甘酒が腸活におすすめのワケ|効果的な飲み方と腸活甘酒レシピを紹介

甘酒が腸活におすすめのワケ|効果的な飲み方と腸活甘酒レシピを紹介

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腸活に注目が集まるなか、甘酒が手軽に取り入れられる飲み物として人気を集めています。甘酒は単体でも腸活効果が高く、また他の食材と組み合わせることでさらにその効果をアップさせることができます。

今回は、甘酒の種類やその効果について解説します。腸活効果がアップするおすすめの組み合わせ3選や甘酒を使った簡単ティラミスレシピも紹介していますので、ぜひ最後まで読んで、甘酒の魅力を再発見してみてください。

この記事の執筆者
管理栄養士/ヴィーガン&グルテンフリー専門家
たちばな かやの

大豆食品・ヴィーガン・グルテンフリー情報に特化する栄養専門家として活動している。栄養を学び、給食委託会社に入社後、病院と保育園で調理・食材発注・事務対応などを経験。アレルギー除去食をつくるうちに大豆の可能性に魅了され、大豆関連の資格を多数取得。また、プラントベースにも興味をもち、ヴィーガンやグルテンフリーについて学ぶ。
現在はコラム執筆やレシピ開発、セミナー講演のほか、自身でグルテンフリーのケータリング弁当屋を主催するなど精力的に活動している。食物アレルギーやヴィーガン・ハラル等の食のマイノリティが抱える悩みを解消し、食の多様性がある日本・世界を目指す。

レシピ担当
フードコーディネーター
細野 沙也加

合同会社HITOOMOI(ヒトオモイ)代表。カフェhanamal(ハナマル)オーナー。日本大学生物資源科学部食品ビジネス学科出身。大手食品商社にて2年勤務後、独立。料理番組出演、料理動画サービスレシピ制作・撮影、料理記事の執筆や講師など多岐にわたり活躍。真似しやすく簡単な家庭料理のレシピ制作を得意とする。2017年〜渡星し、弁当レシピを開発・販売。和食の発信に務め、帰国後2019年1月に合同会社HITOOMOIを創業。「手作り料理で大切な人を大事にできる社会を創る」ことが目標。

目次
  1. 甘酒には2種類ある|それぞれの特徴を解説
  2. 甘酒が腸活におすすめの理由
  3. 効果的な甘酒の飲み方(食べ方)
  4. 腸活効果がアップするおすすめの組み合わせ3選
  5. 【腸活レシピ】甘酒ティラミス
  6. まとめ

甘酒には2種類ある|それぞれの特徴を解説

甘酒と言っても、実は2つの種類があるのをご存知ですか?甘酒には、米と米麹でつくる「麹甘酒」と、日本酒をつくる際にできる酒粕を使用した「酒粕甘酒」に分けられます*1。

麹甘酒は、米の主成分であるでん粉に麹菌がつくる酵素が作用してつくられます。砂糖を加えず、発酵の力だけでつくられるため、自然な強い甘みが特徴です。一方、酒粕甘酒は、酒粕をお湯で溶いて砂糖を加えてつくられます。麹甘酒に比べて日本酒独特の風味が濃いです。

「酒」という文字が入っていますが麹甘酒にはアルコールが入っていません。酒粕甘酒に関しては原料の酒粕に微量のアルコールが含まれています。加熱する過程でアルコール成分が飛びますが、微量のアルコールが残っている場合もあるため、アルコールが気になる人は麹甘酒を選ぶことを推奨します。

*1 農林水産省 にっぽん伝統食図鑑「飲料」

甘酒が腸活におすすめの理由

日本の伝統的な飲料である甘酒には腸内環境を整える効果が期待できます。次に甘酒に含まれる成分とその腸活への影響について解説します。

腸内環境を整えるオリゴ糖

甘酒には、さまざまなオリゴ糖が含まれています*2。特に、麹甘酒は発酵過程でイソマルトオリゴ糖が生成されます。イソマルトオリゴ糖は腸内のビフィズス菌を増やし、有害菌の抑制、腐敗産物の減少などの作用により腸内環境を改善する働きがあり、近年注目されるプレバイオティクスに当てはまります*3*4。

加えて、麹甘酒に含まれる発酵由来の乳酸菌や酵母菌はプロバイオティクスとして機能します。プロバイオティクスとは、十分な量を摂取すると、健康に役立つ効果を発揮する生きた善玉菌を育てるのに有効な微生物のことです*5。食品から直接摂取して腸内に届けることで、腸内環境が整ってさまざまな健康作用があるとされています。

プレバイオティクスとプロバイオティクスの組み合わせはシンバイオティクスと呼ばれ、摂取した微生物の増殖や活性化を促進して腸内環境の改善に役立てることができます*6。通常、プレバイオティクスとプロバイオティクスそれぞれの食材を一緒に摂取することが推奨されますが、甘酒はそれだけでシンバイオティクスが完成されているので、より手軽に腸活ができるのです。

食物繊維

甘酒には100g当たり0.4gの食物繊維が含まれています*7。特に麹甘酒に比べ酒粕甘酒には不溶性食物繊維が多く含まれています。食物繊維には便秘の予防をはじめとする整腸効果だけでなく、血糖値上昇の抑制、血液中のコレステロール濃度の低下など、多くの生理機能が明らかになっています*8。

レジスタントプロテイン

甘酒には米由来の難消化性たんぱく質のレジスタントプロテインが含まれています。このレジスタントプロテインはヒトの消化酵素で消化・吸収されにくく、消化管を介して健康維持に役立つ生理機能をもつたんぱく質と定義されています*9。

