完全栄養食!卵の栄養と効果がすごい!効果的な食べ方をプロが解説

完全栄養食!卵の栄養と効果がすごい!効果的な食べ方をプロが解説

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卵は、私たちの食卓でおなじみの食材で、その栄養価の高さから「完全栄養食」とも呼ばれています。卵には、たんぱく質やビタミン、ミネラルなど、体に必要な栄養素がバランス良く含まれ、1日の栄養補給や健康維持にも役立つと注目されているのです。

この記事では、卵に含まれる栄養素とその働きから、効果的な食べ方まで詳しく解説します。

この記事の執筆者
パティシエ/食品ライター
栗原 ともこ

パティシエとして13年働いた後、現在はヨガインストラクターおよびライターとして活動している。製菓衛生師やヨガの資格を複数保有する。様々な職歴と経験を経て、健康、ヨガ、食、ダイエット、レシピ開発、旅行など、幅広いジャンルの執筆をしている。

目次
  1. 卵は栄養価が高い!完全栄養食
  2. 卵の主な栄養素と効果・効能
  3. 卵の効果的な食べ方
  4. 卵は調理法で効果が変わる
  5. まとめ

卵は栄養価が高い!完全栄養食

完全栄養食とは、1食当たりに必要な栄養素を1つの食材で満たすものを指します。これは一般に厚生労働省が定める「日本人の食事摂取基準」に基づき考えられている概念です*1。体に必要なたんぱく質や脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラルを「5大栄養素」といいますが、卵には、ビタミンCと食物繊維以外のほとんどを摂取できるので、完全栄養食の代表例として注目されています*2*3。

また、卵が完全栄養食と言われるもう1つの理由が、アミノ酸スコアが100であることです。たんぱく質を構成する20種類のアミノ酸のうち、体内で合成できない9種類を必須アミノ酸と呼びます*4。これらは食事から摂取しなければならず、スコアが100に近い程、良質なたんぱく質として利用されやすくなります*5。

*1 全国健康保険協会 協会けんぽ 愛知支部「完全栄養食」で完璧な健康体に!?「これまでの栄養素と栄養不足(過多)さん」(令和6年4月)
*2 農林水産省 たまごのこと「aff(あふ)2024年4月号」
*3 文部科学省 日本食品標準成分表2020年版(八訂)・第2章(データ)鶏卵・全卵・生
*4 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020 年版)」p.106
*5 JAPAN SPORT COUNCIL ハイパーパフォーマンス スポーツセンター 「たんぱく質‐アミノ酸」

卵の主な栄養素と効果・効能

ここでは卵に含まれる特徴的な栄養素とその働きについて紹介します。

たんぱく質

たんぱく質は、筋肉や臓器、皮膚、毛髪、爪などを構成する成分です。体内のホルモンや酵素、免疫物質の調節にも関わっており、健康維持には欠かせません*6。さらに、たんぱく質は、糖や脂質よりも消化吸収する際に消費するエネルギーが多く、代謝を高める作用または機能、効果が期待されています*7。また、特に朝にたんぱく質をとることで、筋量増加に効果的である可能性も研究で示唆されています*8。

ビタミン

ビタミンは、私たちの体を正常に機能させるために欠かせない栄養素です。体内でほとんどつくられないため、食事から摂取する必要があります*9。卵には、目や皮膚、粘膜の健康を保つビタミンA、脂質やたんぱく質の代謝を助けるビタミンB2やB12、骨や歯の健康維持に役立つビタミンDなど、さまざまなビタミンが含まれています*3*10。

ミネラル

卵には、ナトリウムやカルシウム、鉄、亜鉛などのミネラル成分も含まれています*3。ミネラルは、体内で合成できないため、食事から摂取する必要がある栄養素です。生体組織の構成や生体機能の調節に関わり、お互いに助け合いながら代謝を行っています*11。

脂質

卵の脂質は、すべて卵黄に存在し、中性脂質とリン脂質を主成分に、コレステロールなども含まれています。リン脂質とコレステロールは、細胞膜を形成する成分として重要な役割を担う栄養素です。また、認知症の改善を期待されているレシチンも豊富に含まれています*12。

*6 厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト e-ヘルスネット「たんぱく質」
*7 栄涼子ほか. DIT(食事誘発性熱産生)と運動時の体温調節反応, 日生気誌. 2001, 38(3), p.63-69.
*8 早稲田大学 Topic「タンパク質摂取時間と筋量増加の関係」
*9 厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト e-ヘルスネット「ビタミン」
*10 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)策定検討会報告書」
*11 国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 「健康食品」の安全生・有効性情報「ミネラルについて」
*12 八田 一.「Eggciting なたまごの研究」.近畿アグリハイテク・シンポジウム. 2008 ,p.7

卵の効果的な食べ方

ここでは、「完全栄養食」である卵の効果的な食べ方を紹介します。健康維持に役立てたい人は参考にしてください。

卵は1日に何個食べるのが良い?

