きのこには食物繊維が豊富に含まれます。食物繊維は腸内の善玉菌をサポートするので、腸活への効果が期待できます。また、きのこは低カロリーで栄養価も高いため、日々の食事に積極的にプラスしたい食材です。
本記事では、腸活に魅力的な食材である「きのこ」が腸活にどう影響するのかをはじめ、おすすめの食べ合わせやレシピを紹介します。

この記事の執筆者
フードコーディネーター
細野 沙也加
合同会社HITOOMOI(ヒトオモイ)代表。カフェhanamal(ハナマル)オーナー。日本大学生物資源科学部食品ビジネス学科出身。大手食品商社にて2年勤務後、独立。料理番組出演、料理動画サービスレシピ制作・撮影、料理記事の執筆や講師など多岐にわたり活躍。真似しやすく簡単な家庭料理のレシピ制作を得意とする。2017年〜渡星し、弁当レシピを開発・販売。和食の発信に務め、帰国後2019年1月に合同会社HITOOMOIを創業。「手作り料理で大切な人を大事にできる社会を創る」ことが目標。
きのこが腸活におすすめの理由
きのこが腸活におすすめの理由は、豊富な食物繊維を含み、腸内環境の改善に寄与する点にあります*1。では、なぜ食物繊維が腸活に影響するのでしょうか。詳しく解説していきます。
豊富な食物繊維がお通じを快適に
食物繊維とは食べ物の中に含まれ、人の消化酵素で消化することのできない物質です。整腸作用など体の中で有用な働きをすることが注目され、第6の栄養素とも言われています*2。
きのこに含まれる食物繊維は、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維に大きく分けられます。水に溶けにくい不溶性食物繊維は、腸内で水を吸収し膨らむことで便を柔らかくし、量を増やします。その結果、腸管を刺激して便通を促します。その際、腸内の有害物質を一緒に排出します*3。
腸内環境が整う
腸内環境を整えるというのは、腸の中で乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌がきちんと働ける状態をつくることです*3。
きのこに含まれている水溶性食物繊維は善玉菌のエサとなり、善玉菌を増やします。そして増加した善玉菌は短鎖脂肪酸をたくさん産生します。つくられた短鎖脂肪酸は全身の臓器や筋肉のエネルギー源となったり、免疫細胞や抗体をつくったりと、健康に良い影響をもたらすことが示唆されています*3。
*1 独立行政法人農畜産業振興機構 「奥深いキノコ類の世界~食用性野生キノコの紹介と国内キノコ類栽培の現状と展望~」
*2 厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイトe-ヘルスネット「食物繊維」
*3 小林弘幸「腸活にいいこと超大全」宝島社, 2021, p.27, p.72-75
おすすめのきのこの食べ方
きのこの栄養を効果的に取り入れる食べ方を紹介します。
冷凍で長期保存&うま味をアップ
生のきのこは水分を多く含むため、すぐにしなびてしまいます。また、最近はパックに入っているものが多く、カビが発生することもあります*4。そのため保存する際は、適当な大きさに切った後、キッチンペーパーに包んでポリ袋に入れ、冷凍しておくことがおすすめです。冷凍することでうま味成分が増し、味も凝縮され、美味しく食べることができます。
使用する際は解凍せず、そのまま調理しましょう。強火で一気に炒めて味つけするとうま味が引き出され、きのこの美味しさを楽しむことができます。エリンギやしめじは冷凍すると柔らかくなってしまうため、炊き込みご飯やスープなどに取り入れるのがおすすめです*5。
日光に当てて栄養価アップ
きのこにはエルゴステロールという成分が含まれています。この成分は特にしいたけに多く含まれており、紫外線に当たるとビタミンD2に変化する性質を持っています*6。そのため、食べる前にきのこを日光に当てると栄養価がぐんとアップします。
市販の干ししいたけは天日干しではなく機械乾燥をしていることが多いため、食べる直前に30分くらい日に当てると良いでしょう*7。
