オリゴ糖の種類と効果の違いを解説|効率的なとり方も紹介

オリゴ糖の種類と効果の違いを解説|効率的なとり方も紹介

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健康に役立つ成分として、オリゴ糖が注目されています。実は、オリゴ糖にはさまざまな種類があり、それぞれ由来する食品や性質が異なることをご存じでしょうか?種類が多ければ、働きや効果に違いがあるのか気になる人もいるでしょう。

本記事では、主なオリゴ糖の種類と特徴を紹介します。併せて、オリゴ糖に期待される効果や効率良く摂取する方法についても解説するので、オリゴ糖を日々の健康づくりにいかしたい人はぜひ参考にしてください。

この記事の執筆者
管理栄養士
いしもと めぐみ

病院給食、食品メーカーの品質管理、保育園栄養士を経験して独立。栄養・健康分野の記事執筆のほか、栄養指導、食が楽しくなるレシピの発信などを行う。

目次
  1. オリゴ糖の種類と特徴
  2. オリゴ糖の働きと効果は?それぞれの種類で効果に違いがある?
  3. オリゴ糖の効果的な摂取方法
  4. まとめ

オリゴ糖の種類と特徴

オリゴ糖と言っても、その種類は多岐にわたります。まずは、代表的なオリゴ糖の種類と特徴を紹介します。

フラクトオリゴ糖

玉ねぎやごぼう、バナナなどの身近な食品に含まれるオリゴ糖です*1。甘さは控えめで、甘さは砂糖の25〜35%程度です。腸内のビフィズス菌の増殖を促し、腸内環境を改善する働きがあることが知られています。そのほか、カルシウムやマグネシウムなどのミネラルの吸収を促進する効果も期待できます*2。

ビートオリゴ糖(ラフィノース)

ビート(てんさい)という野菜からつくられるオリゴ糖です。腸内のビフィズス菌を増やす働きのほか、アレルギー症状を軽減する作用があることも分かっています*2。

キシロオリゴ糖

たけのこやきのこなどの食品に含まれるオリゴ糖です。甘味の質は砂糖に似ていますが、甘味度は砂糖よりも控えめです。腸内のビフィズス菌の増殖を促進することで、腸内環境の改善に役立ちます*2。

ガラクトオリゴ糖

牛乳や発酵乳、さらに人の母乳中にも含まれているオリゴ糖です。大腸まで達することで、排便回数の増加や便の質の改善が期待できます*3。熱や酸の影響を受けにくい性質があるため、育児用食品や乳製品などの幅広い加工食品に利用されています*2。

乳果オリゴ糖(ラクトスクロース)

構成成分に乳糖と果糖を含むオリゴ糖です。オリゴ糖の中でも、甘味の質が砂糖にもっとも近く、腸内のビフィズス菌を増やして便の状態を改善する働きがあることが特徴です*2。

大豆オリゴ糖

⼤⾖から⽔で抽出した時に含まれる各種の少糖類(スタキオース、ラフィノース、ショ糖等が主成分)の総称です。腸内のビフィズス菌の増殖を促す作用があり、おなかの調子を整えることに役立ちます*4。

ミルクオリゴ糖(ラクチュロース)

乳糖から製造され、食品だけでなく医薬品にも利用されているオリゴ糖です。微量ながら牛乳にも含まれることが分かっています。便通を促す効果を期待して食品に使われるほか、医薬品では下剤として(一度に大量に投与する場合)活用されています*5。

イソマルトオリゴ糖

多くのオリゴ糖は難消化性オリゴ糖と言われ、人の消化酵素により分解されにくい性質がありますが、イソマルトオリゴ糖は小腸である程度消化される消化性オリゴ糖に分類されます*6。保湿性があり、しっとりとした食感を保つ目的で食品に利用されています*2。

*1 公益財団法人腸内細菌学会「用語集 フラクトオリゴ糖」
*2 独立行政法人農畜産業振興機構「砂糖以外の甘味料について」
*3 公益財団法人腸内細菌学会「用語集 ガラクトオリゴ糖」
*4 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所「『健康食品』の素材情報データベース」
*5 公益財団法人腸内細菌学会「用語集 ラクチュロース」
*6 中村宜督「食品でひく 機能性成分の事典」女子栄養大学出版部, 2022, p.36-37

オリゴ糖の働きと効果は?それぞれの種類で効果に違いがある?

種類により作用の程度には違いがありますが、オリゴ糖には共通した働きと効果が期待できます。ここでは、胃や小腸で消化・吸収されずに大腸に届く難消化性オリゴ糖について、主な働きと期待できる効果を紹介します。

腸内環境を整える

腸内のビフィズス菌の増殖を促すことは、難消化性オリゴ糖の主な働きの1つです*6。

人の腸内では約1,000種類にも及ぶ細菌が、それぞれ互いにバランスを取り合って生息しています。腸内細菌の中には、人の健康に悪影響をもたらす悪玉菌と呼ばれる細菌がいる一方で、人に対して有益に働く善玉菌も存在しています。ビフィズス菌は善玉菌の代表と言える細菌です。善玉菌には乳酸や酢酸をつくる性質があり、これらの物質により腸内が酸性になると悪玉菌の増殖が抑えられます*7。

難消化性オリゴ糖の働きによりビフィズス菌が増殖することで、より一層悪玉菌が増えにくくなります。その結果、腸内細菌のバランスが整い、腸内環境の改善が期待できるでしょう。

