シンバイオティクスとは?その効果と食事への取り入れ方を紹介

シンバイオティクスとは?その効果と食事への取り入れ方を紹介

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最近では腸活という言葉も広まり、ヨーグルトや発酵食品を取り入れる方が増えています。そこで注目されているのが、腸により良い効果が期待できる「シンバイオティクス」という新しいアプローチです。

この記事では「シンバイオティクス」とはどういう腸活なのかを解説します。シンバイオティクスを取り入れた簡単レシピを紹介しますので、ぜひ腸内環境を整える参考にしてください。

この記事の執筆者
管理栄養士
下田 由美

管理栄養士として約10年間、病院・施設・保育園で幅広い年代の「食と健康」に携わってきた。その中で「食」と「心」は密接に関係していると気付く。現在は、「食はココロとカラダを元気にする」をモットーにフリーランスの管理栄養士として活動中。健康や栄養に関する記事執筆や監修、レシピづくりなどを行うだけでなく、美容や健康でお悩みの方に対して栄養指導を行い、日々多くの方々の健康づくりをサポートしている。フードアナリストの資格も保有。

目次
  1. シンバイオティクスとは?
  2. プロバイオティクスとは
  3. プレバイオティクスとは
  4. シンバイオティクスおすすめレシピ
  5. シチュエーション別!シンバイオティクスを意識する方法
  6. まとめ

シンバイオティクスとは?

シンバイオティクスとは、プロバイオティクス(善玉菌そのもの)とプレバイオティクス(善玉菌のエサになるもの)を組み合わせたもののことです。それぞれ単体で摂取するのに比べて相乗効果が期待でき、腸内環境をより効率良く整えることができると注目されています。また、感染症を防いだり炎症を抑えたりする働きがあることから、シンバイオティクスは医療現場でも注目されています*1。

*1 公益財団法人腸内細菌学会「用語集 シンバイオティクス」

プロバイオティクスとは

プロバイオティクスとは、一般的に「善玉菌」と言われるような、十分な量を摂取すると、健康に役立つ効果を発揮する生きた微生物のことです*2。乳酸菌やビフィズス菌などがその代表で、ヨーグルトや発酵食品に多く含まれています*3。プロバイオティクスを適量とることで、腸内環境が整いやすくなり、便通改善のほか、さまざまな健康効果が期待できます*3。

プロバイオティクスの食品例

プロバイオティクスの食品例は、下記の通りです*4*5。

【代表的な食品例】

  • ヨーグルト
  • 納豆
  • キムチ
  • ぬか漬け
  • ザワークラウト
  • テンペ
  • みそ
  • 醤油
  • 酢 など

*2 Colin Hill et al., The International Scientific Association for Probiotics and Prebiotics consensus statement on the scope and appropriate use of the term probiotic.Nature Reviews Gastroenterology & Hepatology.2014, 11:506–514
*3 公益財団法人腸内細菌学会「用語集 プロバイオティクス」
*4 Eirini Dimidi et al., Fermented Foods: Definitions and Characteristics, Impact on the Gut Microbiota and Effects on Gastrointestinal Health and Disease. Nutrients. 2019 Aug 5;11(8):1806
*5 農林水産省 「にっぽんの発酵食品」

プレバイオティクスとは

プレバイオティクスとは、善玉菌を増やしたり、悪玉菌の増殖を抑えたりして、健康に有益な働きをする難消化性の成分のことです*6。プロバイオティクスのような菌そのものではなく、もともと腸内にいる善玉菌を元気にしてくれるのが特徴です。「プレ」という言葉には「前もって」という意味があり、腸内環境を整える上で土台づくりのような役割をしてくれます。

また、整腸作用や抗脂血作用、コレステロール低下作用、インスリン抵抗性の改善、ミネラル吸収促進作用、尿中窒素低減作用、大腸がん・炎症性腸疾患の予防・改善、アレルギー抑制作用、腸管免疫の増強などの効果が報告されています*7*8。

プレバイオティクスの食品例

プレバイオティクスの代表的な食品例をみていきましょう*9*10。

【代表的な食品例(オリゴ糖を含む食材)】

  • 玉ねぎ
  • ごぼう
  • にんにく
  • バナナ など

【代表的な食品例(食物繊維を含む食材)】*11

  • そば(生)
  • ライ麦パン
  • しらたき
  • さつまいも
  • 切り干し大根(乾燥)
  • かぼちゃ
  • ごぼう
  • たけのこ
  • ブロッコリー
  • モロヘイヤ
  • おから
  • わかめ
  • しいたけ など

*6 Glenn R. Gibson et al., Expert consensus document: The International Scientific Association for Probiotics and Prebiotics (ISAPP) consensus statement on the definition and scope of prebiotics. Nature Reviews Gastroenterology & Hepatology. 2017, 14:491–502
*7 公益財団法人腸内細菌学会「用語集 プレバイオティクス」
*8 原博. プレバイオティクスから大腸で産生される短鎖脂肪酸の生理効果. 腸内細菌学雑誌. 2002, 16巻1号, p.35-42
*9 独立行政法人 農畜産業振興機構「プレバイオティクスとフラクトオリゴ糖~シュガーリプレイスメントから免疫改善まで」
*10 厚生労働省 健康日本21アクション支援システム「食物繊維の必要性と健康」
*11 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年・ 第2章(データ)」