*4 中嶋洋子「栄養の教科書」新星出版社, 2012, p.005
*5 沼津りえ「食材保存大全」主婦の友社, 2020, p.72-73
*6 日本特用林産振興会 「きのこー健康とのかかわりを科学する」
*7 中嶋洋子「完全図解版 食べ物栄養事典」主婦の友社, 2009, p.320-321
腸活効果がアップするおすすめの組み合わせ2選
きのこの腸活効果をアップさせる組み合わせを2つ紹介します。
きのこ× 発酵調味料
きのこに含まれる食物繊維は、乳酸菌やビフィズス菌、酪酸菌、納豆菌などの善玉菌を含む食品と一緒に摂取することで、より腸内環境の改善にアプローチができると言われています*8*9。
その中で、きのこと組み合わせしやすいのが、みそや醤油、酢、みりん、塩麹などの発酵調味料です。みそ汁はもちろん、味つけに醤油やみりんを使う炒め物や、煮物などの具材にきのこを取り入れるだけで簡単に腸活効果をアップすることができます*10。
特別に腸活を意識した献立を考える必要がないため、慌ただしい日々の中でも毎日継続しやすく、腸活の第一歩としておすすめです。
きのこ× 玄米
玄米に含まれるレジスタントスターチは、小腸で消化・吸収されずに大腸へと届くでん粉成分です。食物繊維と同じように腸内へ有益な働きかけをする成分で、米類の中では白米よりも玄米の方がその能力が高いことが分かっています*11。
主食が米である日本人にとって、食物繊維が豊富なきのことレジスタントスターチを含む玄米の食べ合わせは、腸内環境を整え、便通の改善や免疫力向上に役立つ組み合わせと考えられるでしょう。
*8 公益財団法人腸内細菌学会「シンバイオティクス」
*9 公益財団法人腸内細菌学会「バイオジェニックス」
*10 小林弘幸「腸活にいいこと超大全」宝島社, 2021, p.76-78
*11 早川享志. 健康増進に寄与するルミナコイドとしてのレジスタントスターチの働き. 日本醸造協会. 2013, 第108巻第7号, p.483-493
【腸活レシピ】きのこの玄米リゾット
<材料(2人分)>
玄米 | 0.5合(75g) |
白米 | 0.5合(75g) |
しめじ | 1/2パック(50g) |
えのき | 1/4パック(50g) |
ハム | 2枚 |
にんにく | 1/2片 |
オリーブオイル | 大さじ1 |
牛乳 | 400ml |
塩こしょう | 少々 |
粉チーズ | 適宜 |
イタリアンパセリ | 適宜 |
ブラックペッパー | 適宜 |
▼A | |
洋風顆粒だし | 小さじ1 |
湯 | 400ml |
<つくり方>
しめじ、えのきは石づきを切り落とし、手でほぐす。えのき、ハムは食べやすい大きさに切る。
にんにくは0.5cm幅に切る。フライパンにオリーブオイル、にんにくを入れて香りが立つまで弱火で熱する。
玄米、白米、①を加え、中火で白米が透き通るまで炒める。
Aを混ぜ、③に加え、水分が飛ぶまで混ぜながら中火で加熱する。
牛乳を少しずつ加え、水分が飛ぶまで混ぜながら中火で加熱を繰り返す。塩こしょうで味を調える。
器に盛り、お好みで粉チーズ、ブラックペッパー、イタリアンパセリ(刻み)をかける。
ポイント
玄米と白米を1:1で混ぜこむことで、食べやすい味わいになっています。
今回のレシピに使用したしめじ、えのきは不溶性食物繊維を多く含む食材です。そのため、このレシピでは便のかさをふやすことが期待できます。しめじやえのき以外のきのこに置き換えると、違った味わいが楽しめますよ。
まとめ
本記事では、きのこは腸内環境を整えるための腸活食材として、優れた効果が期待できることを解説しました。きのこには不溶性と水溶性の食物繊維がバランス良く含まれ、腸内の善玉菌のエサとなって善玉菌の増殖をサポートする働きがあります。低カロリーで栄養価が高く、毎日の食事に取り入れやすいきのこは、腸活生活を始めるのにぴったりの食材です。きのこを使って、早速腸活を始めてみませんか?
(参考文献閲覧日:2024年12月15日)
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