特に酒粕由来の甘酒に多く含まれており、便通の改善効果の他、LDL-コレステロール低減や肥満抑制効果が認められています。

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*2 倉橋敦. 美味しいだけじゃない我が国の伝統甘味飲料「麹甘酒」. 日本家政学会誌. 2023, 74巻2号, p.101-106
*3 独立行政法人農畜産業振興機構「砂糖以外の甘味料について」
*4 公益財団法人腸内細菌学会「用語集 プレバイオティクス」
*5 Colin Hill et al., The International Scientific Association for Probiotics and Prebiotics consensus statement on the scope and appropriate use of the term probiotic. Nature Reviews Gastroenterology & Hepatology. 2014, 11:506–514
*6 公益財団法人腸内細菌学会「用語集 シンバイオティクス」
*7 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年・第2章(データ)」
*8 厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト e-ヘルスネット「食物繊維の必要性と健康」
*9 尾関健二. 甘酒中のレジスタントプロテインの機能性解析について. 日本醸造協会誌. 2022, 117巻9号, p. 627-634

効果的な甘酒の飲み方(食べ方)

甘酒について解説してきましたが、適切な摂取量やタイミングはあるのでしょうか。次に、甘酒を取り入れる際の効果的なポイントを紹介します。

1日のおすすめの摂取量|1日100mLまで

甘酒は強い甘みが特徴です。主成分としてもブドウ糖が多いので、毎日飲むと太ってしまわないか心配になりますよね。しかし、甘酒メーカーが麹甘酒の過剰摂取と長期摂取の試験を行ったところ、毎日118gを摂取しても問題ないという結果が報告されています*2*10。

以上のことから、1日100mL程度を目安に摂取するのがおすすめです。

甘酒を飲むタイミング|目的別の効果

甘酒を飲むおすすめのタイミングは、便通改善にプラスして取り入れたい目的によって異なります。

エネルギー補給や腸内の動きを活性化させたい場合は朝食時に取り入れるのがおすすめです。目覚めたばかりの脳にブドウ糖が栄養分としてすばやく届いてくれます。

リラックス効果や睡眠の質を高めたい場合は夜に取り入れてみましょう。甘酒には、交感神経抑制や抗ストレス、血管拡張作用をもつGABAが含まれています*10。就寝前に飲むと心地良い眠りをサポートします。

*10 倉橋敦ほか. 麴甘酒の過剰摂取による安全性検証試験. 日本醸造協会誌. 2019, 114巻10号, p. 654-662

腸活効果がアップするおすすめの組み合わせ3選

甘酒をほかの食材と組み合わせることで、腸活効果をさらに高めることができます。ここでは、甘酒の腸活効果をアップさせる組み合わせを3つ紹介します。

甘酒×ココア

カカオに含まれるカカオプロテインには、便のかさ増し効果が期待されています*11。同じく便通改善効果のある甘酒と組み合わせればより腸活効果を高められるでしょう。ココアであれば手軽に使えるのでおすすめです。使う場合は無糖のココアがおすすめです。

甘酒×ナッツ

ナッツには不溶性食物繊維が豊富に含まれており、便通改善など腸活をサポートします。アーモンドやクルミなど好きなナッツと一緒に組み合わせて摂取してみましょう。

甘酒×チーズ

チーズは豊富な乳酸菌を含むプロバイオティクスのため、甘酒との組み合わせで腸活をサポートします。高たんぱく質・高脂質・低糖質の食材であるため、糖質が高い甘酒とは栄養バランスの相性が良いです。

今回は甘酒とチーズを組み合わせた「甘酒ティラミス」のレシピを紹介します。プレバイオティクスであるフラクトオリゴ糖も使用したレシピです。ティラミスはつくり方が難しいイメージがあるかもしれませんが、簡単につくれるレシピなので、ぜひお試しください。

*11 株式会社明治 みんなの健康チョコライフ「レポート2 新発見!カカオプロテインで便通改善」

【腸活レシピ】甘酒ティラミス

<材料(4人分 100mL×瓶4つ分)>

※このレシピではお好みではちみつを使用する箇所があります。使用した場合は1歳未満の乳児には与えないでください。

▼A_チーズの層
フラクトオリゴ糖として* 6g
甘酒(米麹) 大さじ2
ホイップクリーム 100g
マスカルポーネチーズ 100g
▼B_コーヒーの層
食パン(6枚切り) 1枚
濃い目に出したコーヒー 100mL
はちみつ 適宜
ココアパウダー 適量
いちごジャム 適宜

(*フラクトオリゴ糖製品を使用する際は、商品によってフラクトオリゴ糖含有量が異なるため、フラクトオリゴ糖量を合わせてください。1日のフラクトオリゴ糖摂取量の目安は3gです。)

<つくり方>

1

ボウルにAの材料を入れてよく混ぜる。

2

別のボウルにBの食パンを千切りながら入れ、濃い目に出したコーヒーに浸す。お好みではちみつを加え、甘さをつける。

3

瓶に①、②を交互に重ねる。ココアパウダーをふるい、お好みでいちごジャムをのせる。

ポイント

  • ホイップクリームは市販品を使用しても良いです。甘さが足りない場合は、はちみつで調節するのがおすすめです。
  • フレッシュフルーツをトッピングするのもおすすめです。季節のフルーツを飾ると、見た目も鮮やかに仕上がります。
  • 甘酒は米由来がおすすめですが、酒粕由来のものでも代用可能です。

まとめ

甘酒はオリゴ糖や乳酸菌が含まれているので、プレバイオティクス・プロバイオティクスの両方の機能を兼ね備えています。腸内の善玉菌を増やして便通改善をサポートします。さらに、ココアやチーズなどと組み合わせることで、その効果をさらに高めることができるでしょう。今回紹介した飲み方やレシピを参考に、甘酒を活用した腸活を始めてみてください。

(参考文献閲覧日:2025年1月11日)

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