シンバイオティクスおすすめレシピ

プロバイオティクスとプレバイオティクスの食材を組み合わせる「シンバイオティクス」を意識することで、相乗効果が期待できます。ここでは、簡単につくれるシンバイオティクスのおすすめレシピを紹介します。

バナナヨーグルト

バナナを切って盛りつけるだけの簡単レシピです。乳酸菌を含むヨーグルトと、オリゴ糖や食物繊維を含むバナナを組み合わせると、効率良く腸内環境を整えることができます。

お好みでシナモンやナッツを加えるなどのアレンジも可能です。ダイエット中なら無糖のヨーグルトがおすすめですが、物足りなさを感じる場合はオリゴ糖をかけると甘みが加わり食べやすくなります。

バナナヨーグルトは手軽で満腹感を得やすく、朝食や間食にもぴったりです。調理の手間が少なく、忙しい朝などに重宝します。

ライ麦パンのオープンサンド

もしもザワークラウト(キャベツを乳酸発酵させたドイツの漬物)があれば、おしゃれで体に優しい1品がつくれます。ライ麦パンの上に粒マスタードを塗ってから、チーズとザワークラウトをのせて黒こしょうをふるだけなので、時短になります。

シンプルながら発酵食品(プロバイオティクス)と食物繊維(プレバイオティクス)が同時にとれる、腸活にぴったりのお手軽レシピです。プロバイオティクスは、ザワークラウトやチーズ、食物繊維はライ麦パンから摂取できます。お好みでサラダチキンやゆでたまごのスライスなどを加えると、たんぱく質も強化できます。

ヨーグルトとかぼちゃのサラダ

かぼちゃサラダの味つけに、マヨネーズを使わず、無糖ヨーグルトと塩こしょうで味を調えれば、シンバイオティクスを意識した、腸にも嬉しいヘルシーなかぼちゃサラダに。ヨーグルトに含まれる乳酸菌(プロバイオティクス)と、かぼちゃの食物繊維(プレバイオティクス)の組み合わせで、腸内環境のサポートに役立ちます。

かぼちゃの自然な甘みとヨーグルトの程良い酸味が絶妙なひと品です。重たくなりすぎず、爽やかな口当たりになります。

腸活みそ汁

みそはプロバイオティクスになる発酵食品なので、プレバイオティクスの食物繊維やオリゴ糖を含む野菜を加えることで、シンバイオティクスが完成します。具を変えるだけで手軽に続けられるのが、みそ汁の魅力です。冷蔵庫の野菜を使えばアレンジも自在です。

プレバイオティクスになる食材では、ごぼうや玉ねぎ、さつまいもなどがおすすめです。みそと顆粒だしを混ぜ合わせてボール状にまとめておき、1人分ずつラップに包んだ「みそ玉」を用意しておき、プレバイオティクスである乾燥わかめを加えれば、お湯を注ぐだけでシンバイオティクスのみそ汁がつくれます。

甘酒とバナナの腸活スムージー

甘酒とバナナを合わせたスムージーは、シンバイオティクスを手軽に取り入れられるおすすめレシピです。甘酒に含まれる米麹はプロバイオティクスなので、腸内環境を整える善玉菌を補い、バナナに含まれるオリゴ糖や食物繊維がそのエサとなり、腸内フローラのバランスをサポートします。

さらに、豆乳やきな粉を加えると、たんぱく質やイソフラボンも補給できます。腸活スムージーは、健康的に過ごしたい女性にもおすすめの1杯です。

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シチュエーション別!シンバイオティクスを意識する方法

「シンバイオティクスを意識したいけれど、外食続きで難しい」「食材を使い切れずに困っている」など、腸活のための食品を取り入れようとしても、なかなかうまくいかないこともあるかもしれません。そんな時におすすめの方法を紹介します。

外食する時のメニュー選びは慎重に

丼物やパスタなど、単品になりがちな外食ですが、みそ汁やサラダを追加するだけで手軽にシンバイオティクスに近づきます。デザートにバナナやヨーグルトをプラスするのもおすすめです。サラダにチーズをトッピングすると、サラダの食物繊維とチーズの乳酸菌を同時にとることができます。

また、外食時は丼物などの単品ではなく定食スタイルやセットメニューにすると良いでしょう。定食やセットメニューなら、みそ汁や漬物、納豆などがついてくることがあります。とはいえ、すべてそろっていなくても問題ありません。発酵食品や野菜もしくは海藻があるかを意識するだけでも、シンバイオティクスにならずとも腸内環境に良い影響を与えます。

食材を使い切れない時のお助けアイテムを活用

食材を余らせがちな人は、「すぐ使える」+「長もち食品」を意識することがポイントです。たとえば、納豆やヨーグルト、チーズ、みそなどの比較的日もちする発酵食品をストックしておいたり、冷凍野菜やカット野菜を活用したりするなど、上手に工夫することで無理なくシンバイオティクスを取り入れることができます。

まとめ

腸内環境を効率よく整えたい時は、シンバイオティクスが有効です。善玉菌そのもののプロバイオティクス(乳酸菌やビフィズス菌など)と、善玉菌のエサとなるプレバイオティクス(オリゴ糖や食物繊維)を組み合わせるアプローチ法で、相乗効果が期待できます。

また、シンバイオティクスは医療現場でも注目を集めています。普段の食事に手軽に取り入れられるだけでなく、外食時でも選び方次第でシンバイオティクスを実践できるため、無理なく腸活を進めたい人はぜひ取り入れてみてはいかがでしょうか?

(参考文献閲覧日:2025年7月4日)

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