ごぼうの栄養と効能|栄養を逃がさない調理方法とおすすめの食べ方を解説

ごぼうの栄養と効能|栄養を逃がさない調理方法とおすすめの食べ方を解説

公開日:

ごぼうは独特の香りと食感が魅力の根菜ですが、実は健康に嬉しい栄養素も豊富に含まれていることをご存知ですか?せっかく食べるのであれば、どのような栄養素が含まれているのかを知りたいですよね。

今回の記事では、ごぼうに含まれる主な栄養素と期待される効能を解説します。栄養を逃がさない調理のコツ、栄養価の高いごぼうの選び方、状態別の保存方法までを詳しく紹介していますので、参考にしてみてください。

この記事の執筆者
管理栄養士/ヴィーガン&グルテンフリー専門家
たちばな かやの

大豆食品・ヴィーガン・グルテンフリー情報に特化する栄養専門家として活動している。栄養を学び、給食委託会社に入社後、病院と保育園で調理・食材発注・事務対応などを経験。アレルギー除去食をつくるうちに大豆の可能性に魅了され、大豆関連の資格を多数取得。また、プラントベースにも興味をもち、ヴィーガンやグルテンフリーについて学ぶ。
現在はコラム執筆やレシピ開発、セミナー講演のほか、自身でグルテンフリーのケータリング弁当屋を主催するなど精力的に活動している。食物アレルギーやヴィーガン・ハラル等の食のマイノリティが抱える悩みを解消し、食の多様性がある日本・世界を目指す。

目次
  1. ごぼうの主な栄養素と期待される効能
  2. 栄養を逃がさない調理方法と効果的な食べ方
  3. ごぼうの選び方
  4. ごぼうの保存方法
  5. まとめ

ごぼうの主な栄養素と期待される効能

はじめに、ごぼうに含まれる代表的な栄養素と、それぞれに期待される効能について紹介します。

イヌリン

ごぼうには、水溶性食物繊維の一種であるイヌリンが多く含まれています。イヌリンは体内の消化酵素で分解されにくく、胃や小腸で消化・吸収されずに大腸に届くプレバイオティクスとしての機能をもちます*1。プレバイオティクスとは、善玉菌を増やしたり、悪玉菌の増殖を抑えたりするなど、健康に有益な働きがある難消化性の成分のことです*2

また、糖質の吸収を抑えて食後の血糖値上昇をゆるやかにする作用が報告されており、糖尿病の予防対策にも積極的にとりたい食品と言えるでしょう*1。

クロロゲン酸

ごぼうに含まれるクロロゲン酸はポリフェノールの一種です。強い抗酸化作用をもち、血管や肌の老化予防や生活習慣病のリスク軽減に役立ちます*3*4。

油や鉄が酸化したり錆びついたりするように、人間も加齢や喫煙、紫外線、ストレスなどが原因で活性酸素が発生し、体内の組織が次第に傷ついていきます。クロロゲン酸がもつ抗酸化作用によって、活性酸素の働きを抑える効果が期待できます。

鉄は、血液中のヘモグロビンの構成成分であり、酸素を体中に運ぶ重要な栄養素です*5。ごぼうには鉄が多く含まれており、鉄欠乏性貧血の対策に役立ちます*6。

鉄が不足すると、頭痛や動悸、息切れといった症状が出やすくなります。特に月経のある女性は意識して鉄を摂取することが推奨されています*7。

不溶性食物繊維

ごぼうには、リグニンなどの不溶性食物繊維も豊富に含まれているため、腸内で有害物質を吸着して、便とともに体外に排出する働きをもっています。また、腸を適度に刺激するため、排便を促進し、整腸作用の効果が期待できます*8*9。

カリウム

ごぼうはカリウムを豊富に含んでいます*6。カリウムは体内の余分なナトリウム(塩分)を排出する働きがあり、高血圧の予防をサポートします*10。現代人は塩分を過剰に摂取しがちなため、カリウムを含む食品を意識してとることが推奨されています。

