オリゴ糖を含む食べ物と上手に取り入れる方法

オリゴ糖を含む食べ物と上手に取り入れる方法

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腸内環境を整えることが健康維持に重要だと広く認識される中、オリゴ糖が注目されています。オリゴ糖は腸内で善玉菌をサポートする役割があり、毎日の食事に取り入れることで健康維持に役立つとされています。

しかし、どんな食べ物にオリゴ糖が含まれているのか、上手なとり方が分からない人も多いかもしれません。本記事では、オリゴ糖を含む食べ物や、日常生活への取り入れ方について解説します。

この記事の執筆者
管理栄養士
横川 仁美

管理栄養士の資格を取得後、保健指導や重症化予防を中心に2500人以上へのアドバイスを行ってきた。現在は、管理栄養士、食専門ライター、料理研究家として、執筆、商品監修、レシピ開発などを行っている。健康食育シニアマスターの資格を持つ。

目次
  1. オリゴ糖とは?
  2. オリゴ糖を毎日の食事に取り入れるメリット
  3. オリゴ糖を含む食べ物
  4. オリゴ糖を食べ物から上手に摂取する方法
  5. オリゴ糖と相性の良い食べ物
  6. オリゴ糖製品を活用するのもあり
  7. まとめ

オリゴ糖とは?

オリゴ糖とは、炭水化物の一種で、最小構成単位である「単糖」が数個つながった構造を持っています。一般的には、単糖が3~9個つながったものをオリゴ糖と呼びます*1。

*1 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」炭水化物 p.152

オリゴ糖を毎日の食事に取り入れるメリット

オリゴ糖には主に「難消化性オリゴ糖」と「消化性オリゴ糖」の2種類があります。その中でも、特に注目され、健康効果が期待されているのが「難消化性オリゴ糖」です。「難消化性オリゴ糖」の代表的なもの、特に「フラクトオリゴ糖」には、次のようなメリットがあります*2。

腸内の善玉菌のエサとなる

難消化性オリゴ糖は胃や小腸で消化・吸収されずに大腸まで届き、腸内の善玉菌の栄養源として働いて善玉菌の増殖を助けます*2。

短鎖脂肪酸を産生する

難消化性オリゴ糖が腸内細菌によって代謝されると、エネルギーや短鎖脂肪酸を生成します。短鎖脂肪酸は腸内を酸性に保つことで、悪玉菌の抑制と腸の動きを促進します*3。

血糖値に影響を与えにくい

難消化性オリゴ糖は胃や小腸で消化・吸収されないため、摂取しても血糖値が上がりにくいとされています。そのため、血糖を細胞に取り込むために必要な「インスリン」の分泌をほとんど刺激しません*2。砂糖の代わりに難消化性オリゴ糖を使うことで、血糖値やインスリンへの影響を抑えることができます。

エネルギーになりにくい

砂糖は胃や小腸で消化・吸収され、1g当たり約4kcalのエネルギーを生成しますが、難消化性オリゴ糖は小腸で吸収されず、大腸内の腸内細菌によって短鎖脂肪酸などに代謝された後に吸収されるため、1g当たり約2kcalと通常の糖質の半分程度のエネルギー量となります*3。このため、カロリー摂取を控えたい人にとっては、砂糖の代わりに難消化性オリゴ糖を使用することで、エネルギー摂取を抑えることができます。

むし歯になりにくい

一部の難消化性オリゴ糖は「難う蝕性」という性質を持っており、むし歯を引き起こしにくい特徴があります。むし歯の原因菌であるミュータンス菌は砂糖をエサにして酸をつくり、歯の表面を溶かしてむし歯を引き起こします。難消化性オリゴ糖はミュータンス菌のエサになりにくいため、むし歯のリスクを減らすことができます*2。

*2 独立行政法人 農畜産業振興機構「プレバイオティクスとフラクトオリゴ糖~シュガーリプレイスメントから免疫改善まで」
*3 菅原正義. オリゴ糖の特性と生理効果. ビフィズス. 1993, 7巻1号, p.1-12

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オリゴ糖を含む食べ物

オリゴ糖は身近な食べ物に含まれており、これらを毎日の食事に取り入れることで、自然にオリゴ糖を摂取できます。以下は、フラクトオリゴ糖を含む食べ物例です*2*4*5。

オリゴ糖を含む食べ物例(可食部100g中のフラクトオリゴ糖含量)

野菜・果物 フラクトオリゴ糖含量(g)
ごぼう 3.6
玉ねぎ 0.23
にんにく 0.6
ライ麦 0.7
バナナ 0.3
はちみつ 0.75
トマト 0.15

*4 Judith E et al., Food Technology, A PUBLICATION OF THE INSTITUTE OF FOOD TECHNOLOGIST. 1994, p.85-89
*5 日高秀昌:治療学,14,635(1985)

