オリゴ糖の上手な使い方|種類と特徴をお悩み別に紹介

オリゴ糖の上手な使い方|種類と特徴をお悩み別に紹介

公開日:

オリゴ糖は、健康への関心から注目を集めている成分です。使ってみたいと興味はあるものの、たくさんの種類の中からどれを選んでよいのか分からない、いつどうやって使ったらいいか迷うなど、戸惑うこともあるかもしれません。オリゴ糖には共通する作用以外にも、それぞれに特有の特徴や作用があるのです。

そこで今回は、オリゴ糖の種類と特徴、適切な摂取量や日常生活での取り入れ方について解説します。この記事の情報を参考に、自分に合った方法でオリゴ糖を活用してみましょう。

この記事の執筆者
管理栄養士
成松 由佳

大学院修士課程修了後、製薬メーカーでの勤務を経て栄養指導に従事。自身も食事改善によって長年悩んでいた便秘や肌荒れを克服。現在はWebライターとして、食事に悩む時間や精神的なストレスを減らせるよう情報提供している。

目次
  1. オリゴ糖の種類と特徴
  2. オリゴ糖は砂糖の代わりに使える?
  3. オリゴ糖の使い方のコツ
  4. まとめ

オリゴ糖の種類と特徴

オリゴ糖とは、炭水化物の最小単位である「単糖」が数個つながった構造の炭水化物です。一般的には、単糖が3~9個つながったものを指します*1。

多くのオリゴ糖は胃や小腸で消化・吸収されずに大腸まで届きます。大腸でビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌を増やし、腸内環境を整える働きがあります。 また口の中では、砂糖と異なりむし歯菌の栄養にならないため、むし歯をつくりにくいことも特徴です*2。

オリゴ糖とは?働きと効能を解説|ダイエットや糖質制限中でも食べてOK?

近年注目されているオリゴ糖。実は身近な食品にも含まれ、腸内環境の改善やむし歯になりにくいなどさまざまな健康効果が期待されています。この記事では、オリゴ糖の種類と働きを解説し、日々の食生活に取り入れるヒントを紹介します。

オリゴ糖の種類

オリゴ糖には、原料や構造の違いによってさまざまな種類があります。ここでは、胃や小腸で消化・吸収されずに大腸まで届く「難消化性オリゴ糖」のうち、代表的なものを紹介します。

フラクトオリゴ糖

玉ねぎ、ごぼう、バナナなどに含まれています。 工業的には砂糖を原料に製造され、砂糖と似た甘味の質をもつオリゴ糖です。 腸内環境を整えるほか、カルシウムやマグネシウムなどのミネラルの吸収を高める働きも知られています*3。

ガラクトオリゴ糖

牛乳や発酵乳に含まれているオリゴ糖です。牛乳に含まれる糖である「乳糖」を原料としてつくられています。熱や酸に強いことから幅広く加工食品に使用されています*3*4。

乳果オリゴ糖(ラクトスクロース)

乳糖と砂糖を原料としてつくられるオリゴ糖です。オリゴ糖の中では甘味の質が砂糖にもっとも近いのが特徴です*3。

ビートオリゴ糖(ラフィノース)

ビート(てんさい)に含まれ、てんさい糖を製造した後に残った糖蜜から分離精製されたオリゴ糖です。腸内のビフィズス菌を増やす働きがあるほか、アレルギーの症状を軽減する作用も認められています*3。

ミルクオリゴ糖(ラクチュロース)

乳糖から製造されるオリゴ糖です。天然では牛乳にも微量に含まれていることが知られています。医薬品成分としては「ラクツロース」と呼ばれ、一度に大量に投与する場合には下剤としても用いられている成分です*5。

大豆オリゴ糖

大豆に含まれる天然のオリゴ糖を抽出したものです。成分としてはラフィノースやスタキオースを主に含んでいます*6。

キシロオリゴ糖

とうもろこしの芯やコメのもみ殻などに含まれる食物繊維を分解してつくられる、オリゴ糖です。食品ではたけのこやきのこに含まれています。腸内のビフィズス菌を増やす働きがあり、腸内環境の改善に役立ちます*3。

