アガベシロップとオリゴ糖の違いは?甘さ・カロリー・使い分けを解説

アガベシロップとオリゴ糖の違いは?甘さ・カロリー・使い分けを解説

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アガベシロップは、健康志向の人を中心に近年注目を集めている甘味料です。健康に良い甘味料としてオリゴ糖をイメージする人も多いと思いますが、両者にはさまざまな違いがあります。それぞれの強みを知れば、理想の体や食生活を実現するための強い味方になるでしょう。

今回の記事では、アガベシロップとオリゴ糖の違いや使い分ける際のポイントを解説します。

この記事の執筆者
管理栄養士
佐野 未来

管理栄養士として給食委託会社で調理・発注などの経験を経て、大学病院で大量調理業務や栄養指導、病棟における栄養管理業務を行う。現在は独立し、個人向けに栄養指導や食に関する執筆、学校給食での調理など幅広く活動している。管理栄養士以外にも、栄養士や食生活アドバイザーなどの資格も保有する。

目次
  1. アガベシロップとオリゴ糖の違い
  2. オリゴ糖が向いている人
  3. アガベシロップとオリゴ糖の使い分け方
  4. まとめ

アガベシロップとオリゴ糖の違い

アガベシロップとオリゴ糖は両方とも甘味料の1つですが、原料や味わい、特性などが違います。ここでは、アガベシロップとオリゴ糖の違いをくわしく解説します。

原料

アガベシロップの原料は、メキシコ原産のアガベという多肉植物です*1。アガベはリュウゼツラン科リュウゼツラン属に属する植物の総称です。中でも、テキーラ・リュウゼツランやアガベ・サルミアナといった植物の樹液を加工したものがアガベシロップとなります*2。

アガベに含まれるアガベイヌリンという食物繊維から得られる果糖を濃縮したものがアガベシロップで、日本でも近年人気が高まっている甘味料です*1。

一方、オリゴ糖の原料は種類によって違います。たとえば、フラクトオリゴ糖は、砂糖の主成分であるスクロース(ショ糖)を利用するなどして製造したもので、ガラクトオリゴ糖は乳糖を原料として製造したものです*3*4。

甘さ

アガベシロップには果糖が多く含まれていることから、甘さは砂糖の約1.3倍とされています。強い甘さがありつつも、味に癖がなくすっきりとした口当たりが楽しめるのが特徴です*1。

対するオリゴ糖は甘さが控えめで、よりさっぱりとした味わいが広がります。砂糖の甘さを1とした場合の主なオリゴ糖の甘さは、以下の通りです*4。

  • フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖:0.25~0.35

  • 乳果オリゴ糖(ラクトスクロース):0.5(乳果オリゴ糖が55%以上含まれる場合)

  • イソマルトオリゴ糖:0.4〜0.5

このように、オリゴ糖の甘さは砂糖と比較して半分以下のものが多く見られます。

カロリー

アガベシロップのカロリーは1g当たり約2.9~3.3kcal程度です*5。砂糖は1g当たり3.9kcalなので*6、砂糖と比べるとアガベシロップの方が低カロリーであることが分かります。

ただ、はちみつは1g当たり3.3kcal、メープルシロップは1g当たり2.7kcalで、砂糖以外の甘味料と比較しても大きく変わりません*6。

難消化性オリゴ糖はアガベシロップよりもさらにカロリーが低くなっています*4。主な難消化性オリゴ糖の1g当たりのカロリーは以下の通りです。

  • フラクトオリゴ糖:約1.6~2.2kcal

  • ガラクトオリゴ糖:2~3kcal

  • キシロオリゴ糖:2kcal

砂糖の約半分程度のカロリーなので、難消化性オリゴ糖は摂取カロリーを抑えたい人にもおすすめの甘味料といえます。

GI値

糖の吸収度合いを示した指標であるGI(グリセミック・インデックス)値にも違いがあります。

GI値が55以下の食品は低GI食品に分類され、食後の急激な血糖上昇が起こりにくいことが知られています*7。アガベシロップのGI値は17程度と、低GI食品の中でも値がかなり低い甘味料です*1。

一方のオリゴ糖を見てみると、フラクトオリゴ糖のGI値は0に近く、アガベシロップのGI値よりもさらに低いことが分かります*7。摂取しても血糖値に影響がほとんどなく、血糖値を気にしている人でも気兼ねなく使える甘味料です。

健康効果

アガベシロップは、水溶性食物繊維のイヌリンを1~2%程度含んでいるのが特徴です*1。イヌリンはプレバイオティクスの1つで、結腸にて善玉菌のエサになります*8。また、アガベイヌリンはカルシウムをはじめとしたミネラルの吸収を促進する働きもあります*1。

オリゴ糖もプレバイオティクスの1つです。ミネラルの吸収を促進するなどアガベシロップと似たような働きもありますが、オリゴ糖にはさらにさまざまな健康効果が期待できます*4*7。

