オリゴ糖と砂糖の違い|ダイエットや健康に良いのはどっち?効果的なとり方も解説

オリゴ糖と砂糖の違い|ダイエットや健康に良いのはどっち?効果的なとり方も解説

公開日:

「オリゴ糖って砂糖と何か違いがあるのかな?」
そう考える人も多いのではないでしょうか。

よく砂糖の代用品として使われるオリゴ糖ですが、砂糖との違いを詳しく知っておくことで、生活パターンに合わせて使い分けることもできます。違いを理解して両者をバランス良くとりましょう。

この記事では、オリゴ糖と砂糖との違いや、オリゴ糖の効果的な使い方について解説します。

この記事の執筆者
薬剤師/腸育コンシェルジュ
松本 萌

薬剤師ライターとして、セルフケアに関する記事を執筆している。前職のドラッグストアで健康相談を受ける中で、正しい知識を知らない人が多くいることを痛感。セルフケアの正しい知識を誰にでも分かりやすい言葉で紹介することを心がけている。薬剤師以外にも化粧品成分検定1級、腸育コンシェルジュなどさまざまな健康・美容の資格を取得。

目次
  1. オリゴ糖と砂糖の違い
  2. オリゴ糖を砂糖の代わりに使用した場合の使用量
  3. オリゴ糖はダイエット中や糖尿病の人も食べられる?
  4. オリゴ糖の効果的なとり方・注意点
  5. まとめ

オリゴ糖と砂糖の違い

オリゴ糖と砂糖はどちらも甘味料のため、同じようなものだと思われがちです。しかし、両者は構造や健康効果、甘味の度合いが大きく異なります。それぞれの特徴を理解することで使い分けが可能になり、より健康的な食生活が送れるでしょう。

構造・種類

オリゴ糖と砂糖は、ともに糖の一種です。糖は、結合しているブドウ糖など(単糖類)の数によっていくつもの種類に分けられます*1。

オリゴ糖は3~9個程度の単糖類が結合したもので、少糖類とも呼ばれます。特に難消化性オリゴ糖は砂糖とは異なり、胃や小腸で消化・吸収されることなく大腸まで届いて腸内環境を整える健康効果が期待されています*2。

オリゴ糖には消化性オリゴ糖と難消化性オリゴ糖があります。さまざまなオリゴ糖がどちらに分類されるのか下の表にまとめています。

消化性オリゴ糖 イソマルトオリゴ糖
難消化性オリゴ糖 フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、ビートオリゴ糖(ラフィノース)、乳果オリゴ糖(ラクトスクロース)など

砂糖は主に単糖類のブドウ糖と果糖が結合した二糖類です。別名ショ糖やスクロースとも呼ばれます*3。砂糖にはさまざまな種類があり、上白糖だけでなく黒糖やグラニュー糖なども砂糖の一種です*4。

  • 砂糖の種類:上白糖、氷砂糖、角砂糖、グラニュー糖、三温糖、液糖、黒糖、和三盆など

この記事では、主に難消化性オリゴ糖と砂糖の違いについて解説していきます。

原料・製造方法

オリゴ糖の原料は種類により異なりますが、糖類や食物繊維に酵素を反応させて製造されます。たとえば、フラクトオリゴ糖の原料はスクロース(砂糖)で、酵素を反応させることでフラクトオリゴ糖が生成されます*5。

また、オリゴ糖は自然界にも存在しているのが特徴です。たとえば、フラクトオリゴ糖は、玉ねぎやごぼうにも多く含まれています*5。

砂糖の原料は、主にサトウキビと砂糖大根(てんさい)です。茎や根から糖を抽出・精製して砂糖がつくられます。精製する段階で不純物をどんどん取り除いていったものが、真っ白な上白糖やグラニュー糖などに仕上がります。精製の段階でカラメルが生成され着色したものが三温糖です*6。黒糖はサトウキビの煮汁をろ過したものを固めてつくっているため、濃い茶色をしています*7。

カロリー

難消化性オリゴ糖は、砂糖よりも低カロリーです。これは、砂糖が消化酵素によってすぐ分解されて体内に吸収されるのに対し、難消化性オリゴ糖はほとんどが消化・吸収されずに大腸まで届くためです。

