バナナに含まれる栄養素と働きを解説|バナナが腸活に良いって本当?

バナナに含まれる栄養素と働きを解説|バナナが腸活に良いって本当?

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一年を通してスーパーなどで販売されていることが多く、なじみのある果物「バナナ」。バナナは豊富な栄養素を含みますが、体にどのようなメリットがあるかご存知でしょうか?実は、バナナには「オリゴ糖」を始めとした栄養素が含まれており、腸活におすすめの食材の1つなのです。

今回の記事では、バナナに含まれる栄養素と働きについて紹介します。バナナを食べることで得られる腸活で期待される効果についても紹介しますので、本記事を参考に普段の生活に取り入れてみてください。

この記事の執筆者
管理栄養士
小宮山 絢音

幼い頃から家族や友人のために料理を作った経験から、食に対して強い関心をもつ。大学時代は栄養学を専攻。卒業後には、料理の側面から食を学ぶため、専門学校でフードコーディネートを学ぶ。
レシピ制作・撮影、献立作成などに携わり、栄養バランスをアップさせるアレンジレシピの制作を得意とする。

目次
  1. バナナについて
  2. まとめ

バナナについて

バナナとは、バショウ科バショウ属のうち、果実を食用とする品種群の総称です。その栽培品種は多く、100種類以上にものぼります*1。中でも、私たちが食する生食用のバナナには、豊富な栄養素が含まれます。下記に特徴的な栄養素を紹介します。

▼生のバナナに含まれる栄養素*2

栄養成分 バナナ 生(可食部100g当たり)
エネルギー 93kcal
たんぱく質 1.1g
脂質 0.2g
炭水化物 22.5g
食物繊維 1.1g
カリウム 360mg
マグネシウム 32mg
ビタミンB1 0.05mg
ビタミンB2 0.04mg
ナイアシン 0.7mg
ビタミンB6 0.38mg
葉酸 26μg

エネルギー

カロリーが高いイメージのあるバナナですが、意外にも1本(可食部100g)当たり93kcal。これは、ご飯お茶碗1杯(150g)当たり234kcal、山形食パン1枚(80g)当たり197kcalよりも大幅に低い値です。これらの食品と比較すると、バナナは豊富な栄養素を含んでいるため、ダイエット中の人やアスリートに重宝される食品だと言えます*2。

糖質

バナナは、ブドウ糖、果糖、ショ糖などさまざまな種類の糖質を含んでいます。そのため、体内での消化・吸収の持続力があるので満足感が生まれます。バナナに含まれる糖質の中で、特に注目すべきは「フラクトオリゴ糖」です*3。

フラクトオリゴ糖は、スクロース(ショ糖)にフルクトースが1〜3個結合してできたオリゴ糖です。乳酸菌やビフィズス菌のエサとなり、腸内環境の改善に役立ちます*4。これは、難消化性オリゴ糖と言われる種類のオリゴ糖であるため、胃や小腸で分解されずに大腸に届き、腸内にすむ善玉菌を増加・定着させる機能をもちます*5。このフラクトオリゴ糖は、近年注目されている「腸活」において、非常に重要な役割を果たします。

「腸活」とは、普段の食事や運動から腸内細菌のバランスを良くすることで、腸内環境を整える活動を指します*6。食事の面から腸内環境を整える際に、フラクトオリゴ糖を摂取することは理にかなっているのです。

バナナは、優しい甘さが特徴です。そのため、甘いものを我慢せずに腸内環境を整えられる点が、無理なく腸活を継続するうえで役立ちます。

食物繊維

バナナには、100g当たり1.1gの食物繊維が含まれます。食物繊維は、人の消化酵素で消化することのできない物質で、水に溶ける水溶性食物繊維と水に溶けない不溶性食物繊維の2種類に分けられます。このうち、バナナに多く含まれるのは、不溶性食物繊維であり、便通を改善する作用があります*7。

ビタミンB群

バナナには、水溶性のビタミンであるビタミンB群が含まれます。水溶性ビタミンは、エネルギー代謝に必要な酵素の働きを助ける作用があります。しかし、体内でほとんどつくることができないうえに、余分なものが尿として排出されやすいため、こまめに食品から摂取する必要があります*8。

ここでは、バナナに含まれるビタミンB群について解説します。

ビタミンB1

ビタミンB1はエネルギー代謝に必要な栄養素です。摂取することで、疲労感やだるさを抑えます。加熱で失われやすいという特徴がありますが、バナナは生のまま食べられるため、効率良く摂取できます*9。

