糖質制限のメリット・デメリット|無理なく糖質をコントロールするポイントも解説

糖質制限のメリット・デメリット|無理なく糖質をコントロールするポイントも解説

公開日:

糖質制限は、健康管理やダイエットの手段として近年注目を集めています。糖質を控えることで、食後の血糖値の上昇を抑えることが期待できます。とはいえ、極端に糖質を制限すると栄養バランスが乱れ、健康を損ねるおそれもあるため注意が必要です。今回は、糖質制限のメリットやデメリット、日常生活で取り入れやすい糖質コントロールのポイントを紹介します。

この記事の執筆者
管理栄養士
下田 由美

管理栄養士として約10年間、病院・施設・保育園で幅広い年代の「食と健康」に携わってきた。その中で「食」と「心」は密接に関係していると気付く。現在は、「食はココロとカラダを元気にする」をモットーにフリーランスの管理栄養士として活動中。健康や栄養に関する記事執筆や監修、レシピづくりなどを行うだけでなく、美容や健康でお悩みの方に対して栄養指導を行い、日々多くの方々の健康づくりをサポートしている。フードアナリストの資格も保有。

目次
  1. 糖質制限とは
  2. 糖質制限のメリット
  3. 糖質制限のデメリット
  4. ロカボを意識してみよう
  5. 健康的に糖質をコントロールするポイント
  6. まとめ

糖質制限とは

糖質制限に明確な定義はありませんが、極端なものでは、1日に摂取する糖質量を50g以下に抑えることもあります*1。

この食事法は米国の心臓病専門医ロバート・アトキンスが提唱したもので、1日10~20g程度まで糖質を大幅に減らす形で行われました。てんかん発作の抑制や体重減少、高血糖の改善が見られた反面、副作用や合併症のリスクが指摘されており、長期的な安全性については十分に解明されていません*2。

一方で、一般社団法人 食・楽・健康協会は緩やかな糖質制限である「ロカボ」を提唱しています。ロカボは、1日当たりの糖質量を70~130gに抑える食事法です*3。取り入れる際は、体調やライフスタイルに合った方法を選び、必要に応じて専門家に相談すると安心です。

*1 今井佐恵子ほか. 食べ方と食べる時間が血糖変動に影響を与える. 化学と生物. 2018, 56巻7号, p. 483-489.
*2 藤谷朝実. 糖質制限はどこまで必要か. 日本調理科学会誌. 2020, 53巻5号, p.365-367.
*3 一般社団法人 食・楽・健康協会「ロカボとは」

糖質制限のメリット

糖質制限には健康面やダイエットにおいて、さまざまなメリットがあります。まずは、どのようなメリットがあるのか見ていきましょう。

メリット1.短期的な体重減少

糖質制限する人は、炭水化物を制限しない人に比べて、短期的に体重が減りやすい傾向があります*4。理論的には消費エネルギーが摂取エネルギーを上回れば、体重は減少します。

そのため、普段からパンやご飯、パスタや麺類など、糖質を多く含む食品を良く食べている人ほど、糖質を控えることで摂取エネルギー量を抑えられるのです。ただし、長期的な有効性ははっきりしていません*4。

メリット2.食後高血糖の抑制

糖質制限は食後の血糖値の上昇を防ぐことにつながります。糖質は三大栄養素の1つである炭水化物に含まれ、体内で血糖値を上げる働きがあります。

食後高血糖は、心臓病や脳卒中などを引き起こすリスクがあると言われています*3。糖質の摂取量を調整することで、食後の血糖値の急上昇を抑えれば、生活習慣病の予防につながることが期待できます*5。

*4 Giovanni Antonio Silverii et al., Effectiveness of low‐carbohydrate diets for long‐term weight loss in obese individuals: A meta‐analysis of randomized controlled trials. Diabetes Obes Metab. 2022 May 26;24(8):1458–1468
*5 勝川史憲. 糖質制限食の健康影響:現状のエビンデンス. 慶應義塾大学スポーツ医学研究センター紀要 2017年

糖質制限のデメリット

糖質制限をダイエットや健康管理のために行う人もいますが、安易に始めることはおすすめしません。糖質制限を考えている人は、事前にデメリットも確認しておきましょう。

デメリット1.体調不良のおそれ

糖質制限で体重が減少すると、さらに減らそうとして極端に糖質量を制限してしまう人がいます。糖質を過度に減らすと、必要なエネルギー源が不足し、疲れやすくなったり、集中力が落ちてしまったりする可能性があります*6。

