今日から始める"腸食"生活

腸食とは?

腸食=腸にいい朝ごはん

腸の役割といえば、昔は「栄養の吸収や排泄をすること」と考えられてきました。しかし最近の研究から、腸は便秘や肌荒れ、免疫力だけではなく、肥満や糖尿病、がん、認知症、うつなど、さまざまな症状や病気と関わりがあり、全身の健康に大きな影響を与えていることがわかってきました。

腸を元気にすることで、全身を元気に、キレイに!そのためにおすすめなのが「腸食」です。腸食とは、「発酵食品+食物繊維+オリゴ糖」を含む朝ごはんのこと。こうした"腸にいい"食品を朝にとることで、体にいい影響がたくさんあるのです。

朝ごはんに、腸にいい食事を!

自律神経のはたらきが安定します

「自律神経」とは、呼吸や血液の循環など、生きるために欠かせない活動を司る神経のことです。自律神経には、興奮しているときにはたらく「交感神経」と、リラックスしているときにはたらく「副交感神経」があり、一方が優位になると、もう一方の働きが低下するというシーソーのような関係になっています。

興奮モードの交感神経は、朝から昼にかけて活発になります。昼を過ぎるとリラックスモードの副交感神経がそれにとって代わるというふうに、自律神経は1日の中で規則正しくはたらきます。また、食事をしているときは交感神経が活発になり、食後には副交感神経が活動します。

朝食は、交感神経のはたらきをオンにするスイッチのようなもの。朝食をとり、胃腸や脳を目覚めさせることで、1日が気持ちよく始まり、パフォーマンスを高めることができるのです。

体内時計をリセットします

ヒトの体には、ホルモン分泌や細胞の生まれ変わりなどのスケジュールを調整する「体内時計」があります。これまで、体内時計は脳にあると考えられてきましたが、最近では全身の細胞にも「時計遺伝子」があり、時間を管理していることがわかってきました。

時計遺伝子を正しく作動させるためのポイントが"朝"。朝日を浴びると、脳の中枢にある時計遺伝子がリセットされます。また、朝食をとることで、腸の末梢にある時計遺伝子も調整され、1日のリズムを正確に刻んでゆくことができるのです。

腸のはたらきが活発になり、便秘解消に

腸は、大腸・小腸を合わせて6m以上もあり、中に入ってきたものを移動させるために、尺取り虫のように伸び縮みします。この動きが「ぜんどう運動」です。ぜんどう運動が鈍くなると、腸の内容物がなかなか進まず、水分が必要以上に体に吸収されるため、便秘になります。腸内に長く滞留した内容物は腐敗して、腸内環境を悪化させます。
朝、きちんと食事をするとぜんどう運動が起きやすくなり、便がスムーズに移動。便秘解消につながります。

監修:順天堂大学医学部付属 順天堂医院 総合診療科・病院管理学  教授 小林弘幸

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