*1 奥和之ほか. ごぼうポリフェノールの血糖上昇抑制作用. 川崎医療福祉学会誌. 2020, Vol.30, No.1, p.173-179
*2 Glenn R. Gibson et al., Expert consensus document: The International Scientific Association for Probiotics and Prebiotics (ISAPP) consensus statement on the definition and scope of prebiotics. Nature Reviews Gastroenterology & Hepatology. 2017, 14:491–502
*3 秋山聡子ほか. ごぼう中のポリフェノールとミネラル量に与える調理操作の影響. 日本調理科学会誌. 2019, Vol.52, No.1, p.16-21
*4 野村知子ほか. 生コーヒー豆由来クロロゲン酸の単回摂取が顔面皮膚性状に及ぼす影響. 日本食品科学工学会誌. 2021, 第68巻第3号, p.124-132
*5 厚生労働省 健康日本21アクション支援システム「鉄」
*6 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年・第2章(データ)」
*7 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)(2)微量ミネラル①鉄(Fe)」
*8 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年・第2章本表別表1(データ)」
*9 日本食品科学工学会誌 技術用語解説「繊維質と食物繊維」
*10 上西一弘「栄養素の通になる 第5版」女子栄養大学出版部,2022年, p.169-p.173

栄養を逃がさない調理方法と効果的な食べ方

ごぼうに含まれる栄養素をできる限り損なわずに摂取するには、調理を工夫してみましょう。ちょっとした下ごしらえのコツを押さえることで、ごぼうの栄養をより効率良く体に取り入れられます。次に、栄養を逃がさないためのポイントを紹介します。

皮ごと食べる

ごぼうの皮にはクロロゲン酸などのポリフェノール類が多く含まれています*11。また、ごぼう特有の香りや風味も皮に近い部分に多く含まれているため、皮ごと調理すると、栄養と風味の両方をいかすことができます。

皮をむくのではなく、たわしや包丁の背で軽くこそぐ程度にとどめるのがポイントです。ポリフェノールを含む表皮の成分を無駄なく摂取できます。

水にさらす時間は短くてOK

ごぼうを切った後、変色防止のために水にさらしてアクを抜くのが一般的ですが、長時間さらすとポリフェノールなどの栄養素が水に溶け出してしまうため注意が必要です*3。

アクが気になる場合でも、水にさらす時間は1分以内と短時間にするのがおすすめです。炒め物などに使う場合は、水にさらさずそのまま調理しても問題ありません。

切り方は乱切りがおすすめ

ごぼうを切る際は乱切りがおすすめです。ささがきやせん切りは切断面積が多く、ごぼうに含まれるポリフェノールなどの栄養素が切り口から流失してしまう可能性が高いです*3。乱切りは火の通りもよく、煮物や炒め物でも旨味を引き出しやすくなります。

*11 村上崇幸ほか. ごぼうの抗酸化成分と加熱による保護. 日本調理科学会誌. 2013. Vol.46, No.6, p.405-p.406

ごぼうの選び方

美味しく栄養豊富なごぼうを選ぶためには、いくつかのポイントがあります。まずチェックしたいのは、表面の状態です。シワやひび割れのないものは水分をしっかり含んでいて鮮度が良く、調理しても柔らかく仕上がります。一方で、表面にシワや割れ目があるごぼうは乾燥して古くなっている可能性があるため避けましょう。

また、形状にも注目です。太すぎない、まっすぐなものがおすすめです。太すぎるごぼうには「す」が入っていることがあり、食感がスカスカで繊維も硬めになるため、避けた方が良いでしょう。まっすぐなものは火の通りも均一で、調理がしやすくなります。

ごぼうの鮮度を保つためには、泥が付いたままの状態のものを選ぶのもポイントです。泥は乾燥を防ぎ、風味や栄養を守る役割を果たします。見た目がきれいな「洗いごぼう」は手軽ではありますが、保存性や風味を考えるなら泥付きのものを選んでみましょう。

ごぼうの保存方法

ごぼうは保存の仕方によって風味や栄養価に差が出る野菜です。購入時の状態や使用予定に応じて最適な方法を選ぶと、無駄なく美味しく食べきることができます。

常温保存ができるのは、泥付きのごぼうです。乾燥を防ぐために泥を落とさず、新聞紙で包んで冷暗所に置いておくのがポイントです。通気性が良く、直射日光が当たらない場所であれば、数週間保存可能です。泥がごぼうを乾燥や傷みから守ってくれるため、鮮度を保ちやすいのが特徴です。