また、脳は糖質をエネルギー源としているため、仕事や勉強で頭を使うには十分な糖質が必要です。無理な糖質制限は体調不良の原因となるため、減らしすぎには注意が必要です。

デメリット2.栄養素の偏りや不足

糖質を制限しながら1日の摂取エネルギー量を満たそうとすると、たんぱく質や脂質の過剰摂取につながるおそれがあります。特に、脂質のとり過ぎは、肥満や生活習慣病につながる可能性があるため気をつけましょう。また、腎臓に疾患がある人がたんぱく質を多くとると、腎臓への負担も増してしまいます。体調に不安がある人や持病がある人は、糖質制限を始める前に専門医に相談することをおすすめします。

さらに、穀類やいも類などの炭水化物には食物繊維も含まれているため、糖質を制限すると食物繊維の摂取量も減少しがちです*7。食物繊維には、便を柔らかくする水溶性食物繊維と、便のカサを増やす不溶性食物繊維があります*8。そのため、糖質を減らす際には、食物繊維不足による便秘にも注意が必要です。

糖質制限を意識するあまり、他の栄養素が不足しないよう、バランスの取れた食事を心がけましょう。

デメリット3.リバウンドのリスクと続けにくさ

糖質制限は、短期的な体重減少が期待できますが、長期間継続することで、生活の質が下がる可能性があります。炭水化物からのカロリー摂取をカロリー全体の10%以下にする糖質制限を1年継続した結果、生活の質の悪化が見られたとの結果が報告されています*9。

また、長期的な糖質制限をストレスに感じることで、反動で食事量が増えてしまう可能性もあり、リバウンドの原因につながります。

さらに、糖質が不足すると、エネルギーを補うためにたんぱく質が分解されます。たんぱく質は筋肉のもととなる栄養素ですが、エネルギー源として使われてしまうと、筋肉がつくられなくなって筋肉量が減り、基礎代謝が低下するため、同じ量を食べても太りやすくなる可能性があります*10*11。

*6 厚生労働省 健康日本21アクション支援システム「炭水化物 / 糖質」
*7 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年 炭水化物成分表 編」
*8 株式会社明治 Hello. Chocolate「食物繊維の多い食べ物は?効果的に摂取してお腹の調子を整えよう」
*9 Joshua Z Goldenberg et al., Efficacy and safety of low and very low carbohydrate diets for type 2 diabetes remission: systematic review and meta-analysis of published and unpublished randomized trial data. BMJ. 2021;372:m4743
*10 公益社団法人 和歌山県栄養士会「たんぱく質は多くとればとるほど、体づくりに効果的?」
*11 伏木 亨. 運動と栄養. 栄養学雑誌. 2000, Vol.58 No.1, p.1-4

ロカボを意識してみよう

カロリー制限や過度な糖質制限は体重減少が期待できる反面、続けにくさやリバウンドのリスクもあります。そこで、緩やかな糖質制限である「ロカボ」を意識しましょう。

ロカボは糖質を抑えても、肉や魚、たまご、大豆製品、乳製品などが食べられるため、空腹感が気になりにくく、ストレスを感じにくく、満足感もキープしやすいです。さらに、決められた糖質量に合わせて食事を選べば、デザートも楽しめます*3。

過度な糖質制限で痩せても、挫折してリバウンドしてしまっては本末転倒です。ストレスを感じることなく、コツコツと続けていけるロカボを意識しましょう。

健康的に糖質をコントロールするポイント

無理なく糖質をコントロールするには、糖質の質や栄養バランスなどを考えることが大切です。ここでは、糖質制限のポイントを紹介します。

糖質の「質」と「量」を意識する

糖質をとる時は、食事の組み合わせや量を意識することが大切です。緩やかな糖質制限であるロカボの場合、糖質量を1食20~40g、デザートは10g以下、1日70~130g以内に抑える必要があります*3。

「ラーメンとご飯(糖質量:約115g)」「パスタとパン(糖質量:約95g)」「うどんとおにぎり(糖質量:約90g)」(利用可能炭水化物(質量計)を用いた場合の目安量)など、炭水化物同士の組み合わせは、糖質過多になりやすいため注意しましょう*12*13。ご飯のおかわりや麺類の大盛りも、知らず知らずのうちに糖質量が増えてしまうため、控えた方が無難です。

