腸内環境を改善するメリットと整え方

腸内環境を改善するメリットと整え方

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「腸活」という言葉が定着しつつあるように、腸内環境に興味をもつ人も増えてきました。腸内環境を良い状態でキープしておくと、さまざまなメリットが得られます。毎日の生活の中で腸をケアする習慣が身につけば、より健康的でアクティブな生活を送るサポートになると言えるでしょう。

今回は、腸内環境を整えることで得られるメリットや、取り入れたい食事・生活習慣を解説します。

この記事の執筆者
管理栄養士
佐野 未来

管理栄養士として給食委託会社で調理・発注などの経験を経て、大学病院で大量調理業務や栄養指導、病棟における栄養管理業務を行う。現在は独立し、個人向けに栄養指導や食に関する執筆、学校給食での調理など幅広く活動している。管理栄養士以外にも、栄養士や食生活アドバイザーなどの資格も保有する。

目次
  1. 腸内環境が整った状態とは
  2. 腸内環境を整った状態に改善するメリット
  3. 腸内環境を整える方法
  4. まとめ

腸内環境が整った状態とは

腸内環境が整った状態とは、腸内で悪玉菌よりも善玉菌が優勢になっている状態のことを指します。

人間の腸内にいる細菌は主に3つに分類されます。善玉菌の代表格は乳酸菌やビフィズス菌で、人間の体にとって有用な細菌です。悪玉菌はウェルシュ菌やサルモネラ菌など、食中毒や病気の原因になりうる細菌とされています。日和見菌は、善玉菌と悪玉菌のどちらにも属さない細菌で、この3つの細菌が腸内で同居しているイメージです*1。

腸内細菌の理想的なバランスは、善玉菌が2割・悪玉菌が1割・日和見菌が7割とされています*2。日和見菌は悪玉菌が優勢になると身体機能や健康維持にとって悪い影響を及ぼすこともあるため、善玉菌が優勢になるように、食生活や生活習慣に気を配っておく必要があるのです*2。

*1 公益財団法人 腸内細菌学会「よくある質問 腸管内にすむ善玉菌、悪玉菌、日和見菌とは何ですか?」
*2 立垣愛郎. 乳酸菌の健康機能. Comprehensive Medicine. 2018, 17巻1号, p.10

腸内環境を整った状態に改善するメリット

腸内細菌のバランスを整えておくと、健康維持に役立つさまざまなメリットが期待できます。ここでは、腸内環境を整えることで期待できるメリットについて解説します。

おなかの調子を整える

悪玉菌が優勢である状態では、悪玉菌によってつくられる有害物質によって腸の蠕動(ぜんどう)運動がうまくいかず、便が大腸内で滞るようになります。善玉菌を優勢にすることで、腸の働きをスムーズにして便秘の緩和が期待できます。

便秘が長く続くと、腸内でアンモニアなどの腐敗物やガスが発生しやすくなります。放置していると腸の毛細血管を通って体中に回ってしまい、肌荒れの原因になることもあるので注意が必要です*3。

免疫機能を維持する

腸管は、人間の体の中でも特に大きな免疫機構とされています。外部から入ってきた病原菌などの侵入者と戦う働きがある抗体や、そのほか免疫機能を司る細胞の60%以上が腸管に存在することがそのゆえんです*4。

腸管における免疫機能は、腸内環境による影響を大きく受けているとされています*5。腸内環境を整えておくことで、免疫を維持し、健康的な毎日につながることが期待できます。

ビタミンを合成できる

ビタミンは基本的に食事からとる必要がありますが、一部のビタミンは腸内でも合成されます*6*7。8種類のビタミンB群と、脂溶性ビタミンの一種であるビタミンKが合成されます。しかし、合成されたビタミンがどの程度取り込まれて、人体の栄養としてどのぐらい役に立っているかは分かっていません*7。

大腸内では、いくつかの細菌が協力して1つのビタミンを合成することもあります*7。腸内環境を整えることは、菌の多様性を向上させてビタミン合成に関わる細菌のバランスを整えることにもつながると考えられます。

このように、腸内環境を整えることは健康に大きく影響を与えるものです。日々の生活に腸内環境を整える習慣を取り入れてみましょう。

*3 公益財団法人 長寿科学振興財団 健康長寿ネット「生活習慣で乱れた腸内環境を整える方法」
*4 公益財団法人 腸内細菌学会「腸管免疫(gut immunity)」
*5 上野川修一. 腸管免疫とプレバイオティクス. 腸内細菌学雑誌. 2002, 16巻1号, p.69
*6 厚生労働省 健康日本21アクション支援システム「ビタミン(びたみん)」
*7 公益財団法人 腸内細菌学会「腸内細菌によるビタミン産生(Vitamin production by gut bacteria)」