シクロデキストリン

単糖の一種であるグルコースが輪の形に結合してできた糖です。特に6個結合したものを「α-シクロデキストリン」と呼びます*7。輪の中に他の物質を取り込む性質があり、コレステロールの低減や血糖値を調節する働きが知られています*8。

*1 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」p.152
*2 独立行政法人農畜産業振興機構「子どものむし歯予防のために~お砂糖との上手な付き合い方~」
*3 独立行政法人農畜産業振興機構「砂糖以外の甘味料について」
*4 公益財団法人腸内細菌学会「ガラクトオリゴ糖」
*5 公益財団法人腸内細菌学会「ラクチュロース」
*6 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所【「健康食品」の素材情報データベース】
*7 中村宜督「食品でひく 機能性成分の事典」女子栄養大学出版部, 2002, p.45, p.52
*8 中久喜輝夫. オリゴ糖研究の最前線その1 緒言―オリゴ糖開発研究の現状と将来―. 応用糖質科学第1巻第4号. 2011, p.284

オリゴ糖は砂糖の代わりに使える?

オリゴ糖は、砂糖の代わりに使え、砂糖よりもカロリーの低い甘味料です。砂糖のカロリーは1g当たり4kcalであるのに対し、先ほど紹介したオリゴ糖はいずれも1gあたり2kcalと半分です*9。同じ量を摂取する場合、砂糖と置き換えることで摂取カロリーを半分に減らすことができます。

ただし、使い過ぎには注意が必要です。オリゴ糖は砂糖と比べて甘味が弱いため、甘さを求めて使用量を増やすと、かえってカロリーオーバーになる可能性があります。甘味度は成分によって異なりますが、フラクトオリゴ糖やガラクトオリゴ糖では砂糖の25~35%、キシロオリゴ糖では25~40%、ビートオリゴ糖(ラフィノース)で20%程度の甘さです*3。砂糖と同じ甘さを目指すのではなく、控えめな甘味を楽しみながら使用するのがおすすめです。

さらにオリゴ糖製品の中には、砂糖やブドウ糖が配合されているものもあります。シロップ状の製品では水分も含まれているため、製品1gあたり2kcalとは限りません。製品自体のカロリーも確認してから使用すると良いでしょう。

*9 消費者庁「難消化性糖質及び食物繊維のエネルギー換算係数の見直し等に関する調査・検証事業報告書」

オリゴ糖の使い方のコツ

オリゴ糖の種類は多くあるため、何をどれくらいとれば良いかが分からない人も多いでしょう。ここではオリゴ糖の摂取量の目安と、お悩み別におすすめのオリゴ糖を紹介します。

1日の摂取量

オリゴ糖の1日の摂取量は、種類によって異なります。たとえばフラクトオリゴ糖では、1日1g以上の摂取で腸内フローラの改善が見られ、3~5gを摂取すると便通を改善することが報告されています*10。

特定保健用食品の成分として規格基準が定められているオリゴ糖について、それらの食品の1日の摂取目安量に含まれる関与成分の量を示します。

特定保健用食品の規格基準(1日の摂取目安量に含まれる関与成分の量)*11

  • フラクトオリゴ糖 3~8g
  • ガラクトオリゴ糖 2~5g
  • 乳果オリゴ糖(ラクトスクロース) 2~8g
  • 大豆オリゴ糖 2~6g
  • キシロオリゴ糖 1~3g

一度にこの量を大きく超えてオリゴ糖を摂取した場合、お腹がゆるくなり、下痢を引き起こす恐れがあります。たとえばフラクトオリゴ糖では、体に悪影響を及ぼさない量は体重1kg当たり成人男性で0.3g、成人女性で0.4gとされています。これは体重50kgの女性であれば20gに相当する量です*10。一度にとり過ぎることには注意し、パッケージに書かれた目安量を確認してから量を守って使用しましょう。

