特定保健用食品(トクホ)は、生理機能などに影響を与える保健効能成分(関与成分)を含み、摂取することで特定の保健の目的が期待できることを表示した食品です。製品や製品に含まれる関与成分ごとに有効性や安全性について国の審査を受け、許可を得た上で販売されています。ただ、「体に良さそう」というイメージはあるものの、どのような食品があるのか良く分からない人もいるのではないでしょうか。
今回は、特定保健用食品の基本やほかの食品との違い、現在販売されている食品例について解説します。
この記事の執筆者
管理栄養士
佐野 未来
管理栄養士として給食委託会社で調理・発注などの経験を経て、大学病院で大量調理業務や栄養指導、病棟における栄養管理業務を行う。現在は独立し、個人向けに栄養指導や食に関する執筆、学校給食での調理など幅広く活動している。管理栄養士以外にも、栄養士や食生活アドバイザーなどの資格も保有する。
特定保健用食品(トクホ)とは?
特定保健用食品(トクホ)とは、体の生理機能などに影響を与える保健効能成分(関与成分)を含んでおり、摂取することで特定の保健目的が期待できることを表示した食品のことです*1。
特定保健用食品として販売するには、実際に販売される製品やその製品に含まれる関与成分が、国による有効性や安全性に関する審査を受け、消費者庁長官によって許可を受ける必要があります*2。
各食品のパッケージには、含まれている関与成分や、その成分にどのような保健目的が期待できるかが記載されています。表示できる内容は「おなかの調子を整える」「コレステロールの吸収を抑える」など、製品に含まれる関与成分によって異なります*3。
特定保健用食品には、以下のような種類の食品もあります*2。
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特定保健用食品(疾病リスク低減表示):特定の疾病リスクを低減する効果が医学的・栄養学的に確立された関与成分を含み、疾病リスクを低減する旨の表示が認められたもの
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特定保健用食品(規格基準型):特定保健用食品としての許可実績が十分であるなど科学的根拠が蓄積されており、消費者庁にて規格基準への適否が審査されたもの
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条件付き特定保健用食品:ほかの特定保健用食品には科学的根拠としての有効性レベルには及ばないものの、一定の有効性が確認されており、限定的な科学的根拠である旨の表示をすることを条件に認められたもの
いずれも健康な人を対象として開発されており、病気の治療や予防を目的としたものではありません。また、製品に記載されている1日の摂取目安量を守って取り入れるのがコツです*4。
*1 消費者庁「特定保健用食品について」
*2 国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所「いわゆる「健康食品」に関する制度の概要」
*3 消費者庁「特定保健用食品とは」
*4 国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所「特定保健用食品」
トクホ以外で基準が設定された保健機能食品
特定保健用食品は「保健機能食品」の1つとして販売されています。保健機能食品とは、国が策定した有効性や安全性の基準などに従って機能を表示した食品の総称です*5。
保健機能食品は、特定保健用食品のほかに「栄養機能食品」「機能性表示食品」があります。ここでは、栄養機能食品と機能性表示食品について解説します。
栄養機能食品
栄養機能食品は、主にビタミンやミネラルなど、1日に必要な栄養成分が不足しがちな場合の補給を目的とした食品です*6。栄養機能食品として販売するには、1日当たりの摂取目安量に含まれる栄養素量の範囲に加え、栄養機能の内容や摂取上の注意などを定めた表示基準もクリアする必要があります。
食品ごとの許可申請が必要なく、販売する事業者による自己認証であることも特徴です*7。ただ、個別の許可申請を受けていないとはいえ、科学的根拠が既に確認された栄養成分を一定の基準量含んでいますので、日々の健康ケアに活用できます*6。
現在、ビタミン13種類・ミネラル6種類・n-3系脂肪酸で機能を表示することができ、さまざまな食品が販売されています*7。
機能性表示食品
機能性表示食品は、国が定めたルールに基づき、事業者がその食品の安全性と機能性に関する科学的根拠などを、消費者庁に事前に届け出ることで機能性を表示できる食品です。
