必要なミネラル吸収するには?!|[title]

INTERVIEW

  • 城西国際大学 薬学部医療薬学科 臨床栄養学研究室 教授 太田 篤胤 先生

    城西国際大学 薬学部医療薬学科 臨床栄養学研究室 教授 太田 篤胤 先生

  • フラクトオリゴ糖の摂取は、
    貴重なミネラルを効率的に吸収する
    最良の方法だと考えます。

    城西国際大学 薬学部医療薬学科
    臨床栄養学研究室 教授

    太田 篤胤 先生

現代人は、
ミネラル不足なのでしょうか?

物質には有機物と無機物があり、人間に必要と言われる五大栄養素のうち炭水化物、たんぱく質、脂質、ビタミンは有機物に分類され、残るミネラルが無機物に分類されます。ミネラルはエネルギーにならない点で炭水化物などと大きく異なりますが、栄養上、食物から摂取しなければいけない必須の栄養素です。
骨や歯などに大量に含まれるカルシウムや骨と筋肉をはじめ体に広く存在するマグネシウムは、その代表と言えます。カルシウムが牛乳や小魚に多く含まれることは多くの人がご存知ですが、マグネシウムは「昔、授業で習ったかな?」くらいの認識の人が多いのではないでしょうか?カルシウム、マグネシウムに加え、鉄、亜鉛、銅、カリウムの6つが栄養機能食品として認められています。裏を返せば、不足しやすく欠乏症に注意すべきものです。ミネラルは食品中の含有量が少なく、どれだけ摂取したかがわかりにくい上、最近は肥満を気にして食べる量を減らす人が多いので、現代においては多くの人がミネラル不足のリスクを抱えています。後に触れますが、だからこそ、カルシウムやマグネシウムの吸収を促進するフラクトオリゴ糖のような素材が私たちにとって非常に有用なのです。

ミネラル不足は、
どのような影響を及ぼしますか?

例えば、鉄が不足すると貧血が起こるのでわかりやすいですが、カルシウムが不足して骨に影響が出る場合は、相当、もろくなってもわかりません。その実感しにくさが、むしろミネラル不足の怖いところです。骨の量は30代にさしかかる辺りでピークになり、これを「最大骨量(ピークボーンマス)」と言います。そこからは加齢と共にどんどん減っていってしまうので、自覚症状がないからといってカルシウムの摂取を怠ると、早めに骨粗しょう症になる可能性が高まってしまいます。
マグネシウムも骨にとって重要なミネラルで、骨をしなやかにして折れにくくします。また、マグネシウムは筋肉の収縮や弛緩に関係していて、骨と筋肉を維持するにはカルシウムだけではなくマグネシウムも重要と言われる理由がそこにあります。
ダイエットなどを理由に十分なミネラルを摂取できていない人の中には若くても骨密度が低い人は少なからず存在し、咳をした拍子に背中を圧迫骨折した女子大学生の例もあるほどです。また、20歳代で筋肉の量が80歳の高齢者と同じくらいの人もいます。その意味ではミネラルの不足は将来の問題ではなく、いま、目の前にある問題でもあるのです。

ミネラル不足の解決に、
なぜフラクトオリゴ糖が良いのですか?

ミネラルはせっかく摂取しても、吸収率の低いものがほとんどです。ひとつのミネラルを大量に摂取しても、量が多くなるほど吸収率は下がることがわかっています。また、あるミネラルを大量に食べると別のミネラルの吸収が抑えられてしまいます。カルシウムの大量摂取によってマグネシウムの吸収が抑えられることが基礎研究で確認されています。しかし、フラクトオリゴ糖を摂取することで、その両方の吸収を高めることができるのです。
ミネラル不足の対処方法は、バランスの良い食事で幅広くミネラルを摂取しておくことです。そして、ミネラル吸収を助けてくれるフラクトオリゴ糖のような成分を活用すること。ミネラルは食事の中に微量にしか入っていない貴重なものであり、だからこそ私はその吸収率を高めるフラクトオリゴ糖の摂取は効率的にミネラルを吸収する最良の方法だと考えます。

ミネラルを効率よく吸収するために、
ほかに心がけるべきことは?

バランスのよい食事やミネラルの吸収率を高めるフラクトオリゴ糖の摂取習慣に加えて、それを3日坊主で終わらせずに継続することが大事です。ぜひ、おすすめしたいのが運動です。例えば、運動することによって骨や筋肉はカルシウムやマグネシウムが必要になり、それらが行き渡りやすくなると考えられます。丈夫でしなやかな骨、健全な筋肉を維持するためにも、バランスの良い栄養摂取とともに日常の中に運動を取り入れ、運動後に栄養補給も心がけてください。
私自身、研究に没頭していた30~40歳の頃よりも、ミネラルの吸収を高めてくれるフラクトオリゴ糖のありがたみを非常に感じるようになりました。超高齢化社会が訪れつつある現代において、「今はまだ大丈夫」と油断していると、ミネラルの欠乏に由来する致命的なトラブルのリスクは高まるばかりです。いつか必ず訪れる未来のことをリアルに考えて、今から効率的なミネラルの摂取を心がけてください。

太田 篤胤 先生プロフィール

城西国際大学教授(臨床栄養学)、博士(農学)、鍼灸師。1959山口県生まれ。東京農工大学農学部農芸化学科卒業、テルモ株式会社、
明治製菓株式会社にて研究職に就き、主にサプリメントの開発などに携わる。1999年、「難消化性糖質(フラクトオリゴ糖)のミネラル
吸収促進作用に関する研究」で日本栄養・食糧学会奨励賞受賞。2004 年、城西国際大学薬学部医療薬学科 臨床栄養学研究室 教授に就任。
現在に至る。
1999年にクモ膜下出血で倒れ一命をとりとめるが、リハビリで始めたランニングがきっかけで41歳でフルマラソンに挑戦して完走。
著書に「歩く、走る!のばせ健康寿命」(E-lock.planning発行、三一書房発売)がある。