腸内環境を整える方法

腸内環境を整えるには、まず、食事や生活習慣を見直すことをおすすめします。日々の積み重ねが重要なので、善玉菌を増やすための習慣を身につけて継続していきましょう。

ここでは、腸内環境を整える方法について、食事と生活習慣に分けて解説します。

食事

食事で腸内環境を整えるには、善玉菌を直接摂取する方法と、善玉菌のエサになる食品を摂取する方法を並行して行うのがおすすめです。

善玉菌を含む食品の代表格は、ビフィズス菌や乳酸菌を含むヨーグルトや、発酵食品である納豆などがあげられます。ビフィズス菌や乳酸菌は「プロバイオティクス」と呼ばれ、十分な量を摂取することで、健康に役立つ効果を発揮する生きた微生物です*8。

これらの食品は、できるだけ継続してとるようにしましょう。ヨーグルトを朝食時にプラスするだけでも良いので、自分が取り入れやすい食品を選んで食べるのも継続のコツです。

一方、善玉菌のエサになる食品は「プレバイオティクス」と呼ばれ、難消化性オリゴ糖が代表的です。プレバイオティクスは胃や小腸で消化・吸収されずに大腸に届き、善玉菌のエサとなります。

プレバイオティクスにはおなかの調子を整えたり、ミネラルの吸収促進をしたりすることも期待できます*9。中でも難消化性オリゴ糖は砂糖に比べて低カロリー、かつ優しい甘みで、日々の食事にも取り入れやすい甘味料として広く知られています*10。

その他、芋や海藻などに含まれている水溶性食物繊維と、きのこ類や穀物などに含まれている不溶性食物繊維を積極的に取り入れるのもおすすめです。不溶性食物繊維は便のかさを増やし、水溶性食物繊維は水分量をキープして便を柔らかくすることが期待できます*11。

生活習慣

腸内環境を整えるには、食事以外の生活習慣を見直すことも必要です。

まず、着目したいのが自律神経です。交感神経と副交感神経の2つがあり、状況に応じてうまく切り替わることでバランスを保っています。しかし、何らかの原因でバランスがくずれると、自律神経の働きが乱れて腸の蠕動(ぜんどう)運動が低下してしまいます。

2つの神経のバランスを整えるのにおすすめなのが運動です。適度な運動を取り入れることで、自律神経と副交感神経の切り替えがきちんとできるようになって、腸内環境を整えることにつながります*11。

また、十分な睡眠がとれていないと腸内環境にも影響が出ることが分かってきました。人間の体には一定のリズム(概日リズム)があります。肝臓や消化管に加え、複数の腸内細菌の働きにも概日リズムがあるとされています。規則正しい生活が送れていなかったり、睡眠不足が続いたりすると、腸内細菌の働きに影響が出る可能性もあります。

睡眠に問題がある方の中には低酸素の症状が出る場合もあります。酸素が十分に行き届かないことで腸内フローラを変化させたり、腸管のバリア機能を妨げたりする可能性も示唆されているため、良質な睡眠を確保することも大切です*12。

生活習慣の乱れは、腸内環境の乱れにつながるだけでなく、さまざまな生活習慣病のきっかけになるおそれもあります。腸内環境に興味をもったことを機に、日々の生活を幅広く見直してみましょう。

*8 Colin Hill et al., The International Scientific Association for Probiotics and Prebiotics consensus statement on the scope and appropriate use of the term probiotic. Nature Reviews Gastroenterology & Hepatology. 2014, 11:506–514
*9 公益財団法人腸内細菌学会「用語集 プレバイオティクス」
*10 独立行政法人 農畜産業振興機構「砂糖以外の甘味料について」
*11 神奈川県衛生研究所「運動とおなかの調子」
*12 入江潤一郎ほか. 睡眠と腸内細菌叢. 腸内細菌学雑誌. 2017, 31巻3号, p.145-146

まとめ

今回は、腸内環境を整えることのメリットや方法について解説しました。目に見えない腸の状態を整えるのは難しく感じますが、日々の食事や生活習慣を見直し、適切なケアを継続すれば、腸内環境を整えることにつながります。取り組みやすい方法から始めて、理想的な腸内環境を目指しましょう。

(参考文献閲覧日:2025年9月28日)

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