困ったおならの悩みに!日常生活でできる予防と対策
知る 2019.07.04私たちは毎日食事を摂取していますが、口から食物を取り込むときに鼻や口から空気を一緒に飲み込んでいます。
食物は必要な栄養分などを吸収し便として排泄され、取り込んでしまった空気や消化中に発生したガスは「おなら」として排泄されます。
この必要なものを吸収し、不要なものを排出する仕組みは人の体にとって非常に重要です。
しかし、「匂いがひどくて気になる」「回数が多く、外でうっかりしてしまわないか不安」など、おならは日常生活ではあまり好ましく思われません。
通常は匂いの無いおならがほとんどですが、生活習慣などによってその状態は変化します。
そこで今回は、おならの原因や日常でできる予防などについてご紹介します。
おならの原因とは
まずはおならがどのようにして作られるのか説明します。
先述のように、口や鼻から飲み込んだ空気と、腸内細菌が食物を消化する過程で発生したガスが「おなら」として排泄されます。
おならは基本的に無臭で、その成分は窒素・酸素・水素・二酸化炭素・メタンなどです。
1日に200~2000ml程度が作られ、成人のおならの平均回数は約7〜20回と言われています。
もちろん、個人差がありますのでおおよその目安として考えてください。
さて、おならが異常に多いなどの原因にはどのようなものがあるか見ていきましょう。
早食い、食事中の空気の飲み込み
仕事など忙しい時は、食事をゆっくり食べられませんよね。
早食いをしてしまうと一緒に空気を多く取り込んでしまい、結果排出されるおならも多くなってしまうのです。
また、早食いはおならの量が増えてしまうだけでなく消化にも負担がかかりやすくなってしまいます。
おならの量が多いと感じる人は、一度自分の食事の食べ方を振り返ってみましょう。
便秘
便秘で悩んでいるという人も多いですよね。
便は出ないのに、おならがたくさん出てしかも臭いという場合も。
腸内環境が悪く便秘になると、排出されない便が腸内でさらに悪玉菌を増加させてしまう要因になり悪循環が起こります。
そうすると、においのあるガスが発生しやすくなってしまうのです。
ストレス
近年、研究で腸と脳はつながりがあることがわかっています。
確かに緊張して強いストレスがかかると、とたんにお腹が痛くなりトイレに駆け込むという人もいらっしゃいますよね。
精神的にストレスを感じると、唾を飲み込む回数が多くなりその時に空気も一緒に取り込んでしまうため、ストレスを感じるとお腹が張っておならが多くなってしまうことも。
また、ストレスがたまると食欲が低下してしまい、逆にファストフードなどをドカ食いしてしまう場合もあります。
そうなると腸内環境のバランスが崩れ、腸の働きも低下してしまうのです。
そして、腸内環境が悪化すると脳にも影響が出てしまい、ますますうつのようになってしまうという悪循環が生まれます。
腸の状態は、おならだけでなくメンタルにも影響を与えているのです。
胃腸の疾患
おならが多く出てしまう原因として、生活習慣や精神的なものだけではありません。
消化器系の疾患なども関係している場合があります。
慢性胃炎や過敏性腸症候群では、おならがよく出るという症状がありますし、大腸癌など腫瘍によって腸が細くなると、便の状態が変わったり、おならが増えたり減ったりすることがあります。
また、あまり聞きなれない疾患ですが呑気症(どんきしょう)というものもあります。
気づかないうちに大量の空気を飲み込むことでおならやげっぷがよく出るようになるという疾患です。
生活習慣からおならが増えたり、においがきつくなったりすることもありますが、消化器疾患が原因となっている場合もあります。
気になる方は一度診察を受けてみるのも良いでしょう。
気になるおならの症状
おならに関して気になるのは、「におい」「たくさん出る」ことでしょう。
そこでその原因と対策について解説します。
においが臭い
原因として肉・玉子などの動物性たんぱく質過剰摂取が挙げられます。
肉や卵など動物性たんぱく質を多く含む食品を過剰に摂取すると、これを栄養源としている悪玉菌が増えて臭いおならを作り出します。
対策としては、肉や卵などの摂取量を見直すことです。
肉や卵には体づくりに必要なアミノ酸やビタミン・ミネラルなどが含まれています。
食べるのをやめるのではなく、自分に合った量を見つけていきましょう。
おならが止まらない、よく出る
先述した早食いやストレス・消化器系の疾患もおならがよく出る原因となりますが、それ以外の原因として食物繊維を摂りすぎること(とくに芋類の過剰な摂取)が挙げられます。
食物繊維は、適度に摂れば便通を整えてくれたり、さまざまな疾患の発生リスクを下げてくれたりと優秀な働きをしてくれます。しかし、食物繊維を摂りすぎると腸内でガスを発生させやすくなったり、逆に便秘を悪化させてしまいおならの量が多くなったりにおいがきつくなったりすることがあります。