結論からいうと、卵を1日2、3個食べても問題はないと、研究によって明らかにされています。かつては、卵を食べると、血中コレステロールが上昇し、心臓疾患を引き起こす可能性があると問題視されていましたが、近年の研究により、あまり影響がないことが分っているのです*2*13。

卵を食べるおすすめのタイミング

卵を食べるなら、朝食に取り入れるのがおすすめです。朝に卵のたんぱく質を摂取すると、体内時計がリセットされ、すっきり目覚めやすくなる作用または機能、効果が期待されています*14。また、朝食時にたんぱく質を摂取することは、筋肉の増量に効果的である可能性も示唆されています*8。栄養価の高い卵を朝に食べることで、1日の活力をサポートしながら、健康維持や筋力アップを目指しましょう。

卵のおすすめの食べ方・組み合わせ

卵は完全栄養食と言われる程、栄養価が高い食品ですが、ビタミンCや食物繊維といった一部の栄養素は含まれていません*2*3。そのため、栄養バランスを整えるには、ビタミンCが豊富な野菜や果物、食物繊維を多く含む食材と組み合わせてとるのがおすすめです。

例)ブロッコリー・キャベツ・にんじん・じゃがいもなど

ここでは、簡単に取り入れられる卵の食べ方を紹介します。

パンだけの朝食に一品追加!ブロッコリーと卵の簡単サラダ

食物繊維やビタミンC、ミネラルを含むブロッコリー*15。マヨネーズとも相性が良く、卵とあわせるだけでも簡単にサラダができ上がります。ブロッコリーはレンジ600Wで2分温めるだけ。後はゆで卵とマヨネーズ、塩、こしょうと混ぜ合わせましょう。

時間がない!ごはんやラーメンに卵を加えよう

ご飯の時間がないと、手軽にすませられるおにぎりやラーメンだけになってしまうことありますよね。その場合は、卵をトッピングしましょう。卵をトッピングするだけで、不足しがちな栄養を補給できます。ビタミンCや食物繊維を含むもやしのナムルなどを用意しておくとより良いでしょう。

栄養不足が気になったら夕食に卵を追加

1日を通して、炭水化物ばかりで栄養不足だと思うのなら、夕食時に卵を追加しましょう。食物繊維も豊富なサラダにトッピングすれば簡単に取り入れられます。ほかにも、卵焼きや卵スープ、オムレツなど、簡単な卵料理を覚えておくと便利です。

*13 国立研究開発法人 国立がん研究センター がん対策研究所 予防関連プロジェクト「卵と心筋梗塞発症の関連について」
*14 小田裕昭. 卵タンパク質による体内時計同調を利用した朝食の提案とメタボリックシンドローム予防. 一般財団法人旗影会 助成研究一覧. 2019
*15 文部科学省 日本食品標準成分表2020年版(八訂)・第2章(データ)ブロッコリー 花序 生

卵は調理法で効果が変わる

卵は半熟やゆで卵、目玉焼きなど、さまざまな調理法があります。しっかりと栄養をとるためには、どのような調理方法が良いのか、ここでは卵の調理法別に特徴を紹介します。

ビタミン摂取には生卵

ビタミンは加熱調理によって、10〜30%程失われることが分っています*16。実際に生卵とゆで卵の栄養価を比べるとビタミンAなどに違いが見られるので、ビタミンの摂取には生卵が効率が良いと言えるでしょう*17。

半熟卵・温泉卵は、消化吸収しやすい

半熟卵や温泉卵は、生卵やゆで卵に比べて消化吸収が良いのが特徴です*18。消化が早いため、必要な栄養素を効率良く体内に取り入れられます。

皮膚や粘膜の健康維持には、ゆで卵や目玉焼き

ビオチンは皮膚や粘膜の健康維持や育毛に期待されるビタミンです*19。しかし、生卵に含まれるアビジンという成分がビオチンの吸収を阻害するため、摂取には加熱調理したゆで卵や目玉焼きが適しています*20。

*16 国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所「健康食品」の安全性・有効性情報「ビタミンについて」
*17 文部科学省 日本食品標準成分表2020年版(八訂)・第2章データ 鶏卵・全卵・生とゆで
*18 小林ミサヲほか. 加熱による卵白の栄養効果に関する研究. 東海学園女子短期大学紀要. 1966, p.1-8
*19 厚生労働省.ビオチン(使用基準改正).ビオチンの食品添加物の指定に関する部会報告書,P5
*20 村上太郎ほか. 鶏卵含有食品のビオチンの生体利用効率. The Vitamin Society of Japan, 2012, 3号(3月), p.155.

まとめ

今回の記事では、卵に含まれる栄養素とその働きについて解説しました。卵は、良質なたんぱく質やビタミン、ミネラルなどの栄養素を含んでいます。バランス良く必須アミノ酸がとれることから「完全栄養食」の1つとしても注目されています。しかし、ビタミンCや食物繊維など、含まれていない栄養素もあるので、バランス良く食事に取り入れるためにも、ほかの食材と組み合わせて取り入れましょう。

(参考文献閲覧日:2024年12月15日)