット中の間食としておすすめです *11。

*10 厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト e-ヘルスネット「腸内細菌と健康」
*11 公益財団法人腸内細菌学会「用語集 シンバイオティクス(synbiotics)」

まとめ

難消化性オリゴ糖には砂糖に比べて低カロリー・血糖値が上昇しにくい・腸内環境を整えるというメリットがある一方で、一度にたくさんとることによってお腹の張りや痛み、下痢やカロリー過多のデメリットを感じることがあります。

ですが、オリゴ糖を正しくとれば、ほとんどの場合デメリットを感じることはありません。血糖値が気になる人やダイエット中の人は、今回解説したポイントを参考にしながら、普段の食生活にオリゴ糖を取り入れていきましょう。

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