血糖値を上昇させにくい

胃や小腸で消化・吸収されずに大腸まで届く難消化性オリゴ糖は、血糖値の上昇に与える影響が少ないと考えられています。血糖値とは、血液中に含まれるグルコースの濃度のことです。食事をとると体にグルコースが取り込まれて血糖値が上昇しますが、ほぼ一定のレベルになるようにホルモンによって調整されています。

しかし、ホルモンによる調整に不具合が生じると、上昇した血糖値は下がりにくくなります。血糖値が必要以上に高い状態が続くと、臓器や神経、血管がダメージを受け、脳卒中や虚血性心疾患などのリスクが高まるでしょう*8。

難消化性オリゴ糖の中には、構成成分にグルコースを含むものがあります。しかし、胃や小腸で消化・吸収されずに大腸まで届く難消化性オリゴ糖は体内にほとんど吸収されず、血糖値にもほぼ影響を与えません*6。したがって、難消化性オリゴ糖は血糖値の管理に役立つと言えます。

むし歯になりにくい

むし歯の発生に関わるミュータンス菌は、難消化性オリゴ糖を利用できません*9。そのため、難消化性オリゴ糖にはむし歯になりにくい働きがあるとされています。

ミュータンス菌は砂糖からつくり出したグルカンという物質とともに歯に付着し、歯垢になります。歯垢の中でミュータンス菌は砂糖をエネルギー源にして活動し、酸を生成するため、歯の表面が溶けてむし歯が発生するのです*10。

砂糖の摂取はむし歯の原因になりますが、難消化性オリゴ糖はむし歯の発生にほとんど関与しません。したがって、むし歯のリスクを抑えるなら、砂糖の代わりに難消化性オリゴ糖を利用した食品をとるのがおすすめです。

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*7 厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト e-ヘルスネット「腸内細菌と健康」
*8 厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト e-ヘルスネット「血糖値」
*9 中村宜督「食品でひく 機能性成分の事典」女子栄養大学出版部, 2022, p.37-38
*10 独立行政法人農畜産業振興機構「子どものむし歯予防のために~お砂糖との上手な付き合い方~」

オリゴ糖の効果的な摂取方法

健康への効果が期待できる難消化性オリゴ糖を摂取するのであれば、効率的に取り入れたいですよね。そこで、難消化性オリゴ糖の摂取方法のポイントを紹介します。

適量を守る

難消化性オリゴ糖は、種類により目安となる摂取量が異なります。特定保健用食品において規格基準が定められているオリゴ糖について、1日摂取目安量に含まれる関与成分の量は次のとおりです*11。

フラクトオリゴ糖:3~8g
キシロオリゴ糖:1~3g
ガラクトオリゴ糖:2~5g
乳果オリゴ糖(ラクトスクロース):2~8g
大豆オリゴ糖:2~6g

上記を大きく超える量を一度に摂取すると、おなかが緩くなるおそれがあります*11。健康作用が期待できる難消化性オリゴ糖でもとり過ぎは体調を崩す原因になるため、パッケージなどに表示された目安量を守って摂取しましょう。

善玉菌と一緒に摂取する

腸内環境を整えたい人は、難消化性オリゴ糖とともにビフィズス菌や乳酸菌を含む食べ物を摂取すると良いでしょう。

善玉菌のエサとなる難消化性オリゴ糖や食物繊維を「プレバイオティクス」と言い*12、ビフィズス菌や乳酸菌などの腸内環境を整える微生物やその微生物を含む食品のことを「プロバイオティクス」と言います13*。善玉菌の増殖を促進する難消化性オリゴ糖(プレバイオティクス)と、腸内で善玉菌として働くビフィズス菌や乳酸菌(プロバイオティクス)を一緒に摂取することを「シンバイオティクス」と呼び、より効率的に腸内環境を改善できると考えられています*14。

乳酸菌は、ヨーグルトや納豆、漬物、チーズ、乳酸菌飲料などに含まれています*7*15。ビフィズス菌を摂取するには、「ビフィズス菌配合」などと表示されたヨーグルトを食べるのがおすすめです。

難消化性オリゴ糖は、玉ねぎやごぼう、バナナ、たけのこ、きのこ、大豆など、身近な食品に含まれています*1*2。また、市販のオリゴ糖食品を取り入れる方法もあります。これらの食品をうまく組み合わせて、腸内環境の改善に役立てましょう。

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*11 消費者庁「特定保健用食品の表示許可等について 別添3 特定保健用食品(規格基準型)制度における規格基準」
*12 公益財団法人腸内細菌学会「用語集 プレバイオティクス」
*13 公益財団法人腸内細菌学会「用語集 プロバイオティクス」
*14 公益財団法人腸内細菌学会「用語集 シンバイオティクス」
*15 厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト e-ヘルスネット「乳酸菌」

まとめ

今回は主なオリゴ糖の種類を紹介し、難消化性オリゴ糖に共通する働きや効率的な摂取方法について解説しました。オリゴ糖にはさまざまな種類がありますが、いずれも腸内環境を改善する作用が期待できます。血糖値や歯の健康が気になる人も、難消化性オリゴ糖の活用がおすすめです。日々の食事に難消化性オリゴ糖を取り入れて、健康づくりに役立てていきましょう。

(参考文献閲覧日:2024年12月15日)

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