ミネラル不足はなぜ起きる?ミネラルを補う方法も解説

ミネラル不足はなぜ起きる?ミネラルを補う方法も解説

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「最近、体の疲れが取れない」「肌荒れや抜け毛が気になる」「なんだかイライラしやすい」などの不調を感じることはありませんか?その不調、実はミネラル不足によるものかもしれません。本記事では、ミネラル不足の原因と不調との関係、ミネラルを効率よく摂取する方法について解説します。

この記事の執筆者
管理栄養士
堀川 衣梨

医療栄養学を専攻し、医療機関での栄養カウンセリング、小学校や保育園での調理・栄養士業務を経てフリーの管理栄養士として独立。一般的な栄養や食に関する知識だけでなく、子供向けの調理やメニュー作成の経験から、アレルギーや離乳食、子どもの食の悩みにも精通。日本化粧品検定1級、家庭料理技能検定2級、フードスペシャリストなどの資格を保有。

目次
  1. そもそもミネラルとは?
  2. ミネラル不足の3つの主な原因
  3. ミネラル不足を防ぐ方法
  4. まとめ

そもそもミネラルとは?

ミネラルは、私たちの体を構成する主要な4元素(酸素、炭素、水素、窒素)以外の総称です。無機質とも呼ばれ、100種類以上存在します。そのうち、栄養素として欠かせない必須ミネラルは、カルシウムや鉄、マグネシウムなど、現在16種類あります*1。

ミネラルは私たちの体の構造を支えるとともに、さまざまな生理的な働きを維持・調節する上で欠かせない栄養素です*1*2。

ミネラルは食物から摂取する必要がある「必須栄養素」

ミネラルは私たちの体ではつくることができず、食物からとる必要があります。

また、ミネラルは多すぎても少なすぎても健康の保持・増進に望ましくないため、適切な量をバランス良くとることが重要です*1*2。

【ミネラルの種類と働き】

種類 働き
カルシウム ・骨や歯を構成する主要成分
・神経の筋肉興奮に関わる
・血液凝固、生理活性物質の分泌を行う など*3
マグネシウム ・300種類以上の酵素反応の補酵素として働く
・体に必要な物質の合成、代謝反応に関わる
・骨の弾性維持、神経伝達、体液を一定に保つ、ホルモンの分泌などに関わる*4
・酸素の運搬
・細胞の呼吸
・酵素の構成要素としての役割がある*5
亜鉛 ・すべての細胞、多くの酵素に含まれる成分
・遺伝子発現
・たんぱく質合成
・細胞の成長と分化に関わる*6

ミネラルは体を支える構成成分になるほか、あらゆる面で体調を整えてくれる役割をしています。

ミネラル不足と不調の関係

ミネラルの摂取量不足が引き起こす不調は、さまざまです。

今回は、身近なミネラルであるカルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛に焦点を当てて紹介します。

ミネラルの種類 欠乏症および不調の例
カルシウム 筋肉の硬直、全身痙攣、意識障害、骨粗しょう症のリスク、骨密度の低下など*3*7
マグネシウム 食欲低下、嘔吐、倦怠感、脱力感など*8
貧血、頭痛、筋力低下、疲労感など*5*9
亜鉛 味覚障害、皮膚炎、食欲低下など*6

ミネラルの摂取量が確保できないことによる不調は多岐にわたります。日々の疲れや食欲低下などは、年齢やストレスによるものだと思われがちですが、実はミネラルの摂取量不足が関係している可能性も考えられます。日々の食生活を振り返る機会をつくってみてください。

*1 国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所「健康食品」の安全性・有効性情報「ミネラルについて」
*2 厚生労働省 健康日本21アクション支援システム「ミネラル」
*3 国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所「健康食品」の安全性・有効性情報「カルシウム」
*4 国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所「健康食品」の安全性・有効性情報「マグネシウム」
*5 国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所「健康食品」の安全性・有効性情報「鉄」
*6 国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所「健康食品」の安全性・有効性情報「亜鉛」
*7 山内美香. 低カルシウム血症と内分泌疾患. 日本内科学会雑誌. 2020, 109巻4号, p.733-739
*8 厚生労働省 eJIM「マグネシウム」
*9 厚生労働省 健康日本21アクション支援システム「鉄」

ミネラル不足の3つの主な原因

ミネラルの不足は、さまざまな原因が複雑に絡み合って起こります。

  • 食事からの摂取不足

  • 腸からの吸収率低下

  • ほかのビタミン・ミネラルの摂取量による相対的な摂取不足

たとえば、カルシウムの場合、食事からの摂取不足だけでなく、腸からの吸収率が低下することによって、体内で必要な量が確保できなくなることが考えられています。

また、カルシウムの吸収にはビタミンDが必要であり、ビタミンDが足りないとカルシウム不足につながる恐れもあります*3。

つまり、ミネラル不足を起こさないためには、ほかのビタミンやミネラルもまんべんなくとる必要があるのです。

ここでは、食事面でのミネラル不足の原因を3つに分けて紹介します。

食事の偏りによるミネラルの摂取不足

極端な食事制限や、特定の食べ物を多く摂取する、または食べないといったことから、栄養のバランスがくずれ、ミネラル不足に陥る可能性があります。

特に現在の食生活では、カルシウムや鉄、亜鉛などの欠乏が問題視されています*10。

加工食品によるミネラルの吸収阻害

加工食品のとり過ぎが、腸からのミネラルの吸収を阻害する可能性があります。

たとえば、インスタント食品や加工食品などに広く含まれるリンの過剰摂取によって、カルシウムの吸収を抑制することが分かってきています*11。

ストレスや喫煙などによるミネラルの消費増大

過度のストレスや疲れ、喫煙などは多くの活性酸素を生み出す一因になります。活性酸素は増え過ぎると、さまざまな病気や老化を引き起こす原因になり、その活性酸素を減らすために、銅や亜鉛、セレンなどのミネラルが使われているのです*12*13。