食品の機能性を商品パッケージに記載できますが、食品ごとの個別審査がなく、事業者が科学的根拠に基づいた適正な表示をすれば販売できます*8。
事業者が届け出た情報は消費者庁のWebサイトで公開されているので、消費者自身が機能性や安全性などを自分で確認できるのも強みです*9。
*5 消費者庁「保健機能食品について」
*6 消費者庁「知っていますか?栄養機能食品」
*7 消費者庁「栄養機能食品について」
*8 消費者庁「機能性表示食品について」
*9 消費者庁「「機能性表示食品」って何?」,p.2
トクホの食品例
特定保健用食品の関与成分は多種多様です。食品ごとに表示されている保健目的を確認しながら、健康で気になっていることに合わせて選びましょう。
ここでは、特定保健用食品に表示されている内容と食品例の一部を解説します。
おなかの調子を整える
腸内環境を良好に保つサポートをして、おなかの調子を整える食品としては、オリゴ糖が代表的です。フラクトオリゴ糖やキシロオリゴ糖など、さまざまなオリゴ糖がトクホとして販売されています。
「おなかの環境を良好に保つよう工夫された食品です」「ビフィズス菌を増やして、腸内の環境を良好に保つので、おなかの調子に気を付けている方に適します」などの表示が許可されています*10。
特定保健用食品として販売されているのは難消化性のオリゴ糖が多く、胃や小腸で消化・吸収されずに大腸まで届くのが特徴です。ただし、とり過ぎるとおなかがゆるくなるおそれもあるため、特に初めてオリゴ糖をとる場合は少しずつ様子を見ながら取り入れましょう*11。
おなかの調子を整える特定保健用食品としては、オリゴ糖のほかに乳酸菌類を含む食品や食物繊維類を含む食品などがあげられます。調味料として使うもの、飲料タイプのもの、顆粒状に加工されたものなど、さまざまなタイプのものが販売されています*10。
コレステロールを下げる
健康診断などでコレステロール値が気になっている人には、「コレステロールを下げる」と表示された特定保健用食品がおすすめです。
大豆たんぱく質やキトサン、植物ステロール、茶カテキン、セサミンなど、多くの関与成分があり、「血中の総コレステロールや悪玉(LDL)コレステロールを下げるのが特長です。コレステロールが高めの方の毎日の食事におすすめです」「血中コレステロールを下げるのが特長です。コレステロールが気になる方の食生活の改善に役立ちます」などの表示が許可されています。
食用油やマヨネーズタイプ商品、豆乳などさまざまなジャンルで販売されているのも特徴です。普段使っている食品や調味料を特定保健用食品に置き換えるだけで、無理なく取り入れられます*10。
糖の吸収をおだやかにする
食後の血糖値が気になる人には、「糖の吸収をおだやかにする」旨が記載されたものを選びましょう。
糖に関する特定保健用食品は、糖の吸収を遅らせて食後の血糖値の上昇を抑制するのが特徴です*11。「食物繊維(難消化性デキストリン)を含んでおり、糖の吸収をおだやかにするので血糖値の気になり始めた人に適しています」などの表示が許可されています*10。
関与成分としては、食物繊維の一種である難消化性デキストリンやグァバ葉ポリフェノール、大麦若葉由来食物繊維などがあげられます。
中でも、難消化性デキストリンは前述の「おなかの調子を整える」特定保健用食品の関与成分としても使われています*10。胃の水分を吸収して膨らんで食べ物が腸へ進むスピードを遅くしたり、小腸内で食べ物が広がるのを抑えて酵素との接触を阻害したりと、さまざまな働きがあります*11。
糖の吸収をおだやかにする特定保健用食品は、お茶やコーヒーとして販売されています。そのほか、サプリメントや栄養ドリンク、レトルト食品も販売されているので、使いやすいタイプの食品を探してみましょう。
*10 公益財団法人日本健康・栄養食品協会「「トクホ」ごあんない2025年版」
*11 一般社団法人愛知県薬剤師会「特定保健用食品」
まとめ
今回は、特定保健用食品について解説しました。特定保健用食品は保健機能食品の1つで、製品や製品に含まれる関与成分ごとに有効性や安全性について国の個別審査を受け、許可を受けた上で販売される食品です。含まれる関与成分によって、期待できる保健目的が違います。健康で気になっているポイントに合わせ選び、摂取目安量を守りながら継続してみましょう。
(参考文献閲覧日:2025年10月30日)
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