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山川牧場

取引先とともに

山川牧場1

山川牧場2

山川牧場
場所:岡山県倉敷市
開設:1955年頃(現在三代目)
規模:牛の頭数 40頭(2016年 11月現在)

山川牧場3

山川牧場は岡山県倉敷市の弥高地区にあり、ご家族3人で経営されている比較的小規模な牧場です。戦後、一代目が山間部を切り開いて牛舎を建てたのがはじまりです。明治の「良質乳生産牧場」の認定を取得し4年目となる山川牧場ですが、その三代目山川善彦さんに、酪農に対するこだわりをお伺いしました。

牛たちに無理をさせない。家族経営という小規模経営だからこそ、一頭一頭長く育てていきたい。

山川善彦さん

山川善彦さん

山川牧場の約40頭の牛たちは、「つなぎ牛舎」で育てられています。「つなぎ牛舎」で飼うということは、牛たち一頭一頭を仕切って牛舎につなぎ、それぞれの個性に合わせて育てるということ。そしてこの方法はエサの管理に機械を使用しにくいため一般的に時間がかかり、また沢山の乳牛を育てるには適さないと言われています。手作業で行う山川牧場でのエサやりは、搾乳するタイミングである午前と午後の2回行われています。
山川さんにお話をお伺いしていてまず驚いたのは、そのきめ細やかなエサやりでした。

搾乳を挟む形でその前後にエサやりを行っているのですが、そのエサは全部で5種類。目の粗い干し草から順に細かいものとしていき、最後にコーンなどを含む配合飼料(穀物等)という順番で給餌します。「牛は草食動物なので草を食べていれば生きていけますが、牛たちは配合飼料のほうが美味しいと思うようで、干し草よりよく食べるんです。でも、牛に配合飼料ばかりあげていると、乳はよく出るようになりますが、消化不良をおこして具合が悪くなってしまうなど、結局、牛たちの体には負担になってしまうんです」と話す山川さん。
「4種類の干し草は、牛たちの胃の中のpH(水素イオン濃度)を最適にする効果があります。元々の牛の体に合っているんですね。ただ、4種類の干し草の中でも、牛それぞれで好き嫌いがあったり、その時の気分や体調によって食べ具合に違いが出てくるので、牛たちの食べている様子に合わせて、その日その日でそれぞれエサの量を変えています。牛たちに無理をさせず、長く育てていきたいんです」。いくら手間であっても、牛たちに無理をさせない。山川さんは、牧場のこだわりをそう語りました。

牛舎 倉庫 温度管理

また、岡山県は「晴れの国」と言われるように、晴れの日が多く、夏の暑さはひとしおです。しかし牛たちは基本的に寒さには強く、暑さには弱い生き物。岡山県の酪農家にとって夏場をどう乗り切るかはいつも悩みの種になっています。山川牧場でも、牛舎の換気はもちろんのこと、エサに少し食塩を混ぜ、夏に不足しがちなミネラルを多く摂取できるようにしたり、またそれによって水分を積極的に摂ってもらうなど、さまざまな工夫をしています。「鼻で押すと水が出るウォーターカップを一頭一頭個別に設置することで、水を飲みたい時に自由に飲めるようにしています。ただ、夏場は飲むのではなく鼻を冷やそうと水遊びを始めて大変です」と牛たちのいたずらを嬉しそうに話す山川さん。「先ほど胃の中のpHバランスについてお話ししましたが、夏場は体温が上がるので、それによってもバランスが崩れやすくなります。そういった時は、重曹をエサに混ぜることで、体調管理をしています。また、夏だけでなく梅雨の時期も牛たちは体調を崩しがちです。細かに温度・湿度計を確認して、換気を徹底しています」。

さらに、山川牧場では月に1度「牛群検定」を行っています。この検定を実施することで牛たちそれぞれの生産乳量や乳質を確認することができ、一頭ごとの体調管理が容易になります。「私たち酪農家の感覚も重要ですが、それだけではなく、きちんとデータをとることで、より客観的に牛たちの状態が分かるようになりました。また、データは外部の方とも共有することができるので、獣医師にも円滑に情報を伝えることができます」と山川さんは言います。一頭一頭に向き合いながら、より良くしていこうとする山川牧場の姿勢が伝わってきました。

明治の関わり

西日本酪農事務所 中国酪農課 課長 藤田雅和

西日本酪農事務所
中国酪農課 課長藤田雅和

この山川牧場と明治とのつながりは、今から40年ほど前。明治の岡山工場ができてからでした。「色々な乳業メーカーさんとお付き合いがありますが、牛舎まで来てくれるのは明治さんだけです」と山川さんは言います。