具体的なカロリーですが、砂糖は1g当たり4kcal、ガラクトオリゴ糖やフラクトオリゴ糖などの難消化性のオリゴ糖では1g当たり2kcalとされています*8。

甘味

砂糖とオリゴ糖で甘味を比べると、砂糖の方が強いです。種類にもよりますが、オリゴ糖の甘味は砂糖の約25~40%と控えめです*5。

砂糖の甘味を1とした時、オリゴ糖の甘味は以下のようになります*5。

イソマルトオリゴ糖:0.4〜0.5
フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖:0.25~0.35
キシロオリゴ糖:0.25~0.4
乳果オリゴ糖(ラクトスクロース)(含有率が55%以上の場合):0.5
ビートオリゴ糖(ラフィノース):0.2

砂糖の代用品としてオリゴ糖を使う際には、甘味をつけるために使い過ぎないよう注意しましょう。

健康効果

オリゴ糖と砂糖では健康効果が異なります。どちらにもメリットとデメリットがあるため、偏りなく摂取するのがおすすめです。

難消化性オリゴ糖の主な健康効果は「善玉菌のエサになる」「血糖値を上げにくい」「砂糖と比べて低カロリー」「むし歯になりにくい」などさまざまです*9*10。胃や小腸で消化・吸収されずに大腸まで届く性質の難消化性オリゴ糖には、砂糖のとり過ぎで心配される血糖値の急上昇やカロリー過多、むし歯をカバーできます。

また、難消化性オリゴ糖は大腸において善玉菌のエサとなり、短鎖脂肪酸という物質をつくりだします*11。短鎖脂肪酸は腸内を酸性にして善玉菌が増えやすい環境に整えるため、腸内環境を改善したい人にはおすすめです*12。

砂糖は悪者にされがちですが、脳と体のエネルギー源となるほか、幸せホルモンとも呼ばれるセロトニンを分泌しやすくして気分を安定させる作用があり、私たちの生命を維持するのに重要な食品です。

砂糖が消化酵素によりブドウ糖へ分解されると、脳や筋肉に運ばれて、私たちが活動するためのエネルギーとなってくれます。この時、ブドウ糖を運ぶのがインスリンというホルモンです*13。インスリンはブドウ糖を脳や筋肉に運ぶ働きのほかに、食事中に含まれるアミノ酸のトリプトファンを脳に運ぶ働きもあります。脳に運ばれたトリプトファンは、幸せホルモンとも呼ばれるセロトニンに生まれ変わります*14。

難消化性オリゴ糖と砂糖はお互いに異なる健康効果をもつため、バランス良く両方とるのがおすすめです。

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*1 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所「炭水化物と糖類について」
*2 田辺 賢一. 難消化性オリゴ糖の生体利用性ならびに生体調節機能に関する研究. 日本栄養・食糧学会誌. 2023,76巻6号, p.363-369
*3 独立行政法人 農畜産業振興機構「砂糖と健康~砂糖と甘味の疑問を解説~(前編)」
*4 農林水産省「砂糖あれこれ」
*5 独立行政法人 農畜産業振興機構「砂糖以外の甘味料について」
*6 藤田 孝輝. 甘味料としての糖類. 日本調理科学会誌. 2020,53巻2号, p.147-152
*7 農林水産省「黒糖(こくとう)」
*8 消費者庁「難消化性糖質及び食物繊維の エネルギー換算係数の見直し等に関する 調査・検証事業 報告書」
*9 中久喜輝夫. オリゴ糖研究の最前線その1 緒言―オリゴ糖開発研究の現状と将来―. 応用糖質科学. 2011, 第1巻第4号, p.284
*10 むし歯:中村宜督「食品でひく 機能性成分の事典」女子栄養大学出版部, 2022, p.37-39
*11 菅原正義. オリゴ糖の特性と生理効果. ビフィズス. 1993, 7巻1号, p.8
*12 安藤朗. 腸内細菌の種類と定着:その隠された臓器としての機能. 日本内科学会雑誌. 2015, 第104巻第1号, p.29-34
*13 独立行政法人 農畜産業振興機構「優れた砂糖の効果を知って、食生活を豊かに!」
*14 独立行政法人 農畜産業振興機構「脳の栄養~ブドウ糖(砂糖)とトリプトファンを中心として~」

オリゴ糖を砂糖の代わりに使用した場合の使用量

単純計算すると「砂糖の約2倍量」のオリゴ糖を使用すると、砂糖と同じくらいの甘さになるでしょう。これは、オリゴ糖の甘味が砂糖の半分以下のためです。

ただし、砂糖とオリゴ糖は厳密には性質が異なるため、オリゴ糖を使うことで料理の仕上がりが想像とは違うものになる可能性があります。また、オリゴ糖製品の中には、砂糖と同じくらいの甘味を出すために、あらかじめ砂糖やほかの甘味料を加えているものもあります。

オリゴ糖製品のパッケージに記載してある使用目安量を参考にしながら使っていくと思わぬ失敗を減らせるでしょう。

オリゴ糖はダイエット中や糖尿病の人も食べられる?