冷蔵保存に適しているのは、洗いごぼうや泥を落とした後のごぼうです。乾燥しやすいため、ラップでしっかり包むか、湿らせたキッチンペーパーや新聞紙で包んで野菜室に入れるのがおすすめです。傷みやすいので、早めに使い切りましょう。

冷凍保存は、すぐに使わない時に便利な方法です。カットしたごぼうを軽く下ゆでして水気を切り、小分けにして冷凍用保存袋に入れて保存するのがおすすめです。調理ずみのきんぴらごぼうなども冷凍可能で、お弁当のおかずや忙しい時の一品として重宝します。冷凍したごぼうは、凍ったまま炒め物や汁物に加えることで、調理の時短にもつながります。

保存方法を上手に使い分ければ、ごぼうの栄養もおいしさもムダなくいかせます。使い切れない時は早めの冷凍保存がおすすめです。

まとめ

ごぼうは、血糖値のコントロールや整腸作用、抗酸化作用など、さまざまな健康効果が期待できる栄養豊富な野菜です。皮に多くの栄養が含まれているため、下ごしらえや調理方法を少し工夫するだけで、栄養素を効率良くとることができます。また、保存方法を使い分ければ、無駄なく美味しく長く楽しめるのも魅力です。日々の食事に上手に取り入れて、健やかな体づくりに役立てていきましょう。

(参考文献閲覧日:2025年4月6日)

合わせて読みたいおすすめ記事

プロバイオティクスとは?効果と種類・おすすめの食品・とり方のコツを紹介

善玉菌を育てるのに有効なプロバイオティクス。腸内フローラを整えるのに役立つと言われていますが、プロバイオティクスとは何のことなのでしょうか?この記事ではプロバイオティクスの種類とその働き、プロバイオティクスを含むおすすめの食品、プレバイオティクスとの違いについて紹介します。

プレバイオティクスとは?健康効果や食品例、効果的なとり方を解説

善玉菌を増やし、腸内環境を整えながら健康をサポートするプレバイオティクス。善玉菌のエサとなり、腸内環境を整えるのに有効と考えられています。今回はプレバイオティクスの効果や食品例、効果的なとり方について解説します。

【便秘にいい食べ物・飲み物】年代・ケース別に紹介!便秘対策法6選を解説

最近気になる肌荒れや不調。それはもしかしたら便秘による腸内環境の乱れが原因かもしれません。この記事では便秘になる原因と便秘対策に役立つ食べ物、飲み物、生活習慣などを分かりやすく解説します。また、便秘に悩む人の間で最近話題の「梅流し」の効果ややり方も紹介しています。便秘にお悩みの人はぜひチェックしてみてください。

オリゴ糖を含む食べ物と上手に取り入れる方法

腸内環境を整え、健康をサポートするオリゴ糖が注目されています。オリゴ糖は腸内の善玉菌を増やす働きだけでなく、血糖値の上昇抑制やむし歯予防にも役立つと言われています。この記事では、オリゴ糖を含む食べ物と、日常生活に無理なく取り入れる方法を紹介します。

ごぼうが腸活におすすめのワケ|効果的な食べ方と腸活ごぼうレシピも紹介

ごぼうには食物繊維が豊富に含まれており、腸内環境を整えるために役立つ食材として知られています。今回は、ごぼうが腸活に役立つ理由や効果的な食べ方、相性の良い食材について紹介します。レシピも紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

腸活によい食べ物は?上手な食べ方、組み合わせ、注意点を解説

「便秘を改善したくて腸活してみたけど、あまり実感がない」と、何がいけないのか分からず諦めてしまったことありませんか。腸活は、食事だけでなく、生活習慣なども関わります。この記事では、腸活に役立つ食べ物や上手な組み合わせなど、腸活のコツを紹介。手軽に取り入れられる方法も解説します。

ページトップ