現在、明治の中国酪農課には、藤田と松尾の2名が勤務しています。中国生乳販売農業協同組合連合会様と生乳の価格である「乳価」や「乳量」の交渉、日々の工場での需要と供給量の調整などの業務に加え、地域の乳質の改善や美化普及運動のための酪農家への訪問は欠かせません。山川牧場にも1~2カ月に一度は訪問しています。「岡山の厳しい夏を乗り切るために、同じ酪農家さんのところへ毎日通うこともありました」と話すのは松尾。暑さで牛たちが体調を崩したり、エサを食べる量が減ってしまうことで乳脂肪率が急に低下するトラブルが発生してしまうことがあったのだとか。
藤田も、乳質改善は大変な仕事だと語ります。「夏はおかやま酪農業協同組合様と連携し、(酪農家ごとに設置してある搾乳した後の生乳を冷蔵管理する)バルククーラーの中の生乳組成を頻繁に確認し、その結果をもとに酪農家さんへの注意喚起を何度も行いました。酪農家さんと一緒になってさまざまな取り組みを行い、その結果に一喜一憂しながら夏場を乗り切りました」。

それに、山川さんも続きます。「当牧場では夏場の暑熱対策として、牛舎の屋根に石灰を塗ったのですが、その時も松尾さんが手伝いに来てくれました。また、意外に私たちは仲間(同じ酪農家)の情報を知らなかったりするんです。ですので、明治さんが酪農をもっと良くしようとしてくださる情報はありがたいですし、今後ももっと色々な意見が欲しいです」。

西日本酪農事務所 中国酪農課 松尾徳治郎

西日本酪農事務所
中国酪農課松尾徳治郎

自分たちの親とも言える年齢の酪農家の方々が多い中で、より良いパートナーシップを築くために、中国酪農課の二人はさまざまな取り組みをしています。例えば、改善点について根拠を持って説明するのはもちろんのこと、実際に改善していただいたところを「before・after」として写真に残すのもその一つ。そうすることで、活動の成果が客観的に分かり、状態が維持されやすくなるのだとか。このような地道な活動の積み重ねと工夫が、両者をつなぐ力になっているようでした。

出産から育成、搾乳まで。牛たちの一生を山川牧場で。

藤田、山川善彦さん、松尾、二代目 山川秀司さん、明治飼料株式会社 佐藤利憲さん

左から、
藤田、山川善彦さん、松尾、二代目 山川秀司さん、
明治飼料株式会社
佐藤利憲さん

山川善彦さん ホルスタイン

最後に、牧場の今後について、山川さんにお話を聞きました。「私は酪農を継ぐにあたり、国家資格である家畜人工授精師の資格をとりました。牛の健康にとっても、授精の技術は重要です。例えば不衛生な環境での授精は難産をまねくだけではなく、肥立ちも悪くしてしまいます。また、雄牛と雌牛との産み分けは、牧場経営にとって非常に重要です。私たちの牧場では年間で10頭程度の雌子牛が生まれるよう雌雄判別精液を用い、私自身が人工授精を行うことでコントロールするようにしています」と、山川さん。しかし、その一方で課題も感じているそう。

「現在、牛の値段が高くなっていることをきっかけに、離農者が増えている実態があります。私たちの牧場では雌雄判別精液を使い、他の酪農家さんから買う頭数を減らす努力をしていますが、それでも年に何頭かは買う必要が出てしまいます。他の酪農家さんからの購入に依存していると牛の価格変動などの外の影響に牧場運営が左右されてしまうため、今後は自分のところで後継牛を確保することにさらに力を入れ、購入する牛をゼロにできるよう取り組んでいきたいと思っています。また、私たちの牧場では生まれた子牛の育成自体は専門の酪農家さんにお任せしています。今はまだノウハウがありませんが、これから子牛の育成に関する知識も習得し、出生から育成、搾乳まで、牛たちがその一生を私たちの牧場で完結できるようにしたいと考えています。
就農してから1つ1つの課題について地道に改善を続けたことで、長期的に見て一頭当たりの生産乳量が増えてきました。これからも、家族経営というメリットを活かして、本音を言い合いながら、牛たちと向き合って改善を重ねていきたいと思います」。

山川牧場のこだわりは、艶やかな毛の健康的な牛たちからだけでなく、その丁寧に整理・掃除された牛舎からも感じ取ることができました。中国酪農課の二人もこう語ります。「牧場の美化活動に関して、理解していただける酪農家さんが増えてきていることを実感しています。また色々と横から意見する私たちをこのように受け入れていただき、ありがたいです。今、世の中の意識が食の安全安心に向かっている中で、生乳の生産現場である牧場がきれいになっていくことは、酪農家の方々の未来にもつながる重要な取り組みだと思います。これからも、新しい出会いを求めて、多くの人とつながっていきたいと思います」。

山川牧場と当社の地道な取り組みは、これからも続きます。

今回の取材で見えた「酪農あれこれ」
  • つなぎ牛舎は、牛一頭一頭の違いを踏まえた世話ができる
  • エサは干し草→コーンなどの飼料→干し草、の順にあげると牛に優しい
  • 牛は夏の暑さに弱い
  • 牛群検定では、牛ごとの乳量や乳成分、エサの食べ具合や健康等の
    幅広い内容をチェック・データ化ができる