オリゴ糖をとるタイミング

オリゴ糖は食品であるため、医薬品のように摂取時間の決まりはありません。大切なのは、1日の目安量を毎日続けて摂取することです。自分の生活スタイルに合わせて、無理なく取り入れやすいタイミングを選ぶと良いでしょう。

たとえば、朝食ではヨーグルトや果物にかけて楽しむことができます。また、オリゴ糖シロップを食パンに塗って焼くと、サクサクのシュガートーストが味わえます。休憩時間にはコーヒーや紅茶に加えて手軽に摂取できます。自宅での料理では砂糖やみりんの代わりに、煮物や照り焼き、炒め物、スープ、手作りドレッシングなどに使用するのがおすすめです。

自分に合った方法とタイミングを見つけ、毎日のオリゴ糖摂取を続けてみましょう。

お悩み別おすすめのオリゴ糖

お悩み別におすすめのオリゴ糖を紹介します。

お通じが気になる人

キシロオリゴ糖がおすすめです。難消化性オリゴ糖はいずれも腸内環境を改善する働きがありますが、キシロオリゴ糖は他のオリゴ糖と比べて少ない量で作用するため*3*11、無理なく取り入れやすいのが特徴です。

脱メタボを目指したい人

α-シクロデキストリンがおすすめです。メタボ(メタボリック・シンドローム)では、体重の増加、特に内臓脂肪の増加によってコレステロールや血糖値などが上昇します。α-シクロデキストリンには体重やコレステロールの低減が示唆されているほか*12、食事と一緒にとることで食後血糖値を抑えることも報告されています*13。

初めてオリゴ糖を使う人

フラクトオリゴ糖や乳果オリゴ糖(ラクトスクロース)がおすすめです。オリゴ糖の中で甘味の質が砂糖に近いため*3、砂糖からの置き換えで抵抗なく使用できるでしょう。

*10 公益財団法人腸内細菌学会「フラクトオリゴ糖」
*11 消費者庁「特定保健用食品の表示許可等について 別添3 特定保健用食品(規格基準型)制度における規格基準」
*12 Comerford KB et al., The beneficial effects of α-cyclodextrin on blood lipids and weight loss in healthy humans. Obesity (Silver Spring). 2011;19(6):1200-1204
*13 Buckley JD et al., Dose-dependent inhibition of the post-prandial glycaemic response to a standard carbohydrate meal following incorporation of alpha-cyclodextrin. Ann Nutr Metab. 2006;50(2):108-114

まとめ

今回はオリゴ糖の種類と特徴、適切な摂取量や日常生活での取り入れ方について紹介しました。オリゴ糖には腸内環境を整える働きがあり、むし歯をつくりにくい特徴があります。また、種類によってはコレステロールや血糖値の低減が示唆されるなど、独自の作用をもつものもあります。種類ごとに適切な摂取量があるため、適量を守って使用することが大切です。自分に合った取り入れやすいタイミングで毎日摂取して、健やかな日々にお役立てください。

合わせて読みたいおすすめ記事

オリゴ糖とは?働きと効能を解説|ダイエットや糖質制限中でも食べてOK?

近年注目されているオリゴ糖。実は身近な食品にも含まれ、腸内環境の改善やむし歯になりにくいなどさまざまな健康効果が期待されています。この記事では、オリゴ糖の種類と働きを解説し、日々の食生活に取り入れるヒントを紹介します。

便秘にお悩みの人必見!オリゴ糖の特徴と働き、効果的なとり方を解説

便秘の原因の1つは、腸内環境の乱れ。近年注目されているオリゴ糖は腸内環境に良い影響を与えるため、便秘対策にも役立ちます。今回はオリゴ糖の特徴・働きをあげ、便秘対策を中心に腸内への影響を解説します。