難消化性オリゴ糖は、低カロリーで血糖値を上げにくいため、ダイエット中や糖尿病の人でも食べられます。ただし、インスリン製剤や血糖値を下げる薬を使っている人は、一度かかりつけの医師に相談してからオリゴ糖を取り入れると安心です。

また、オリゴ糖の使用量にも気をつけましょう。一度に大量のオリゴ糖をとると、おなかがゆるくなり、痛みや下痢を引き起こす可能性があります*15。まずは少量ずつ試してみるのがおすすめです。

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*15 奥 恒行ほか. ヒトにおける難消化性オリゴ糖・ガラクトシルスクロースの一括摂取と分割摂取の一過性下痢誘発に及ぼす影響ならびにその許容量. 日本栄養・食糧学会誌. 1999, 52巻4号, p.203

オリゴ糖の効果的なとり方・注意点

オリゴ糖にはさまざまな健康効果がありますが、使い方に注意することで、より効果を実感できます。効果的なとり方から料理中の注意点まで解説します。

効果的なとり方

オリゴ糖の健康効果はいくつかありますが、腸内環境を改善したい場合には、善玉菌を含む食品と一緒にとると効果的です。無糖ヨーグルトや納豆にオリゴ糖を混ぜてみると良いでしょう。

また、血糖値やカロリーが気になる時に難消化性オリゴ糖を取り入れてみるのもおすすめです。たとえば、コーヒーの砂糖の代わりにオリゴ糖を使うのも1つの方法です。

1日当たりの摂取目安量

以下はオリゴ糖が関与成分となる特定保健用食品の規格基準です。以下を1日の摂取目安量とすると良いでしょう*16。

フラクトオリゴ糖:3~8g
キシロオリゴ糖:1~3g
ガラクトオリゴ糖:2~5g
乳果オリゴ糖(ラクトスクロース):2~8g
大豆オリゴ糖:2~6g
イソマルトオリゴ糖:10g

オリゴ糖は一度にたくさん食べるとおなかがゆるくなる場合があります。上記の目安量を複数回に分けて摂取するのがおすすめです。

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オリゴ糖はやさしい甘さが特徴で、甘味をつけようと使い過ぎると、カロリー過多やお腹の張りや痛み、下痢などのデメリットを感じてしまいます。適量であれば低カロリーで腸内環境を整える優秀な甘味料。正しい知識を学んでダイエット中の食生活に取り入れてみましょう。

*16 消費者庁「特定保健用食品の表示許可等について 別添3 特定保健用食品(規格基準型)制度における規格基準」

料理に使う際の注意点

オリゴ糖は「強い酸性」「加熱」の条件が揃うと分解されやすくなることが分かっています。フラクトオリゴ糖を加えた酢豚のあんを加熱したところ、分解されて砂糖と同じ成分のショ糖が増えてしまったという研究結果が報告されました*17。

そのため、オリゴ糖を効果的にとりたい場合には、酢を使うなど酸性の料理に使う際は、最後の仕上げに使い、なるべく熱が加わらないようにすると成分が維持されやすいです。

また、オリゴ糖製品によって水分量にもばらつきがあるため、お菓子や水分量に注意が必要な料理の際には慎重に使いましょう。

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*17 中村アツコ. フルクトオリゴ糖を用いた酢豚や煮物中での糖の変化. 東京家政学院大学紀要. 2003, 第43号, p.49-53

まとめ

オリゴ糖と砂糖はどちらも糖の一種ですが、健康効果に違いがあるため、それぞれの特徴をよく理解した上で使用しましょう。

難消化性オリゴ糖は砂糖による血糖値の急上昇やカロリー過多、むし歯を防ぐ働きがあります。摂取目安量や料理に使う際の注意点を参考にしながら、毎日の生活に取り入れてみてください。

(参考文献閲覧日:2025年3月8日)

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