オリゴ糖を食べ物から上手に摂取する方法

オリゴ糖の健康効果を感じるためには、普段の食事に無理なく取り入れることがおすすめです。以下の方法を参考に、自然に摂取する習慣を身につけましょう。

オリゴ糖を含む食べ物を意識的に取り入れる

前述したように、オリゴ糖は野菜や果物に含まれており、これらを積極的に料理に取り入れることで、無理なく摂取できます。

  • 朝食にプラスする
    バナナを、スムージーやヨーグルトに取り入れるのがおすすめです。忙しい朝でもサッとつくれます。

  • サラダや煮物の具材として
    トマトや玉ねぎをサラダに使ったり、ごぼうを煮物に入れたりすると、栄養も豊富な一品に仕上がります。

  • スープや炒め物にも
    にんにくや玉ねぎを使った炒め物やスープなら、オリゴ糖を無理なくとることができます。

無理なく続ける工夫をする

腸内環境を整えるには、時間がかかります。毎日の習慣にすることで、無理なく続けられます。

  • 日常のルーティンに取り入れる
    毎朝ヨーグルトやスムージーを楽しむ、夕食にオリゴ糖を含む食べ物を使った料理を取り入れるなど、小さな工夫を習慣にすると続けやすくなります。

  • 簡単な料理を取り入れる
    難しいレシピではなく、いつもの料理に少し加えるだけなら手間がかかりません。炒め物やスープなら手軽に準備できます。

オリゴ糖と相性の良い食べ物

難消化性オリゴ糖は、乳酸菌やビフィズス菌といった善玉菌と一緒にとると、より腸内環境の改善効果が期待できます。難消化性オリゴ糖は善玉菌のエサとなり、その働きをサポートします*6。

したがって、前述したオリゴ糖を含む食べ物に加えて、乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌を含む発酵食品を組み合わせると良いでしょう。

発酵食品には、ヨーグルト・チーズ・日本酒・漬物・みそなどがあります*7*8。

難消化性オリゴ糖と相性の良い食べ物の組み合わせ例)

  • ヨーグルト:プレーンヨーグルトにバナナを加えるだけで、簡単に善玉菌と善玉菌のエサとなる難消化性オリゴ糖を摂取できます。きなこを加えるのもおすすめです。

  • チーズ:ナチュラルチーズには乳酸菌が含まれているため、トマトなどの難消化性オリゴ糖を含む野菜と一緒に食べると良いでしょう。

  • みそ:玉ねぎやごぼうなどの野菜をたっぷり入れたみそ汁は、食べ応えがありカロリーも控えめです。

*6 公益財団法人腸内細菌学会「用語集 シンバイオティクス」
*7 厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト e-ヘルスネット「乳酸菌」
*8 農林水産省 aff(あふ)「『発酵』の不思議」2022年11月号

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オリゴ糖製品を活用するのもあり

オリゴ糖の種類によって異なりますが、腸内環境の改善やおなかの調子を整えるためには、1日2〜10g(ティースプーン1〜3杯程度)のオリゴ糖摂取量が推奨されています*9。しかし、食品に含まれるオリゴ糖の量は少なく、フラクトオリゴ糖の1日の摂取量(3g)を満たすためには、たとえば100gのバナナを約10本、1個200gの玉ねぎであれば約6個以上食べる必要があります*2*4*5。

そこで、市販のオリゴ糖製品を活用するのも1つの方法です。特定保健用食品(トクホ)として認可されたオリゴ糖製品もあり、これらは「おなかの調子を整える」などの保健効果が期待されています*2。トクホに認められたオリゴ糖素材には、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖などがあります*9。

<適切に取り入れるためのポイント>

オリゴ糖製品を一度に大量に摂取すると、下痢を引き起こしたり、おなかが張ったりすることがあります*10*11。以下のポイントを参考に、無理なく取り入れてみましょう。

  • 1日の摂取目安を確認する
    オリゴ糖製品の1日の摂取量は、約2〜10g(ティースプーン1~3杯程度)が推奨されています*9。摂取量を超えると、下痢やおなかのハリの原因になるだけでなく、カロリーオーバーのリスクがあるため注意しましょう。

  • 少しずつ摂取を心がける
    食事やおやつの時間に少しずつ分けて摂取することで、体への負担を減らせます*10。

*9 消費者庁「特定保健用食品の表示許可等について 別添3 特定保健用食品(規格基準型)制度における規格基準」
*10 奥 恒行ほか.ヒトにおける難消化性オリゴ糖・ガラクトシルスクロースの一括摂取と分割摂取の一過性下痢誘発に及ぼす影響ならびにその許容量. 日本栄養・食糧学会誌. 1999, 52巻,4号, p.203
*11 独立行政法人 農畜産業振興機構「オリゴ糖について(2)」

まとめ

今回の記事では、オリゴ糖を含む食べ物と上手に摂取する方法について解説しました。オリゴ糖を日々の食事に取り入れることで、腸内環境を整え、善玉菌をサポートする効果が期待できます。また、血糖値の上昇を抑え、砂糖よりもカロリー摂取を控えられるため、ダイエット中にも利用しやすい糖です。オリゴ糖を多く含む食品を取り入れ、健康維持に役立てましょう。

(参考文献閲覧日:2024年12月15日)

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