オリゴ糖と食物繊維の違いとは?腸活に役立つ上手なとり方と注意点

オリゴ糖と食物繊維の違いとは?腸活に役立つ上手なとり方と注意点

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オリゴ糖と食物繊維は、どちらもおなかの調子を整えてくれるイメージがありませんか?腸活にはどちらの成分を取り入れた方が良いのか、気になる人もいるでしょう。より腸のために役立つことが期待できる成分を取り入れたいですよね。そこで今回は、オリゴ糖と食物繊維の違いや共通点、上手なとり方などについて詳しく解説します。

この記事の執筆者
管理栄養士
いしもと めぐみ

病院給食、食品メーカーの品質管理、保育園栄養士を経験して独立。栄養・健康分野の記事執筆のほか、栄養指導、食が楽しくなるレシピの発信などを行う。

目次
  1. オリゴ糖と食物繊維は何が違う?
  2. 難消化性オリゴ糖と食物繊維はどちらをとるのが良い?
  3. 上手なとり方と注意点
  4. まとめ

オリゴ糖と食物繊維は何が違う?

オリゴ糖や食物繊維を適切に取り入れるためには、それぞれの性質や働きへの正しい理解が欠かせません。ここでは、オリゴ糖と食物繊維の特徴、両者の共通点と違いについて解説します。

オリゴ糖とは

オリゴ糖は、炭水化物の一種です。炭水化物は「単糖」がつながって構成された物質であり、単糖の数によって異なる種類に分類されます。オリゴ糖は、3〜9個の単糖で構成された炭水化物です*1。

オリゴ糖にはいくつかの種類があり、大きく「難消化性」と「消化性」の2種類に分けられます。腸活に役立つことが期待できるのは、難消化性オリゴ糖です。難消化性オリゴ糖は、胃や小腸で消化・吸収されることなく大腸まで届く性質があります*2。

おなかの調子を左右する要因の1つとされているのが、腸内細菌のバランスです。腸内細菌は人にとって有用な働きをする「善玉菌」、健康に悪影響を及ぼす「悪玉菌」、どちらにも分けられない「日和見菌」に分類されます。これらの細菌がバランスを保って存在することで、腸内環境が維持されているのです*3。

大腸まで届いた難消化性オリゴ糖は、ビフィズス菌などの善玉菌の栄養として利用されます*2。ビフィズス菌が善玉菌とされるのは、乳酸や酢酸をつくり出して腸内を酸性にすることで、悪玉菌の増殖を抑えているためです*4。したがって、ビフィズス菌の栄養源となる難消化性オリゴ糖は、腸内環境の維持に欠かせない成分といえます。

食物繊維とは

食物繊維とは、人の消化酵素で消化できない物質を指します。炭水化物の一種でもあり、単糖が10個以上つながった複雑な構造をもつことが特徴です*1。さらに食物繊維は、水に溶ける「水溶性」と水に溶けない「不溶性」の2種類に分られます。

水溶性食物繊維は、腸内細菌の栄養となることで善玉菌の働きを助けることが期待できる成分です*5。一方で、不溶性食物繊維は便の量を増やしたり、腸の蠕動(ぜんどう)運動(内容物を押し出す動き)を促進したりする働きがあります*6。

2種類の食物繊維はそれぞれ異なる働きがありますが、どちらも腸活には欠かせない成分です。

オリゴ糖と食物繊維の共通点と違い

オリゴ糖と食物繊維は、どちらも炭水化物に分類される物質です。ただし、オリゴ糖は数個の単糖により構成される一方で、食物繊維はより多くの単糖が連なった、さらに複雑な構造をしている点で異なります。

とはいえ、難消化性オリゴ糖と食物繊維には良く似た性質もあります。胃や小腸で消化吸収されずに大腸まで届く点は両者に共通している性質です。

難消化性オリゴ糖や食物繊維のように、腸内細菌の増殖を促進することで健康に有益な作用をもたらす成分を「プレバイオティクス」と呼びます。プレバイオティクスは、おなかの健康維持だけでなく、血糖値や脂質のコントロールに役立つ可能性があるとする研究結果も報告されており、健康な毎日に欠かせない成分として注目を集めています*7。

