特集

INTERVIEW
栄養課題とMeiji NPS


夫馬賢治氏の写真です。

夫馬 賢治
株式会社ニューラル 代表取締役CEO /
信州大学グリーン社会協創機構特任教授

サステナビリティ経営の専門家であり、NPSについても造形の深い夫馬賢治氏に、「栄養課題とMeiji NPS」をテーマにさまざまな切り口でお話をうかがいました。

夫馬賢治氏の写真です。

[後編]
栄養課題の解決に向け、
これからの明治に求められること

Q. まず、明治の栄養への取り組みについてのご感想をお聞かせください。

明治は、日本でNPSの概念が広まる前から「栄養ステートメント」を策定し、栄養についての考え方を明確に示されています。食品企業として消費者の健康に貢献するために、自分たちができることに向き合う姿勢は、とても素晴らしいと感じます。
そして明治は、この「栄養ステートメント」を受けてMeiji NPSの構築・運用を進められています。Meiji NPSは日本の食事摂取基準や栄養課題の実態を踏まえた作りとなっており、消費者に寄り添う姿勢が現れていると思います。

Q. いまお話に挙がったMeiji NPSの取り組みについて、
今後どのような点に注力すべきでしょうか。

ぜひお願いしたいことが二点あります。
一点目は、Meiji NPSのバージョンアップに取り組み続けることです。栄養と健康の関係性に関する新しい研究によって得た知見や発想を絶えず取り入れ、ブラッシュアップを図っていただきたいと思います。
二点目は、Meiji NPSに基づいた商品の評価・改良活動です。特に明治に求めたいことは、商品構成を大きく変えるのではなく、お客さまに親しまれている既存商品をより健康的にすることです。それによって、お客さまは意識せずともより健康的な食生活を送ることができます。一方、いくら健康になれるとしても、おいしくないものを毎日食べることは習慣として長続きはしません。「健康的な食生活」と「食べる楽しさ」との両立についても、重要なテーマとして向き合っていただきたいと思います。

Q. 社会が抱える栄養課題の解決に向けて、明治に期待することをお聞かせください。

こちらも、大きく分けて二点お話しします。
一点目は、栄養課題に関する情報発信・啓発です。今後、私たちが栄養課題を見過ごし続けると、社会保障費の増加や労働生産性の低下など、社会が望ましくない状態となると予見されます。しかし、そのことに多くの方々はまだ気づいていません。一方で、商品供給を通じて社会に多くの栄養を提供している明治は、この課題についておそらく最もよく理解している企業の一つだと思います。そのため、明治にはぜひリーダーシップを発揮していただき、率先して栄養課題に関する情報発信・啓発を進めていただきたく思います。なお、栄養課題に向き合うためには、地域特性を考慮することが重要です。食文化には地域特性があり、さらには遺伝的な体質も各地域で異なります。世界の栄養課題解決のためには、このような地域差を考慮していくことが重要です。明治は、日本・アジア・欧米とさまざまな地域の食文化に広く携わっており、世界各地で食文化や体質が異なるという気づきを得られていると思います。ぜひ各地域の栄養事情を積極的に発信し、世界中の人々の健康につなげてほしいと考えています。
二点目は、商品開発の新しいアプローチとしてMeiji NPSを用いることです。従来の手法は、消費者の健康や栄養に関する興味を調査し、その結果をもとに商品を売り出すものでした。しかし今日の食品企業に求められていることは、消費者がまだ気づいていない課題を見出し、その課題を解決するイノベーションを創出することです。そのためには、その潜在的な課題を見出すための尺度が必要であり、Meiji NPSがまさにその役割を果たすはずです。いままでは課題だと認識されてこなかったこと、もしくは課題だと認識していたけれども向き合うのが難しいとされてきたことに対して、Meiji NPSを用いることで理想解を持ち、イノベーションへ挑戦することが大事だと思います。

夫馬賢治氏の写真です。

Q. インタビューの最後に一言、メッセージをお願いします。

栄養に関する社会課題解決に向けては、やはりたくさんの方々の協力が必要です。他者の行動を待つのではなく、明治には、自ら行動し、アカデミアや栄養課題に向き合う他企業や行政など、あらゆる関係者と連携し、協力していくことを期待しています。

夫馬 賢治
株式会社ニューラル 代表取締役CEO /
信州大学グリーン社会協創機構特任教授

サステナビリティ経営・ESG投資アドバイザリー会社である(株)ニューラルを2013年に創業。コンサルタントとして東証プライム上場企業や大手金融機関をクライアントに持ち、スタートアップ企業やベンチャーキャピタルの顧問も多数務める。世界銀行や国連大学等でESG投資、サステナビリティ経営、気候変動金融リスクに関する講演や、CNN、フィナンシャル・タイムズ、エコノミスト、ワシントン・ポスト、NHK、日本テレビ、テレビ東京、TBS、日本経済新聞、毎日新聞、NewsPicks等メディアからの取材も多数。ニュースサイト「Sustainable Japan」編集長。ハーバード大学大学院リベラルアーツ(サステナビリティ専攻)修士。サンダーバードグローバル経営大学院MBA。東京大学教養学部(国際関係論専攻)卒。