ビタミンB2

ビタミンB2はエネルギー代謝に必要な栄養素です。摂取することで、脂肪をエネルギーに変えます。また、エネルギー消費の多くなる成長期の子どもは、ビタミンB2の消費が増えるため不足しやすくなります。もし、摂取が不足すると、成長障害を招く可能性が高まります。バナナは、子どもにとって食べやすい食材であり、成長障害のリスクを抑えられる食材なのです*10。

ナイアシン

ナイアシンは、エネルギー代謝を始め、DNAの修復、脂肪酸・ステロイドホルモンの生合成などに幅広く関わる栄養素です。茹でると失われやすいという特徴がありますが、バナナは生のまま食べられるため、効率良く摂取できるでしょう*11。

ビタミンB6

ビタミンB6はたんぱく質の代謝に必要な栄養素です。摂取することで、免疫機能の働きや神経の働きを正常に保ちます。不足すると口内炎や皮膚炎などの皮膚症状がでたり、うつ状態や錯乱状態などの神経症状が現れます。バナナは手軽に手に入るため、習慣的に摂取しやすい食材と言えます*12。

葉酸

葉酸は貧血防止に役立つ栄養素です。摂取することで赤血球の生産を助けます。体の発育に重要な栄養素であるため、妊婦の摂取が不足すると胎児の先天性神経管閉塞障害を招きます。バナナは手軽に手に入るため、妊娠期や授乳期の習慣的な摂取に向いています*13。

ミネラル

バナナは、ビタミンB群だけでなくミネラルも含んでいます。ミネラルは、体内で合成できないため、食事から摂取することが重要です*14。

ここでは、バナナから摂取できるミネラルについて解説します。

カリウム

カリウムはナトリウムを排出する作用がある栄養素です。塩分のとり過ぎは高血圧を招くため、塩分をとり過ぎた時はカリウムを含む食べ物をとることが推奨されています。なお、カリウムを大量に摂取した場合でも、体内で調整されるためカリウムの多量摂取はまれと言われています*15。厚生労働省より発表された2020年版(最新)の「日本人の食事摂取基準」では、健康保持増進に必要でありながら日本人が不足しがちな栄養素としてカリウムがあげられています。*16。バナナは手軽に手に入るため、習慣的にカリウムを摂取しやすい食材と言えます。

マグネシウム

マグネシウムは神経の伝達に関わる栄養素です。マグネシウムを含む食品は、藻類、魚介類、野菜類、豆類など多岐にわたります。果物の中ではバナナにもっとも多く含まれているため、おやつ・主食として普段の食事にプラスすることでマグネシウムを補うことができます*17。

*1 杉田浩一・平宏和・田島眞・安井明美編「新版 日本食品大事典」医歯薬出版株式会社, 2017, p.629
*2 文部科学省/日本食品標準成分表2020年版(八訂)
*3 久保田紀久枝・森光康次郎編「食品学 食品成分と機能性 第2版」東京化学同人, 2008, p.45
*4 公益財団法人腸内細菌学会「用語集 フラクトオリゴ糖」
*5 中村宜督「食品でひく 機能性成分の事典」女子栄養大学出版部, 2022, p.36-37
*6 朝日新聞Reライフnet「腸活とは? メリットやおすすめの食事・運動・マッサージ方法を紹介」
*7 厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト e-ヘルスネット「食物繊維」
*8 厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト e-ヘルスネット「ビタミン」
*9 公益財団法人 長寿科学振興財団「ビタミンB1の働きと1日の摂取量」
*10 公益財団法人 長寿科学振興財団「ビタミンB2の働きと1日の摂取量」
*11 公益財団法人 長寿科学振興財団「ナイアシンの働きと1日の摂取量」
*12 公益財団法人 長寿科学振興財団「ビタミンB6/B12の働きと1日の摂取量」
*13 公益財団法人 長寿科学振興財団「葉酸の働きと1日の摂取量」
*14 厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト e-ヘルスネット「ミネラル」
*15 厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト e-ヘルスネット「カリウム」
*16 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)策定検討会報告書. p.6
*17 公益財団法人 長寿科学振興財団「マグネシウムの働きと1日の摂取量」

まとめ

今回の記事では、バナナに含まれる栄養素とその働きについて解説しました。豊富な栄養素を含むバナナは、体の調子を整える上で重要な食品で、特に、フラクトオリゴ糖のような、腸活をするうえで効果的な栄養素を含んでいるのが嬉しいポイント。その特徴的な優しい甘さがあるおかげで、腸活をたのしく続ける助けにもなります。普段の食事にバナナを取り入れて、腸活にチャレンジしてみてください。