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*1 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)1-4 炭水化物」p.152
*2 中村宜督「食品でひく 機能性成分の事典」女子栄養大学出版部, 2022, p.36-37
*3 公益財団法人腸内細菌学会「よくある質問 腸管内にすむ善玉菌、悪玉菌、日和見菌とは何ですか?」
*4 安藤朗. 腸内細菌の種類と定着:その隠された臓器としての機能. 日本内科学会雑誌. 2015, 104巻1号, p.29-34
*5 独立行政法人 農畜産業振興機構「プレバイオティクスとフラクトオリゴ糖~シュガーリプレイスメントから免疫改善まで」
*6 高橋陽子. 技術用語解説 繊維質と食物繊維. 日本食品科学工学会誌. 2011, 58巻4号, p.186
*7 公益財団法人腸内細菌学会「用語集 プレバイオティクス」

難消化性オリゴ糖と食物繊維はどちらをとるのが良い?

難消化性オリゴ糖と食物繊維はどちらか一方だけとれば良い、というものではありません。両方を一緒にとることで、効率よくおなかの健康につながると期待されています。

腸内には多くの善玉菌が生息していますが、菌により、何を栄養にするかは異なります*5。そのため、難消化性オリゴ糖と食物繊維を両方とると、幅広い善玉菌に栄養を与えられるでしょう。

難消化性オリゴ糖は、善玉菌の栄養になることで腸内環境の維持をサポートすることが期待できます。一方で、水溶性と不溶性の2種類がある食物繊維は、善玉菌の栄養になるだけでなく、排便のサポートも期待できます。そのため、効率的な腸活を目指すのであれば、難消化性オリゴ糖と食物繊維の両方をとると良いでしょう。

上手なとり方と注意点

オリゴ糖や食物繊維をより活用するためには、上手なとり方や摂取時の注意点を理解しておくことが大切です。ポイントを押さえて、効率的に腸活を進めていきましょう。

善玉菌を含む食品と組み合わせる

おなかの健康を維持するには、難消化性オリゴ糖や食物繊維と善玉菌を含む食品を一緒にとることをおすすめします。

善玉菌の栄養源となることが、難消化性オリゴ糖と食物繊維の役割です。したがって、ビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌そのものを含む食品も一緒に取り入れると、より効率的な腸活につながると考えられます。

乳酸菌は、ヨーグルトやチーズ、漬物などの発酵食品に含まれています*8。オリゴ糖や食物繊維にプラスして乳酸菌やビフィズス菌を取り入れることが、腸活のポイントです。

とり過ぎに注意する

体に良いからといって、オリゴ糖と食物繊維は「多くとる程良い」というわけではありません。一度に多くの難消化性オリゴ糖を摂取した場合、下痢を引き起こす可能性があります*9。また、食物繊維の過剰摂取は、ビタミンやミネラルの吸収を妨げる原因になることがあります*10。

とはいえ、食物繊維は現代の食生活では不足しがちな成分です。そのため、通常の食事から摂取するのであれば、食物繊維をとり過ぎる心配は少ないでしょう。

また、市販の甘味料やサプリメントなどからオリゴ糖をとる場合は、製品のパッケージに記載された目安量を守れば、とり過ぎる心配は少ないです。

*8 厚生労働省 健康日本21アクション支援システム「乳酸菌」
*9 消費者庁「特定保健用食品の表示許可等について 別添3 特定保健用食品(規格基準型)制度における規格基準」
*10 辻󠄀啓介. 食物繊維の保健効果. ビフィズス. 1995, 8巻2号, p.125-134

まとめ

今回は、オリゴ糖と食物繊維の特徴や違い、上手なとり方などについて解説しました。難消化性オリゴ糖と食物繊維はどちらも善玉菌の栄養となる成分ですが、働きに違いがあるため、両方をバランス良くとることが大切です。さらに、ビフィズス菌や乳酸菌を含む食品と組み合わせると、腸の健康に役立つことが期待できます。オリゴ糖と食物繊維を食生活にうまく取り入れて、腸活を進めていきましょう。

(参考文献閲覧日:2025年6月9日)

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