ミネラル不足のリスクを軽減するためには、生活習慣の乱れを整えることやストレス管理が重要です*12。

*10 国立研究開発法人 国立循環器病研究センター「栄養に関する基礎知識」
*11 厚生労働省 健康日本21アクション支援システム「リン」
*12 東邦大学「生体内のレドックス(酸化還元)反応と活性酸素種」
*13 田中芳明ほか. 酸化ストレスと抗酸化療法. 日本静脈経腸栄養学会雑誌. 2016. 31巻1号, p.3-12

ミネラル不足を防ぐ方法

ミネラルを効率良く摂取するためには、「食事」「体内環境」「生活習慣」の3つの側面からまんべんなく整えていくことをおすすめします。

ミネラルを含む食品をとる

ミネラルを含む食品を意識的にとることで、ミネラルの効率的な摂取が見込めます。

ミネラルの種類 食品例
カルシウム 牛乳・チーズなどの乳製品、ししゃも、豆腐、油揚げ、大根の葉、チンゲンサイ*3*15
マグネシウム 穀物、海藻類、ナッツ類(アーモンドなど)、豆類*4*15
赤身の肉や魚、レバー、あさり、しじみ、がんもどき、ほうれん草*5*15
亜鉛 牡蠣(かき)、食肉(牛・豚)、さば、あじ、いわし、たまご、ナッツ類、豆類*15*16

カルシウムは、ビタミンDと組み合わせることで吸収がサポートされます*3。ビタミンDは鮭やきのこ類などに多く含まれるので、「鮭のクリーム煮」や「厚揚げときのこの煮物」などのように仕上げるのもおすすめです*14。

マグネシウムは白米に玄米や雑穀を混ぜたり、海藻をサラダや汁物に入れたりすることで、手軽に補給が可能です。

鉄は赤身の肉やレバー、あさりなどの動物性食品と、緑色の葉物野菜を中心とした植物性食品に多く含まれます。ビタミンCを多く含む野菜や果物と組み合わせることで、鉄の吸収をサポートする働きが期待されます*5。

また、亜鉛は牡蠣や肉などの動物性食品に多く含まれます。ナッツ類やたまごなど、手軽に取り入れやすい食品にも含まれているので、準備しやすいものをストックしておくと、日々の食卓に加えやすく便利です。

オリゴ糖をとる

ミネラルの吸収率を維持するためには、オリゴ糖の摂取もおすすめです。

オリゴ糖とは、炭水化物の最小単位である「単糖」が3〜9個つながったもので、その多くは胃や小腸で消化・吸収されずに大腸まで届く難消化性をもつのが特徴です*17*18。

この難消化性オリゴ糖の一種であるフラクトオリゴ糖は、カルシウムおよびマグネシウムのミネラル吸収を促進することが報告されています*19。

フラクトオリゴ糖が大腸で発酵される際に、腸内細菌の働きによって短鎖脂肪酸が産生。この短鎖脂肪酸によって大腸内が酸性に傾き、ミネラルの溶解性が上昇し、吸収率の変化につながるのです*19。

また、難消化性オリゴ糖には多くの種類があり、効率良くとりたい時は、市販のオリゴ糖シロップを活用するのがおすすめです。

オリゴ糖シロップや粉末は、ヨーグルトに加えてとるほか、調理の際に砂糖の代わりとして使ってみてください。

生活習慣を整える

ミネラルの摂取量を維持するためには、ストレスを溜め過ぎず、リラックス習慣を取り入れてみることも良いでしょう。

たとえば、マグネシウムは軽度の心理的ストレスや寒冷ストレスによって、尿中への排泄が増加することが報告されています*20。

また、心理的・社会的ストレスも増加している現代では、自分なりのストレス対処法を持っておくことも重要です*21*22。

日々の生活の中で「リラックス時間を意識的に設ける」「適度に体を動かす」など、自分が心地よいと感じるストレス対処法を見つけてみましょう。

*14 骨粗鬆症財団「ビタミンDを多く含む食品」
*15 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年・ 第2章(データ)」
*16 厚生労働省 eJIM「亜鉛」
*17 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)1-4 炭水化物」p.152
*18 独立行政法人 農畜産業振興機構「砂糖以外の甘味料について」
*19 独立行政法人 農畜産業振興機構「プレバイオティクスとフラクトオリゴ糖~シュガーリプレイスメントから免疫改善まで」
*20 松井徹. マグネシウムを中心としたミネラル栄養に関する基礎的研究. 日本栄養・食糧学会誌. 2019. 72巻5号. p.211-219
*21 厚生労働省 健康日本21アクション支援システム「ストレス」
*22 東京都保健医療局「こころの健康を保つためには」

まとめ

ミネラル不足は、体の慢性的な疲れやだるさ、食欲低下などを引き起こす恐れがあります。食事からのミネラル摂取が少ない時だけでなく、食習慣や生活習慣によって体内への吸収が抑えられることもあるため、日々の食生活や生活習慣を見直すことは重要です。

ミネラルを効率良く補うためには、肉や魚、大豆製品、ナッツ類などの食品をバランス良くとることがおすすめです。また、難消化性オリゴ糖の活用によってミネラルの溶解性が上がり、吸収されやすくなることがわかっています。効率的なミネラル摂取のために、ぜひオリゴ糖を取り入れてみてください。

(参考文献閲覧日:2026年1月11日)

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