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二宮清純の「ザバス取材記」

ボクシング
長谷川 穂積 選手
二宮 清純
村野 あずさ
(ザバススポーツ&ニュートリション・ラボ管理栄養士)

絶対王者と呼ばれた男が、最強の称号を取り戻しにリングへ上がる。

元WBC世界バンタム級王者・長谷川穂積が11月26日、WBC世界フェザー級王座決定戦でファン・カルロス・ブルゴス(メキシコ)と対戦することが決まった。4月の衝撃的な敗戦、王座陥落から半年、勝てば日本人初となる飛び級での2階級制覇を達成する。

長谷川は18歳でのプロデビュー以来、ずっとバンタム級を戦場にしてきた。体重のリミットは53.5キロ。体の成長とともに減量は過酷になり、このところの防衛戦では試合までに体重を10キロ以上も落とさなくてはならない状況だった。食事や水分を満足にとれず、街を歩いていると無意識のうちにジュースの自動販売機に目が釘付けになる。そんな話を本人から聞いたことがある。

4月30日、長谷川はWBC世界バンタム級11度目のベルト防衛をかけ、フェルナンド・モンティエル(メキシコ)と戦った。WBO世界バンタム級王者で3階級制覇の実力者が相手とあって、“コンディションを落とさない減量”が何よりも求められていた。そんな大一番に臨むチャンピオンをサポートしたのがザバスである。結果は4回TKO負けと残念なかたちに終わったものの、長谷川の動きは非常に良く、それまでの戦いぶりは完璧だった。

栄養サポートを担当したザバス スポーツ&ニュートリション・ラボの村野あずささんとともに、神戸市内の真正ジムでトレーニングに励む本人を取材した。

1時間動いて50gしか減らない…

二宮これまで長谷川選手は約3週間で10キロ以上も一気に減量していたそうですね。でも、前回は計画を立てて1カ月半前から減量をスタートした。順調に体重は落ちましたか?

長谷川前回はうまくいきましたね。試合中もビックリするくらいよく動けました。次回、この状態がつくれたら勝てる自信があります。確か僕の記憶では前回は1カ月前の段階で6キロオーバーでした。いつもよりちょっと早い減量ペースだったんですけど、最後の1〜2週間前まで、しんどいと感じることがほとんどなかったですね。

二宮3週間で10キロ以上も落とすなんて、一般人では考えられない。それを1度のみならず、防衛戦のたびに繰り返していたわけですから本当に大変だったでしょう?今までで一番きつかったのは?

1時間動いて50gしか減らない…

1時間動いて50gしか減らない…

長谷川10回目の防衛戦(2009年12月)の時ですね。まだ体重オーバーしているのに、前日に1時間ぐらい動いても50グラムしか落ちていなかった…。12月で寒かったのもあって、着込んでトレーニングしてもなかなか体重が減りませんでした。でも減量は冬より夏のほうがもっときついですよ。暑い上にさらに汗をかいて落とさないといけないので、体力を奪われてバテてしまう。今年の夏みたいに暑かったら、本当にきつかったと思います。その意味では、この夏は休めてよかったのかもしれません。

二宮前回は村野さんがカロリー計算をした上で、食事のメニューも提案されたとか。メニュー作成のポイントはどこにあったんですか。

村野長谷川選手からは減量中に足がつったり、貧血状態になることが多いと伺っていました。減量方法をお聞きすると、食事の回数も1日2回で、必要な栄養が確保できていない。1週間前からは水分も極力控え、残り3日はドライアウトで体を絞っていたんです。これではコンディションの維持もできないし、パフォーマンスも低下してしまいます。ですから、1日3食でたんぱく質やビタミン、ミネラルといった必要な栄養を極力摂取しながら、低脂肪、低カロリーになるように工夫しました。

二宮メニューづくりの上で、長谷川選手の希望はどの程度、反映されているのですか?

村野大幅に食事の内容が変わるのもストレスになってしまいますから、普段の長谷川選手の食事の傾向を伺いながら作成しました。奥様にもお会いしてお話など伺いながら取り組みました。減量についてはいろいろ勉強もされていて、少しでも美味しくヘルシーな食事になるように、食材にこんにゃくを使ったり、調理方法も工夫されていました。だから、そういった部分も踏まえてメニューをご提案しました。もちろん、すべてがご提案どおりにはならなかったでしょうが、参考にはしていただけたのではないかと思っています。

水を飲んで動いた方が減量しやすい

水を飲んで動いた方が減量しやすい

二宮メニューを拝見すると、徐々に1日のエネルギー摂取量が減っていく内容になっていますね。

長谷川前回は結構、3食きちんと摂りました。さすがに2週間前くらいからは、ちょっとずつ量も少なくなるので、しんどさは出てきましたけど、いつもと比べるとしっかり食べている感覚がありましたね。

二宮では食事を抜いたことは、なかったと?

長谷川なかったですね。それまでは直前1週間とか、直前3日くらい何も食べず何も飲まずということがありました。でも、頭が狂いそうなくらいきつかった。栄養が足りないので脳も働かないし、水分が足りないので動いても汗が出ない。おしっこも1日1回、濃いのしか出ない。精神状態も全然良くなくてイライラしっ放しでした。

二宮やはり人間は生命体ですから、少量でも飲んだり食べたりしないと心身がおかしくなってしまいますよね。

村野最後に食事や水分を抜かないようにするためには、その前段階での取り組みが大切になります。無理のない減量をするためには、少しスタートを早めたほうがいい。そこで、前回は1カ月半前から減量を開始することになったんです。

水を飲んで動いた方が減量しやすい

二宮前回の減量で、強いてきつかった時期をあげるとすれば?

長谷川やはり2週間〜1週間前ですね。1週間切るまではガンガン練習しているのに、食べる量は徐々に少なくなっていくのでエネルギーが出ない。1週間前になると、練習量も減らしますし、気分的にも「最後の1週間や」と頑張れる。

村野その時期のエネルギー摂取の目安が1日1200kcalですから、食事として摂れる量はすごく少なくなってきてしまいます。練習後の夕食も制限しなくてはいけない状況なので、必要なエネルギー量を確保できず、体の回復がどうしても遅れてしまう面もあるんです。でもトレーニングとしてはスパーリングもしたい時期でしょうし、大変だったと思います。練習前には少しでもエネルギーが補給できるエナジーメーカーゼリーやピットインリキッド、練習後にはリカバリーメーカーゼリーなどを摂るように勧めていました。

二宮ゼリーだと疲れていても飲みやすいですよね。

長谷川そうですね。ただ、減量中は敏感になっていて、ちょっとでも甘いと普段の3倍くらい甘く感じて喉が乾いてしまう。普段は何とも思わないんですけどね。

二宮足している栄養を補うためにサプリメントの摂取も細かくプランがつくられていますね。サプリメントは水と一緒に飲むわけですから、減量がきつくなると大変だったのでは?

長谷川いや、工夫すればそうでもないですよ。練習が終われば、必ず水分補給はしますから、その時に一緒に飲めばいい。サプリメントを摂るためにわざわざ水を飲むのではなく、水を飲む時に合わせて摂れば大丈夫です。
それに前回は新たな発見をしたんです。水を飲まないほうが体重は落ちにくい。今までは水を飲むと体重が増えるかなと思っていたのですが、練習中に水を飲んだほうが減量はうまくいく。水を飲んでも動けば体重は増えないんですよね。

村野水分を摂ると、汗が出て代謝がよくなって、コンディションも上がってくる。そうすると、よく動けるので体重も減りやすい。いい減量のサイクルがうまれていたのではないかと思います。

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