さらに、糖質の中でも砂糖の主成分であるショ糖は、血糖値の急上昇や体重増加に影響を与える可能性があります。お菓子や清涼飲料水のようにショ糖を多く含む食品は、とり過ぎないよう心がけましょう*13。

一方で、難消化性オリゴ糖の一種であるフラクトオリゴ糖は、食後血糖値に影響しにくく、胃や小腸で消化・吸収されずに大腸まで届きます*14。甘みがなくて物足りないと感じる人は、飲み物や料理に加えてみるのも1つの方法です。

糖質以外の栄養素も意識してとる

糖質制限を行う際は糖質を控えると同時に、たんぱく質や良質な脂質、ビタミン・ミネラル、食物繊維も補うことが大切です。とはいえ、摂取エネルギー量が消費エネルギー量を上回ってしまえば、減量は期待できません。必要な栄養素を補いながら、適量を目指すことがポイントです*15。

また、炭水化物のみを摂取すると、血糖値が上昇しやすくなるため、肉や魚、豆類、野菜などと一緒にとることをおすすめします。さまざまな食品と合わせて摂取することで、血糖値の急上昇を防ぎましょう*16*17。

糖質コントロールにおすすめの食べ方に変える

糖質をコントロールする時は、食べる順番やスピードも意識しましょう。血糖値の上昇を抑えるために、糖質の多い食品は最後に食べることがポイントです。肉や魚などのたんぱく質や食物繊維が豊富な野菜などから食べ始めましょう*17*18。

早食いの人は、ゆっくりと良く噛んで食べることを意識してみてください。10分で急いで食べた場合は、20分かけてゆっくり食べた場合と比べて、血糖値の上昇ピーク値が低かったとの結果が報告されています*19。ひと口ごとに箸を置いたり、いつもより10回多く噛むようにしたりするなど、ゆっくりと食べる工夫を試してみましょう。

生活習慣を整える

糖質のとり方を工夫するだけでなく、生活習慣を整えることも重要です。たとえば、睡眠不足は糖の代謝や内分泌機能に悪影響を及ぼすおそれがあると言われています*20。

また、軽い有酸素運動や筋力トレーニングは、ブドウ糖の吸収を促し、血糖値の上昇を穏やかにすることが報告されています*21。そのため、十分な睡眠や適度な運動など、規則正しい生活を実践しましょう。

*12 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年・ 第2章(データ)」
*13 国立健康危機管理研究機構 糖尿病情報センター「糖尿病の食事のはなし(献立編)」
*14 独立行政法人 農畜産業振興機構「プレバイオティクスとフラクトオリゴ糖~シュガーリプレイスメントから免疫改善まで」
*15 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)1-4 炭水化物」p.155
*16 Jiyoung S Kim et al., Effect of nutrient composition in a mixed meal on the postprandial glycemic response in healthy people: a preliminary study. Nutr Res Pract. 2019 Jan 30;13(2):126–133
*17 一般社団法人 日本糖尿病学会「日本糖尿病学会がすすめる健康食スタートブック~生活の質向上を目指して~」p.17
*18 Satoru Yamada. Consideration of adequate carbohydrate intake. Glycative Stress Research 2018; 5 (1): 001-011
*19 Yuuki Saito et al., Eating Fast Has a Significant Impact on Glycemic Excursion in Healthy Women: Randomized Controlled Cross-Over Trial. Nutrients. 2020 Sep 10;12(9):2767.
*20 Spiegel K et al., Impact of sleep debt on metabolic and endocrine function. Lancet. 1999;354(9188):1435–1439.
*21 Lykke Sylow et al., Exercise-stimulated glucose uptake - regulation and implications for glycaemic control. Nat Rev Endocrinol. 2017 Mar;13(3):133-148.

まとめ

糖質制限は、短期的な体重減少や食後高血糖の抑制などのメリットがある一方で、栄養の偏りや体調不良、長期の継続が難しいなどのデメリットもあります。糖質を上手にコントロールするために、極端な制限ではなく、ご自身の体調に合わせて食生活や生活習慣を整えていきましょう。

(参考文献閲覧日:2025年9月2日)

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