朝や食後などにコーヒーを飲む人も多いのではないでしょうか。実はコーヒーが腸活をサポートするのを知っていますか。今回は、コーヒーが腸活におすすめの理由や、おすすめの飲み方を解説します。さらに腸活効果のアップが期待できるコーヒーレシピも紹介しています。毎日のコーヒータイムを腸活に役立ててくださいね。

この記事の執筆者
管理栄養士
いしもと めぐみ
病院給食、食品メーカーの品質管理、保育園栄養士を経験して独立。栄養・健康分野の記事執筆のほか、栄養指導、食が楽しくなるレシピの発信などを行う。

レシピ担当
フードコーディネーター
細野 沙也加
合同会社HITOOMOI(ヒトオモイ)代表。カフェhanamal(ハナマル)オーナー。日本大学生物資源科学部食品ビジネス学科出身。大手食品商社にて2年勤務後、独立。料理番組出演、料理動画サービスレシピ制作・撮影、料理記事の執筆や講師など多岐にわたり活躍。真似しやすく簡単な家庭料理のレシピ制作を得意とする。2017年〜渡星し、弁当レシピを開発・販売。和食の発信に務め、帰国後2019年1月に合同会社HITOOMOIを創業。「手作り料理で大切な人を大事にできる社会を創る」ことが目標。
コーヒーが腸活におすすめの理由
嗜好品として、コーヒーを飲んでいる人は多いのではないでしょうか。実は、コーヒーは腸活にも役立つ可能性があります。まずは、コーヒーが腸活におすすめの理由を解説します。
カフェインが腸の蠕動運動を促す
腸の蠕動(ぜんどう)運動とは、腸の壁が収縮しながら動き、食べ物や便が腸内を移動する運動のことです*1。コーヒーに含まれるカフェインには、副交感神経の働きを高める作用があることが示唆されています*2。副交感神経には腸の運動を促進する働きがあるため*3、カフェインを摂取すると便通が促され、便秘の改善に役立つと考えられます。
*1 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
*2 種村一識ほか. コーヒー摂取が胃運動および自律神経活動に与える効果の検討. 日本栄養・食糧学会誌. 2012, 第65巻第3号, p.113-121.
*3 上園保仁ほか. 腸管神経叢に発現している消化管運動制御受容体と,それらをターゲットにした消化管機能改善薬. 医学のあゆみ. 2011, Vol.238, No.10, p.904-905
おすすめのコーヒーの飲み方(とり方)・注意点
ここでは、腸活に活かすコーヒーの飲み方と注意点を解説します。
飲むタイミング
朝食後にコーヒーを飲むと蠕動運動が活発になり、排便が促されることが期待できます。食事前の空腹時間が長い程、排便を促す腸の蠕動運動が起こりやすくなるため*4、特に前日の夕食から時間が空く朝食の後は、排便に適したタイミングと考えられます。このタイミングでコーヒーを飲み、蠕動運動を促す作用が期待できるカフェインを摂取すると蠕動運動がより促され、スムーズに排便できるでしょう。
コーヒーを飲む時の注意点
朝食後にコーヒーを飲むのはおすすめですが、起床直後の空腹時にコーヒーを飲むことは避けましょう。カフェインには胃酸の分泌を促進する作用があるため、空腹時にコーヒーを飲むと胃の不快感を引き起こす可能性があります*5。
また、コーヒーを就寝前に飲むこともおすすめできません。カフェインには眠気を覚ます作用があり、睡眠を妨げるおそれがあります*6。
カフェインの血中濃度が最大になるのは、摂取後30~120分です。人によって代謝時間に差があり、半減するまでに2~8時間とされています*7。したがって、睡眠への影響を抑えるためには、就寝の約8時間前までにコーヒーを飲み終えておくと良いでしょう。たとえば、24時に就寝する場合、16時までにコーヒーを飲み終えるのが目安です。
コーヒーの飲み過ぎには注意して
腸活のためとは言え、コーヒーの飲み過ぎには注意しましょう。コーヒーをとり過ぎるとカフェインの影響により、めまい、心拍数の増加、興奮、不安、震え、不眠症、下痢、吐き気などの症状が現れる場合があります*6。欧州食品安全機関では、健康な成人において1日に摂取するカフェインの量が400mg以下であれば、健康リスクの懸念は生じないとしています*6。400mgのカフェインは、1杯150mlのコーヒー、4〜5杯に相当する量です。コーヒーは適量を心がけ、飲み過ぎないように注意しましょう。
*4 細田誠弥. 生活習慣と排便異常. 順天堂医学. 2004, 50巻4号, p.330-337.
*5 藤井拓人. 苦味による巧妙な胃酸分泌調節メカニズム. ファルマシア. 2018, Vol.54, No.4, p.355.
*6 食品安全委員会「食品中のカフェイン」
*7 栗原久. 日常生活の中におけるカフェイン摂取-作用機序と安全性評価-. 東京福祉大学・大学院紀要. 2016, 第6巻第2号, p.112
腸活効果アップが期待できるコーヒーの飲み方(とり方)2選
腸活効果アップが期待できるコーヒーの飲み方(とり方)を2つ紹介します。
オリゴ糖や牛乳を加える
腸活への作用をさらに高めるなら、コーヒーにオリゴ糖や牛乳を加えるのがおすすめです。
オリゴ糖や牛乳に含まれる乳糖には、腸内のビフィズス菌の増殖を促進する作用があることが分かっています*8*9。善玉菌の一種であるビフィズス菌がつくり出した乳酸から短鎖脂肪酸が産生されると、腸内が酸性に傾きます。その結果、悪玉菌の増殖が抑えられて、腸内細菌のバランスが整うことが期待できます*10。
寒天を加えてコーヒーゼリーにする
コーヒーに寒天を加えてゼリーにすることで、腸活の作用がさらに高まるでしょう。寒天はテングサやオゴノリなどの海藻からつくられる食材で、食物繊維を多く含むことが特徴です*11。食物繊維は消化酵素の作用を受けずに大腸まで到達し、善玉菌の割合を増やして腸内環境を整える働きが期待できます*12。
*8 公益財団法人腸内細菌学会「用語集 オリゴ糖」
*9 平川あずさ. 乳糖はヒトに適したプレバイオティクス ~乳製品摂取と疾病への影響~. ACADEMIC RESEARCH Up date. 2020, Vol.4.
*10 安藤朗. 腸内細菌の種類と定着:その隠された臓器としての機能. 日本内科学会雑誌. 2015, 104巻, 1号, p.29-34.
*11 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年 藻類/てんぐさ/粉寒天」
*12 厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト e-ヘルスネット「食物繊維の必要性と健康」
【腸活レシピ】寒天コーヒーゼリー