対策としては、食物繊維の量を調整する(おならが多いと感じる時は少し減らしてみる)ことや、水溶性食物繊維の摂取を意識することです。
食物繊維には、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維があります。
不溶性食物繊維を多く含む食材には、穀類・野菜・きのこ・豆類・根菜類などです。
水溶性食物繊維を多く含む食材は、海藻類・こんにゃく・大麦などがあります。
日常生活でできる予防方法とは
それでは、日常生活でできる予防方法をご紹介します。
便秘になりにくい食事やゆっくり食べることを心がける
以下のことに気をつけることで、便秘の改善を図ることができます。
1:決まった時間にトイレに座る習慣をつける・お通じを我慢しない
2:水分をこまめに取る
3:適度な運動を行う
4:食物繊維を適度にとる
5:良質なオイルをとる
オリーブオイルには、一価不飽和脂肪酸であるオレイン酸そしてポリフェノールが多く含まれており、循環器系の疾患を減らす可能性や悪玉コレステロール値の改善など多くの効果が研究で明らかになっています。
そしてさらに、オリーブオイルが腸の動きを活発にし、便秘を予防・改善するという効果も報告されています。
サラダなどを食べる際に、軽くオリーブオイルをかけて一緒に摂取すると、便秘の解消・アンチエイジングにもつながりますし、脂溶性ビタミンも効率的に吸収できますね。
6:コーヒーをとる
コーヒーは腸の動きに良い刺激を与えてくれるという研究結果が出ています。
特に女性に効果が見られたとのこと。
カフェインの摂取が大丈夫な方は是非試してみてください。
7:味わいながら時間をかけて食べる
8:肉類やにおいのきつい食べ物を控える
肉類やにんにくなどの臭いのきつい食べ物は、おならの臭いを強くする大きな要因です。
ただし、動物性たんぱく質が悪者というわけではありません。
たんぱく質は体を作る上で欠かせない栄養素の一つ。
食べすぎは控え、バランスの良い食事を心がけましょう。
9:腸内環境を整える
腸内環境を整えるためには、積極的に乳酸菌をはじめとした善玉菌をとることをおすすめします。実際にヒトを対象とした臨床試験において、「LB81乳酸菌」を使用したヨーグルトを摂取することで、善玉菌の増加と悪玉菌の減少がみられ、腸内環境が改善されることが確認されています。
また、パスツール研究所との共同研究により、乳酸菌は腸から有害な細菌や病原菌を守る物質「抗菌ペプチド」の発現に影響をもたらすことが証明され、腸機能を健康な状態に維持する役割を持っていることがわかりました。
ストレスや老化などでダメージを受けた腸上皮細胞に働きかけることで、腸自体のバリア機能を維持する抗菌ペプチドの発現を促進し、健康な腸機能を維持することが期待されています。
https://www.meiji.co.jp/yogurtlibrary/laboratory/report/lb81/03/
納豆やヨーグルト、キムチ、ザワークラウト、チーズなどの摂取や、土や植物など自然と触れ合う時間を作るのも腸内環境の改善に役立つとされています。
そこに善玉菌のエサとなる水溶性食物繊維やオリゴ糖を摂取することで善玉菌の増加にもつながります。
10:心身のリラックスを心がける
仕事や人間関係・SNSなど、生活する中でたくさんのストレスを増やす原因が存在しており、それらに囲まれて生活しています。
そのため、ストレスを少しずつ発散させて溜めないことが大切です。
ストレス発散できる趣味や楽しみなどを見つけてみるのも一つの手です。
また、普段から自律神経を整えるという意識を持ちながら生活を送ってみてください。
例えば、
- 起床・就寝時間を決め、自分に合った睡眠時間を確保する
- 日中太陽に当たる時間を作る
- 瞑想を取り入れる
- ウォーキングなどの運動を取り入れる
- アロマを取り入れる
- 森林浴をする
- 夜はブルーライトをカットする
などが挙げられます。
まずは一つずつ始めてみてはいかがでしょうか。
まとめ
今回は、人になかなか相談できないおならの悩みとその予防方法などについてお話ししてきました。
もちろん個人差もありますので、全ての方法で効果が出るとは限りません。
実際に試してみて、効果のあるものはどれか探してみてください。
【監修】佐藤典弘
外科医。1993年 九州大学医学部卒。外科医として研修後、九州大学大学院へ入学。学位(医学博士号)を取得後、米国ジョンズホプキンス医科大学に5年間留学し、がんの分子生物学を研究。2006年より九州大学 腫瘍制御学 助手、2012年より産業医科大学 第1外科。現在、産業医科大学第1外科 講師、外来医長。1000例以上の外科手術を経験し、日本外科学会、日本消化器外科学会の専門医・指導医の資格を取得。これまでに発表した研究論文は180編以上(うち120編が英文)。著書に「ガンとわかったら読む本(マキノ出版)」など。