フラクトオリゴ糖やガラクトオリゴ糖はむし歯になりにくい難う蝕性をもつのが特徴です*4*7。フラクトオリゴ糖は整腸作用のほか、唾液に含まれる免疫グロブリンA(IgA)の分泌を促進して上気道感染症の予防に寄与する可能性も示唆されています*7。

血糖だけでなく、コレステロールの上昇を抑える働きもあるとされており、生活習慣病を予防したい人に適した甘味料とも言えます*9。

*1 小嶋良種. アガベの特徴と機能. 食品と開発. VOL.46,NO.4, p.10-12
*2 中山直哉. メキシコ食品企業の日本市場におけるマーケティング戦略と 実証研究ーアガベシロップの日本進出を事例としてー. 地域イノベーション第16号. 2024, p.103-104
*3 公益財団法人腸内細菌学会「用語集 オリゴ糖」
*4 独立行政法人農畜産業振興機構「砂糖以外の甘味料について」
*5 アガベシロップのカロリーは、アガベシロップ製品6社の栄養成分表示より算出
*6 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年・ 第2章(データ)」
*7 独立行政法人 農畜産業振興機構「プレバイオティクスとフラクトオリゴ糖~シュガーリプレイスメントから免疫改善まで」
*8 浅桐公男. イヌリン. 外科と代謝・栄養. 2020, 54巻3号, p.160
*9 中久喜輝夫. オリゴ糖研究の最前線その1 緒言―オリゴ糖開発研究の現状と将来―. 応用糖質科学第1巻第4号, 2011, p.283

オリゴ糖が向いている人

アガベシロップとオリゴ糖は一見似ているようですが、違いを比較してみるとそれぞれに特徴がありました。では、アガベシロップよりもオリゴ糖の方が合っている人はどんなタイプなのでしょうか。

摂取カロリーをより低くしたい

少しでも摂取カロリーを抑えたい人は難消化性オリゴ糖が適しています。難消化性オリゴ糖のカロリーは砂糖の約半分で、アガベシロップよりもさらに低いことが理由です。

ただし、オリゴ糖製品にはショ糖や水あめなど、オリゴ糖以外の糖を配合して甘さや粘度を調整しているものもあります。製品の選び方によってはカロリーが高くなるので注意が必要です。オリゴ糖製品を選ぶ際は、オリゴ糖の含有率が高いものを選びましょう。

GI値がより低い甘味料を選びたい

食後の血糖上昇が気になる人は、GI値がより低い難消化性オリゴ糖を選ぶのがおすすめです。ただし、消化性オリゴ糖に分類されるイソマルトオリゴ糖は、ほかの難消化性オリゴ糖よりも消化・吸収されやすく、血糖値がある程度上昇する可能性があるので気をつけましょう*4。

また、オリゴ糖はGI値が低いからといって一度にとり過ぎると下痢を起こすおそれがあります。1日数回に分けて食べると下痢を起こしにくいので、こまめに少量ずつ摂取することから始めてみましょう*10。

より多くの健康効果を得たい

オリゴ糖にはさまざまな健康への機能が確認されているため、より健康に配慮した食生活を目指したい人にはオリゴ糖がぴったりです。オリゴ糖は特定保健用食品(トクホ)の成分として活用されており、健康に良い食品としても認知度が高まっています*4。

腸内環境の改善やミネラルの吸収促進など、アガベシロップで確認されている健康への機能はオリゴ糖でも十分カバーできるのもポイントです。

*10 奥恒行ほか. ヒトにおける難消化性オリゴ糖・ガラクトシルスクロースの一括摂取と分割摂取の一過性下痢誘発に及ぼす影響ならびにその許容量. 日本栄養・食糧学会誌. 1999, 第52巻第4号, p.201, p.204

アガベシロップとオリゴ糖の使い分け方

アガベシロップとオリゴ糖の大きな違いは、前述の通り甘さの度合いです。両者を使い分けるなら、甘さの特徴を意識して使ってみましょう。

アガベシロップは砂糖よりも甘さが強いため、砂糖の代用品としても使いやすい甘味料です。しっかりとした甘さが感じられるので、料理やお菓子づくりにも適しています。使う分量は砂糖よりも控えめにするのがコツです。

一方のオリゴ糖は優しい甘さが感じられます。フルーツやヨーグルトなど酸味がある食品や、香り高いコーヒーなどに加えても素材本来の風味を損なわずに食べられるのでおすすめです。

またオリゴ糖は、アガベシロップよりも低カロリーで血糖値を上げにくいため、健康のために食生活を見直したい人にも適しています。

まとめ

今回はアガベシロップとオリゴ糖の違いについて解説しました。アガベシロップは果糖を多く含み、さっぱりとしつつも砂糖の1.3倍の甘さが感じられるのが特徴です。オリゴ糖はカロリーやGI値が低く、さまざまな健康効果が期待できます。それぞれの特徴や強みを知れば、自分のライフスタイルに合った甘味料が選べます。健康的な食生活を送るためにも、ぜひ活用してみてください。

(参考文献閲覧日:2025年6月8日)

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