<材料:200ml×2カップ分>
フラクトオリゴ糖として* | 6g |
ドリップコーヒー | 200ml |
粉寒天 | 12g |
ホイップクリーム | 適宜 |
チャービル | 適宜 |
(*フラクトオリゴ糖製品を使用する際は、商品によってフラクトオリゴ糖含有量が異なるため、フラクトオリゴ糖量を合わせてください。1日のフラクトオリゴ糖摂取量の目安は3gです。)
<つくり方>
鍋にドリップコーヒー、粉寒天を入れる。中火にかけてよく混ぜながら沸騰直前まで加熱する。

ココットに注ぎ粗熱を取り、冷蔵庫で冷やし固める。

フラクトオリゴ糖(シロップ)をかける。お好みでホイップクリーム、チャービルを飾る。

ポイント
- 寒天はしっかりと煮溶かしてください。
- 粉寒天を使用することで、腸内環境の改善を期待できるレシピです。ゼラチンでも代用は可能です。
- 仕上げにかけるフラクトオリゴ糖は量を守るようにしましょう。甘さが足りない場合は、はちみつなどで調整してください。
※はちみつを使用する場合は、1歳未満の乳児には与えないでください。
まとめ
今回は、コーヒーが腸活にもたらす作用やおすすめの摂取方法などを紹介しました。コーヒーはオリゴ糖や牛乳を加えたり、寒天を使ってコーヒーゼリーにしたりとアレンジすることで、腸活の作用を高めることもできます。自身に合った方法でコーヒーを取り入れて、リラックスタイムを腸の健康を整える時間にしてみましょう。
(参考文献閲覧日:2024年12月15日)
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