月経に伴う不調を自分でコントロールできれば、自己肯定感が持てる
不調の原因がわからないと不安は大きくなりがちです。今回の調査でPMSについて聞いたところ、「知っていた」が59%、「聞いたことはあるが、よく知らない」が18%でした(下グラフ)。ちなみにPMSとは月経前症候群の略称で、月経の1週間ほど前から始まり、月経が始まると消える不快な症状のこと。代表的な症状には、気分が不安定になる、イライラを抑えられないなどの精神症状、むくみやだるさなどの身体症状があります。こうした症状に実際に悩んでいる人でも、PMSについて「聞いたことはあるが、よく知らない」「知らなかった」という人が37%いました。PMSの認知度と理解度がもっと上がれば、不安の軽減につながるのかもしれません。
約4割はPMSを知らなかった

「PMSの認知度はここ数年で上がってきてはいますが、それでも月経痛などに比べると知らない人がまだまだ多いのが現状です。体調が悪くても、それがPMSによるものと気づいていない人も少なくないのです。まずは病気について知ることが大切。知れば病気に適切に対応する術があることもわかり、問題解決につながります」と百枝さん。
そのために重要なのが情報を得ることです。調査では、普段、どんな方法で情報を手に入れているか尋ねたところ、1位が「WEB検索」(49%)、2位が「SNS」(22%)という結果でした(下グラフ)。手軽に情報が得られるWEBやSNSは確かに便利ですが、内容については問題も少なくありません。
情報源は「親」や「医師」よりも「WEB」が多い

「WEBやSNSは、正しい情報とそうでない情報が混じって玉石混交の状態といえますから、いかに正しい情報にアクセスできるかが非常に重要です。WEB情報に接するときは、誰が書いたものか、どこが発信しているものかなど、情報の信頼性を必ず確認するようにしましょう」と百枝さんはアドバイスします。
月経に対する思い込みや固定観念は、親から子へ、社会から個人へ伝わってでき上がったものですから、一朝一夕に変えることは難しいかもしれません。ただ、月経に関する正しい知識を身につけ、不調に対して適切な対策を講じることができれば、月経に対する意識は自然に変わっていく可能性があると、百枝さんは話します。
「月経に振り回されるのではなく、月経を自分でコントロールできるようになると、月経に対するネガティブな感情が消え、代わりに自己肯定感や自己効力感を持てるようになるものです。月経随伴症状に苦しんでいる人は、まずは婦人科で受診を。長年苦しんでいた月経のつらさから解放されると、みなさん、『こんなことなら早く治療を受ければよかった』と話します。治療と普段からのセルフケアの両輪で、月経を上手にコントロールしていってほしいですね」
最後に、調査のフリーコメント欄に寄せられた声の中から、いくつかご紹介してみます。
「めまいがひどすぎて学校のテストがつらかった。休ませて欲しかったが、生理は病気じゃないと言われ休めなかった」(10代・学生)
「生理が軽い人には理解してもらえず、嫌な感じで見られる。男性には腫れ物に触るような感じで扱われる」(30代・会社員)
「生理休暇はあるが、実際には休みづらい。管理者が男性のため言いづらいし、周りの女性も生理痛があっても出勤している。自分も薬を飲んで出社しているが、立ち仕事がつらい」(20代・会社員)
「出血量が多く、オムツばりのナプキンでも1時間もたず、月経中はかなり憂うつでした。でも他人に言えることでもなく、耐えるしかなかったのがつらかった。今は婦人科で薬をいただき、コントロールしているので困ることはありません」(40代・パート)
アンケート調査の概要
1年以内に月経があり、月経に関連して「とても困る、とてもつらい」「困る、つらい」「症状はあるが、対策済みで今はほとんど気にならない」という18~49歳の女性を対象にインターネット調査を実施。年代や症状の程度別に分析した。回答サンプル数は18~19歳が210、20代30代40代がそれぞれ300で、計1110件。日経BP 総合研究所がクロス・マーケティングのモニターを対象に2021年6月3日~6月8日に実施。